今月の銀座『壬生 』のお時間です。


玄関先の掛け軸には、“幾星霜”と書かれています。


どんな意味なんでしょう。

ちんぷんかんぷんです。


園山真希絵オフィシャルブログ「こころのごはん手帖-食べる門に福来る-」by Ameba-DVC00088.jpg


女将さんに尋ねると、

「晩年(冬)薔薇」とのこと。


ということで、

お部屋には、


園山真希絵オフィシャルブログ「こころのごはん手帖-食べる門に福来る-」by Ameba-DVC00093.jpg


プリンセスミチコ 」が、

「マッピン」という超貴重な花器に生けられてます。


それでは、

いよいよ今月のお料理紹介とまいります。


園山真希絵オフィシャルブログ「こころのごはん手帖-食べる門に福来る-」by Ameba-DVC00263.jpg


テーマは、“松 50年”です。


松とくれば、

松茸ということで、


一発目から、


園山真希絵オフィシャルブログ「こころのごはん手帖-食べる門に福来る-」by Ameba-DVC00290.jpg

「先、一年振」


巨大丹波の「隠れ松茸」の天ぷらです。


園山真希絵オフィシャルブログ「こころのごはん手帖-食べる門に福来る-」by Ameba-DVC00292.jpg


写真では大きさが分かり辛いのですが、


園山真希絵オフィシャルブログ「こころのごはん手帖-食べる門に福来る-」by Ameba-DVC00303.jpg


掌より大きく、

一般女性の顔ほどあります。


長さ30㎝近くはあるでしょうか。

がぶりと頂きますが、

熱すぎて、

初っ端から口の中を火傷してしまいました。


慌てて食べすぎました。


あとの祭りです。


松茸の姿を撮り忘れましたが、

お姫様ブログ に載ってますので、

そちらをご覧くださいませ。


園山真希絵オフィシャルブログ「こころのごはん手帖-食べる門に福来る-」by Ameba-DVC00315.jpg


このお手紙に書いてある通り、

今年は、例年にないほど松茸が不作らしく、

特に、

隠れ松茸は、なかなか手に入らないようです。


※隠れ松茸とは、人間の目のいき届かないところに生息する幻の松茸だそうです。


そんな貴重な隠れ松茸を、

急いで食べ過ぎてしまい、

口内火傷をしたおろかな私です。


火傷するたび、

もっとゆっくり食べればよかったと後悔するのに、

おいしそうな顔を見ると、

つい特急で食べてしまいます。


園山真希絵オフィシャルブログ「こころのごはん手帖-食べる門に福来る-」by Ameba-DVC00317.jpg
「向、うす造り」


かわはぎのお造りですが、

薄造りは氷上に置かれているため、キンキンに冷たく、

肝は温かい状態です。


大きめのかぼすをぎゅっとしぼって、

温度差を楽しみながら、

特製のお醤油につけて頂きます。


園山真希絵オフィシャルブログ「こころのごはん手帖-食べる門に福来る-」by Ameba-DVC00319.jpg
「椀、四十五日」


薔薇に見立てたお椀とのこと。


薔薇は45日目に咲くので、

料理名は「四十五日」になったようです。


読み方は「よんじゅうごにち」ですが、

間違って、

「しじゅうごにち」と読んでしまいました。


園山真希絵オフィシャルブログ「こころのごはん手帖-食べる門に福来る-」by Ameba-DVC00320.jpg


おだしで炊かれた大根の上には、

薔薇の花弁に見立てた銀杏クレープがのってますが、


この薔薇銀杏クレープ、

何十粒もの銀杏を炒ってから丁寧に潰し、

めりけんこ(薄力粉)・水と共に混ぜ合わせて、

クレープ状に焼いてあるそうです。


なんとも手間のかかるご主人渾身の作です。


銀杏特有の渋み・苦味・甘みが、

もちっとした食感と共に、

舌に伝わってきます。


さらに、

クレープの上に見える透明なものは、

「イランの薔薇水」で作られたゼリーです。


一つ食べただけで、

口中、薔薇の世界です。


銀杏クレープを食べ終えると、


園山真希絵オフィシャルブログ「こころのごはん手帖-食べる門に福来る-」by Ameba-DVC00322.jpg


中央部分に穴のあいた大根がお目見えです。


この穴の部分、

薔薇の花を生けるためにくり抜いてあるそうです。


園山真希絵オフィシャルブログ「こころのごはん手帖-食べる門に福来る-」by Ameba-DVC00323.jpg


