『玄瑛 』のラーメンを食べるためだけに、
羽田-福岡間をとんぼ返りした日から数年の歳月が経ちました。
初めて訪れた際、
数種類のラーメンを食べて、
洗脳されたかのように『玄瑛』店主の入江さんラーメンに
取り付かれた私ですが、
その後、
何度このラーメンを食べても、
やはりラーメンの域を超えた料理であることに狂いはありません。
そんな入江さんラーメンが、
この春時期に、
中目黒『糸吉 』で食べられるとのこと。
実は私、
『糸吉』の名づけ親であり、
手描きロゴ文字も書いた人間であります。
というわけで、
入江さんラーメンが食べられる貴重なこの時期(3月いっぱい位のようです)に行ってまいりました。
『糸吉』では、
ラーメンだけではなく、
お料理も加わったコース仕立てになってます。
コートもいらない陽気だったとある3月の演目は、
「きんぴらごぼう」の先付けにはじまり、
「子持ち牡丹海老と本日のお野菜(椎茸・ズッキーニ・長芋・長葱)の炭火焼き」
頭も尻尾も殻ごとかぶりつきます。
「海老の白鳳豚巻き」
「おくらのお浸し」
「土鍋の上に蒸篭がのった蒸ししゃぶ」
蒸篭を一度外すと、
中には、
浅利・昆布・鰹のおだしが入ってます。
そして、
この中に、
炭火焼きで焼いてくださった椎茸の石突を加えて、
より旨みを出します。
まずはこのおだしを頂きましたが、
このまま眠りたくなるような凄旨お吸い物です。
この素晴らしいおだしの蒸気で、
人参・ごぼう・白菜・大根を蒸し、
途中で、
白鳳豚を野菜(水菜も乱入します)ではさんで蒸し焼きにします。
これらを「2日間寝かせた完全無添加の自家製ポン酢」と「もみじおろし」で
頂きます。
思わず、
お野菜お代わりです。
そして、
いよいよラーメンのご披露です。
博多の本店から届きたての1週間熟成麺(加水率47%)を、
入江さんが何度も手でもみもみなさってます。
真剣な眼差しで麺と向き合ってらっしゃる姿を見ると、
「おいしくなぁれ」と、
呪文をかけてらっしゃるかのようです。
こうやって麺をもみこむことで、
麺の太さも変わり、
スープも絡みやすくなるとのこと。
入江さん、
ライティング係にもなってくれてます。
入江さんの両手ですーっと差し出して頂いた究極ラーメンは、
◎
名前が分かりません。
が、
先ほどの蒸ししゃぶのおだしから作られた手間隙かかりまくりスープに、
ハンドパワーが加わった麺が一つになり、
何とも繊細で透明感のあるラーメンに仕上がってました。
このラーメンも未だかつて味わったことのない麺料理です。
途中で、かぼすをしぼって頂きます。
色んな麺の表情が感じられますが、
これまでの入江さんラーメンの中で、
一番やさしさが感じられます。
お子様ができて、
パパになられたからなんだろうなって思います。
麺を食べ終えたところで、
自家製チャーシューをリクエストして頂きました。
昔ながらのチャーシューです。
ここで、
入江さんこだわり米で作られた焼きおにぎりが、
超高温に熱された土鍋に入れられ、
そこにラーメンのおだしが注がれましたが、
おだしが入った瞬間、
そこは煮えたぎるマグマ状態に。
さらに、
追加でおだしが注がれると、
ぐつぐつはピークに達します。
おにぎりをぐちゃぐちゃに崩してリゾット感覚で頂くのですが、
この熱々状態を慌てて食べてしまったため、
恒例の口内火傷です。
しかし、
おいしさは舌でも脳でも感知できました。
ラーメンのおだしとは思えない日本の新リゾットです。
2杯目は、
パルメザンチーズとブラックペッパーをかけて頂き、
おこげごと頂きます。
海苔大好き人間の私は、
刻み海苔もトッピングします。
白ワインやスパークリングワインに合うリゾットですが、
日本の食材満載なので、
一緒に合わせていた日本酒との相性もばっちりです。
「トマトのシャーベット ソルティドッグスタイル」で、
口と喉とお腹をさっぱりさせたところで、
『玄瑛』×『糸吉』の演目が終わりました。
『玄瑛』店主の入江さんは、
桜が散る頃までは『糸吉』にいらっしゃるようなので、
もし他に類をみない入江さん麺を召し上がってみたいという方は、
この期間をお見(食べ)逃しなくです。