料理をする際はもちろん、
天ぷらを揚げる時も、
まずその素材を知ることからはじめますが、
同時に、
『みかわ 是山居 』の早乙女ご主人から頂いたこのお言葉↓
“天ぷらを揚げるということは、焼くと蒸すが同時にできる調理法”
を念頭におき揚げてます。
まる
それは、
天ぷらに適した形に素材を切り、
素材に合わせた衣をつけ、
素材がおいしく揚がる温度に設定し、
食べ手の口に届くところまでを想定できてなければ、
なせないワザです。
つまり、
油に入れる前には、
もう頭の中で完成してなきゃってことです。
天ぷら道を教わってから、
暫くご無沙汰していたのですが、
ようやく移転なさってからの『是山居 』に伺える日がやってきました。
ご主人のご自宅を改装なさってます。
カウンター席に着くと、
真っ先に巨大な「ボルサリーノ」のダクトが目に飛び込んできます。
このダクトはじめ、
店内は、
何人ものツワモノデザイナーさんによって手がけられているそうです。
3階は、
○
骨董品が展示された茶室付きのサロンになってますし、
玄関先では、
この掛け軸が出迎えてくれます。
実は私、
掛け軸マニアなので、
暫し立ち止まって眺めてました。
まるで美術館です。
突き出し(茹で空豆・煮穴子・ふきみそ)を頂いた後、
早乙女ご主人の天ぷら舞台が始まります。
大葉と雲丹の存在が違和感なく食べてもらえるように、
限りなく同じ食感に近づく揚げ方をなさってます。
ご主人語録にある
“粉と水と空気の粒子が1:1:1になった時が最高の出来”
というのが明確に分かる逸品です。
上部と下部では、
まるで違う食べものです。
上部はさっと軽やかに、
下部は今回の天ぷらで最も高温で揚げてらっしゃるとのこと。
冒頭に書きましたように、
ご主人がおっしゃっていた
“焼くと蒸すが同時に進んでいる天ぷら”が、
まさにこのアスパラから確信できました。
表面はしっかり香ばしく焼かれ、
中はしっとり蒸された感覚です。
この他に、
「メゴチ」
「銀杏4つ」
「椎茸」の天ぷらと、
お代わりしまくり「大根おろし」を頂き、
「貝柱のかき揚げ天丼」
「大蜆の赤だし」
「お新香」
そして、
「花豆の甘煮」で、
深謝と共に、
早乙女氏舞台の幕閉じです。
天ぷらの後は、
いくらお腹満員御礼であろうと、
どういうわけか、
アイスが恋しくなります。