憧れの皇子様だった『緒方 』さんのカウンターに座らせて頂いてます。
熱燗と共に、
温たかいお料理からスタートです。
上にのってるのは、
一見、菜の花かと思いきや、
白菜の葉っぱだそうです。
男前でカッコいい赤貝です。
なんとまあ、
甘い海老芋ですこと。
しかし、一切甘みを入れてないとのこと。
さらに、
一度湯がかずに、
直炊きなさってらっしゃるので、
灰汁の色が出て、
ほんのり桃色になってます。
でも、これが最上級のおいしさを出してくれるんです。
白味噌も生の白味噌を2時間位詰めてからおすまし仕立てになってます。
バランスのとれた完成度100点満点の一椀です。
弾力ある鴨に、
実山椒が舌にちょっかいを入れてくれます。
ご主人より、
「鯖寿司なんですけど、鯖おにぎりなんですよ」とのお言葉。
そうですね、
確かにおにぎりに見えます。
鯖寿司マニアの私は、
この「鯖寿司(おにぎり)」が食べたくて食べたくて、
予約の際、
ご主人に、
「何としても食べさせて下さい」と、
懇願してました。
鯖は豊後水道生まれです。
この写真では全く分からないのですが、
醤油が入った酢飯です。
ご主人曰く、
「醤油の炊き込みご飯にお酢を入れたんです」と。
粋なこと言ってくれます。
鯖寿司ですが、
やはり鯖寿司おにぎりです。
鯖・シャリ・海苔、
全部が一つになって、
光り輝く金メダル授与です。
次回、伺う時も、
必ずリクエストさせて頂きます。
白子は熱いので、
別皿に取り分けてから頂き、
その後、
また大根におんぶさせて、
一緒に頂きます。
いい塩梅です。
冷酒とも最良のパートナーです。
鮑は潔い歯切れで、
なかなか塩気がきいてます。
一方、
柚子揚げの方は、
やや甘めに炊かれた柚子で、
叩いた長芋と海鼠腸が包まれたものです。
五味と五感を擽られた逸品です。
蕎麦粉は福井産とのことですが、
驚くほど香り高く、
食べる前から鼻に蕎麦の香りが届きます。
まずは蕎麦つゆにつけずにそのまま頂きましたが、
やはり芯のしっかりしたお蕎麦です。
こうなりたいんですよね、私も。
「牛飯」&「すぐきのお漬物」
牛肉の焼かれた脂の香りまでがごちそうです。
「ゆり根まんじゅう」
黒文字と赤杉箸で頂きます。
葉っぱをめくって、
白小豆の粒あんがお目見えです。
一言も言葉が出ません。
究極においしい感動が胸に込み上げてくると、
人間、
無言になるんだなって思います。
『緒方』物語は、
終始、心に太陽を当ててくれました。
ご主人の人柄が料理を造り上げてるんだって思います。
寒い中、
玄関先に出て、
お見送りしてくださった『緒方』さんご夫婦を何度も振り返り、
感激と感謝の想いが入り混じったまま、
タクシーに乗り込みます。
気分は蜂のいないお花畑です。