13時41分。
毎月恒例の銀座『壬生 』玄関先に着きました。
13時55分に着けば間に合うのですが、
性格上、
いつも早く着きすぎてしまいます。
さっきまで車の中で爆睡して、
なぜか、側転ができなくて半べそかいてる夢を見ていたので、
まさに“夢のあと”です。
お部屋の掛け軸には、
“花のかげ 今はいずこに 去りにけり”というお言葉と共に、
しゃれこうべが描かれています。
「ご両親を大切にしなさい」という意味が込められているそうです。
“花のかげ”、
お料理のテーマにもなってました。
“花のかげ”=“自分の母”という意味だそうです。
女将さんのお母様が先月他界されたことから、
お母様を想ってのことなんでしょう。
ご冥福をお祈り申し上げます。
14時00分。
お料理のはじまりです。
「先、柚子 もみじ」
もみじで覆われた中には、
蜜で甘く炊かれた柚子釜に、
全く調味されてない炊きたてご飯が入ってます。
このもみじ、
紅葉と書くに相応しい紅色です。
すると、女将さんが、
いきなりもみじをばらまきはじめました。
向かい側にお座りの方は、
黄金色のもみじです。
紅葉と黄葉が辺り一面を舞ってます。
食べ終えると、
もみじを器に持って、
もみじの山にします。
もみじは5枚以上の葉なら、
えぐみもなく食べられるとのことで、
食べてみました。
もみじの葉、初食です。
ほんのり苦味が舌に届きます。
苦いものはなんとなく体にいいように思えます。
良薬は口に苦しですから。
真鯛・すみいか(生・炙り)・子柱のお造りです。
「もみじ」は何処にと思いきや、
器にいました。
もみじが横に流れる様、優美です。
所々器に穴があいてますが、
これは「波の花」だそうです。
蓋には、霧吹きで水がふりかけてありますが、
時雨を表しているとのこと。
時雨が降ったら、もみじは終わりというわけです。
蓋をあけると、
唐草模様の眩い柄に目を奪われます。
銀杏をすり潰し、
きもーち葛粉を加えてとろみをつけたものが、
おだしで炊かれた風呂吹き大根の上を覆ってました。
銀杏はでんぷん質が多いため、
殆ど葛粉を入れなくても、
とろみが出るようです。
また、
滋養強壮にも効果を発揮し、
免疫力を高める銀杏ですから、
より強靭な体を作ってくれます。
風干しした真名鰹と慈姑の天ぷらです。
橙を絞って頂きます。
慈姑にはお砂糖をまぶしてありますが、
そのお砂糖が真名鰹にも飛び散ってます。
甘いお魚の天ぷらなんて、
超斬新ですが、
催眠術にかけられたみたいに、
おいしいって言葉が真っ先に出てきました。
柿・もって菊・独活のなますです。
柿は「四つ溝柿」という、
先が尖ったハート型をした品種です。
大阪の富田林市で作られた伝統野菜のえび芋は、
里芋の一種で、
京都・大阪では、お正月や婚礼などに欠かせない高級食材となってます。
特徴は、
えびのように見える外観と、
口に入れると、とろけてしまう独特のなめらかさ。
その形と食感を生み出す秘密が「土寄せ」と呼ばれる栽培法で、
大きくえびの様な形に育つほど、なめらかさが増すそうです。
えび芋はおだしのみで炊かれてますが、
えび芋の子供である小芋の方は、
やや甘みをつけて炊かれてます。
まるでさつまいものような味わいです。
「子供(小芋)の方がおいしいから、親(えび芋)から食べてちょうだい」と、女将さん。
それでも、親も十分すぎるほどおいしゅうございました。
このねっとりしっとり食感は、
他のお芋ではなかなか味わえません。
えび芋は、
子供より長く生きてきた年輪を感じます。
スペイン原産の「クレメンチン」(和名:はるか)というみかんです。
ヘタを持ち上げると、
びよーん。
見事な蛇腹切りです。
右は水、
左は砂をイメージしてあるそうですが、
右は「薔薇香る冷たいゼリー」、
左は「百合根で作られた熱いとろとろスープ」です。
同時に口に流し入れます。
冷と温の温度差が同時に喉を伝わっていきます。
3人がかりで作られるという大掛かりな逸品です。
エルブジ の世界です。(行ったことないですけど)
エルブジを髣髴とさせられるお菓子の後は、
しかし、
中身は“THE日本”の濃茶(抹茶)です。
『壬生』ご一行様、
数日後には、
サンセバスチャン(スペイン)で開催される「料理サミット」に向けて旅立たれるとのことで、
スペインを意識したフィナーレだったようです。
サンセバスチャンは、
スロベニアと肩を並べる「園山真希絵が行ってみたい国」TOP2に入る
夢の国です。
側転ができた夢を見れたら、行ける気がします。
そんな夢の国に出逢えることを願って、
今月の『壬生』をあとにした私が最初に出逢ったのは、、、
「特大えだまめ さつま揚げ」でした。