まさに、
Seeing is believing. 

という言葉が相応しい『SECRETO』さん。



言葉ではうまく伝えられないですが、
いわゆる「ワクワク・美味しい・楽しい・臨場感」が揃った予約困難店というだけでなく、


人間育成とか、
本質とか、


愛情とか愛とか、
逞しさとか、
懐かしさとか、
なんかそのあたりがジワジワ伝わってきて、
単なる話題の人気レストランという感じがしないんですよね。

道徳と飲食の真髄を学べる学校でしょうか。

私自身を見つめ直すきっかけにもなりました。。。


暗闇を抜けて、



席に着いて、


セクレト劇場が始まって、
幕が降りるまで、
温かさが全身を巡り、
時々、
歌いたくなるBGMも流れてきて、
たまーに、うちのお店と同じBGMが耳に入ると、
尚更嬉しくなってましたが、


随所に刻まれたSECRETOの文字と、


料理のパートナー役のドリンクと、


好奇心をくすぐるシェフのトークが、


ハートのカカオバターでコーティングされたブドウとキウイのアミューズを一口で食べた後から、


「高農園」のお野菜や、


魚介達と、



お肉達と、


-196℃の世界と共に、


不思議な美食の国に包みこまれる感覚にもさせてくれて…。

それは、私達人間だけでなく、
食材やドリンクも同じで、


ミニミニビール風(ノンアルコールとアルコールの方と、分けて提供して下さいます)や、



パンチェッタで巻かれた棗椰子や、


お花と手を取り合ったイカも、


まさかこの場所で、


液体窒素でパウダー状になったマンチェゴが振りかけられて、


吹雪状態になる運命だなんて、
想像もしないで生きてきたはずです。


ガスパチョだって、


シャリシャリ凍って、


素麺みたいなカッペリーニと出逢うなんて、
思ってもみなかったでしょうし、


サザエの肝が塗られたトーストも、
度肝を抜かれてたと思います(^^)

また、


フォアグラも、


キンキンに冷やされて、


ギンギンに熱いシェフの情熱で削られて、



小さなフレンチトーストにかけられて、


雪山みたいな姿になって、


日本酒と消えていくなんて、
未来予想図にはなかったでしょうね。

しかし、
こんな素晴らしい心ある料理人に調理されるなんて、
相当幸せな人生、や、フォアグラ生です。

ちなみに、
このフォアグラフレンチトースト、


りんごピュレをつけてピンセットで頂きましたが、
日本酒があと1合は飲みたかったです笑


器もいちいちビシッと決まってて、
盛り付けられた料理との相性もベストマッチで、


クローバーが潜んだ七谷鴨もイキイキと輝いてました。

富士山の薪で焼かれて、
鉄分味満載な鴨でしたが、
脂身も最強に美味しく、
噛んでも噛んでも旨味が衰えず、


北海道のドラゴンフルーツや、


土着品種のニエルッチェにも負けない力強さを感じました。

今回は、
仕事の合間だから、
ノンアルコールにしようと思ってたのに、
気づけば、
日本酒とか、


赤ワインとか普通にしらーっと飲んでました笑

まぁそれは、
料理が求めてたから仕方ないということにして笑、


シェフがお好きだというコーンポタージュスープと、


所々入るシェフの思い出話に、
妙に懐かしさと故郷が頭の中を過ぎりながら、


昔、私も大好きすぎて、食べまくってたコーンポタージュスープを思い出しては、


とうもろこしパンを食べてましたが、
このパンにせよ、



バケットにせよ、
その前に登場してたパンにせよ、
藪中シェフの理想を叶えるような「パンデフィロゾフ」パンでした。。。


能登の鰆も、
理想的な火入れ具合いでしたが、


サザエの殻に入ったソースを、


彩紫芋とアスパラめがけて、


鰆には触らないように(笑)注いで、


それぞれの個性をしっかり味わいましたが、
サバのいしるや春菊も縁の下の力持ちとなり、
バランス完璧すぎて、
やんなっちゃうぐらいでした(^^)


このナイフも持って帰りたいほど(笑)素敵で、


メインディッシュの蔵尾ポークや、


ルタバカ&カブを瞬く間に食べ終えたら、
「ナイフ下さい」って言いかけちゃいました笑


パンに合わせて下さったエスプーマ状バターも、


トリュフがフワッと香り、
まるで軽いトリュフシェイクみたいなテクスチャーで、


パンにつけて食べてるのは無論、
その後飲んでしまいました笑



土鍋にドーンと座った穴子と、たっぷりの枝豆と木の芽が一堂に介した土鍋ご飯も、


飲み物のように一気に食べ切ってしまい、


遠慮なくお代わりでしたが笑、
この土鍋ご飯を味わっていると、
日本料理屋さんにいる気分でした(^^)

が、


再び日本料理とはかけ離れたSECRETOワールドに戻り、


シェフの話術と、


魔法パフォーマンスから、


お母様の味の再構築ジェラートに変身し、


秘密にしたいけど、
大切な人には伝えたい美味しさとなって、
喉をすーっと通っていきました。


目の前の舞台で仕上げられたフレッシュハーブティと、
最後の最後に登場した儚い「吐息」という名の秘密のお菓子で幕を閉じましたが、
藪中シェフがモテる理由もよーく分かったところで、


SECRETOというネーム入りスプーンを頂いて、
スプーンおばさんになった思いで笑、
名残惜しくも席を立ち、


通路の壁にサインを描かせて頂きましたが、
自分の名前なのに、漢字を間違えました…苦笑



秘密のBARもできたそうなので、



BARにお邪魔した時に描き直したいです^_^

それにしても、
こんな長文ブログを書いたのは、いつ振りかなってほど、
長くなってしまいましたが、、、
それだけ感銘を受けたということです。

約20年、世界を食べ歩き、
ハッとするレストランに出逢いつつ、
自身のお店を経営し、現場に立ってきた私ですが、
自分の甘さを痛感した2時間半でした。

もちろん感動と感激も充満して、
明日の糧や生きる喜びにも繋がりましたが、
私が飲食店をやっちゃダメかもと思わされたというか…。

レストランのスタイルには、正解も不正解もないけど、
藪中シェフみたいな方がヒーローとなり、
スーパースターとなり、
これからの日本料理界を盛り上げていく若き料理人の憧れとなるべきだなぁと。

もしこれから料理の世界を本気で志す人がいたら、
間違いなく、真っ先に『SECRETO』さんで、


藪中シェフの熱量と漲るプロ根性を体感してほしいなって思います。

真の優しさが、
沢山の方から愛され、
素材からも愛されている秘訣だと思いますが、
やはり長く続くホンモノは、
思いやり・気配り・心が備わってます。

偉そうなこと書ける身分でもないですが、
料理もレストランも、
つくりあげる人そのものが乗り移ります。

私の座右の銘「努力に勝る天才なし」を絵に描いたような藪中シェフは、
改めてそう断言できる一球入魂のプロフェッショナルです。



命を寿ぐような『SECRETO』という永遠のレストランに、
目一杯のありがとうを贈ります。