おつゆを飲みほしたお椀の底には、

「寿」、


園山真希絵オフィシャルブログ「こころのごはん手帖-食べる門に福来る-」by Ameba-DVC00324.jpg


蓋には、

「福」の文字が刻まれてます。


ご覧の通り、

お椀の内側は、金の漆ですが、

金を食べると、

人間の免疫力が高まるとのこと。


これでますます

私もミラクル元気体になってくれたことでしょう。


園山真希絵オフィシャルブログ「こころのごはん手帖-食べる門に福来る-」by Ameba-DVC00325.jpg
「焼、落鱸」


鱸の焼き物ですが、

女将さん曰く、

「この鱸、スナズリの部分がおいしいから、そこは手でがぶっといきんしゃい」と。


園山真希絵オフィシャルブログ「こころのごはん手帖-食べる門に福来る-」by Ameba-DVC00329.jpg


かりっと香ばしい皮目も、

日本酒が進むのなんのって。


因みに、

『壬生』さんでは、

日本酒(菊姫)しか飲み物はありません。


そのお酒が、

4人掛けテーブルの上にどーんと1つ置かれてますが、

各々、セルフサービスでついで頂きます。


園山真希絵オフィシャルブログ「こころのごはん手帖-食べる門に福来る-」by Ameba-DVC00330.jpg


「このおいしい鱸とおいしい日本酒を体に入れたら、嫌なことなんて忘れちゃうでしょ」

「そもそもおいしい料理とお酒を楽しんでる時、嫌なことなんか考えるのが大間違い!」

と女将さん。


説得力ある女将さんの迫力の一言です。


ミニチュア大葉と花穂が、

小さくても、

魚の後の口を爽快にしてくれます。


園山真希絵オフィシャルブログ「こころのごはん手帖-食べる門に福来る-」by Ameba-DVC00336.jpg
「煮、冬残冬瓜」


焦げ目がしっかりつくまで焼かれた丹波栗は、

まるでじゃがいもとさつまいもの子供みたいです。


しゃりっとしつつ、

ほくほくです。


冬瓜は、

かつおだしだけで炊かれたものですが、

私にはどうしても、

「いちじく」と「蕗」の味が感じられて仕方ありませんでした。


食べ終えて、

一晩経っても、

喉の奥に余韻が残ってます。


最後の一滴までおつゆを飲みきります。


園山真希絵オフィシャルブログ「こころのごはん手帖-食べる門に福来る-」by Ameba-DVC00339.jpg
「止、飯」


『壬生』さんのご飯は、

いつも食べる寸前に炊き上がったものなので、

おじやのような水分が多いご飯です。


旅館の朝ご飯に出てくるようなおかゆに近いかもしれません。


かなりの量がありますが、

食べ終えるのが名残惜しい素晴らしい松茸ご飯です。


こそっと、

「もう一膳ほしいなぁ…。ついでに最初の松茸天ぷらもお代わりしたい…。」と

呟いてた、

どこに行っても、

あこぎ な私です。


園山真希絵オフィシャルブログ「こころのごはん手帖-食べる門に福来る-」by Ameba-DVC00342.jpg

「お菓子」


巨大ドーム型の物体が、

女将さんによって運ばれてきました。


「淡雪かん」 とのこと。


これを、

女将さんが大胆にカットして、
出してくださいます。


園山真希絵オフィシャルブログ「こころのごはん手帖-食べる門に福来る-」by Ameba-DVC00354.jpg


中には、粗く刻まれた洋梨がいます。


一見、蒸しパンにも見えますが、

口に入れるとすぐにしゅわっと消えてしまうので、

まさに淡雪のようです。


BIGサイズですが、

あれよと言わんばかりにお腹に消えてました。


園山真希絵オフィシャルブログ「こころのごはん手帖-食べる門に福来る-」by Ameba-DVC00364.jpg
「止、お菓子」


慈姑を揚げたものと、

そうめんを揚げて、松に見立てたものです。


園山真希絵オフィシャルブログ「こころのごはん手帖-食べる門に福来る-」by Ameba-DVC00361.jpg


慈姑の皮部分はかりかり、

身の部分は、

栗そっくりです。


こちらで今月の『壬生』料理は、

幕を閉じます。



毎度のことながら、

私以外のお客様は、

40歳とか50歳も歳の離れたおじいちゃま・おばあちゃまばかりですが、

全てきれいに平らげてらっしゃる姿を目の当たりにすると、

『壬生』さんの1時間半が、

生きる喜びや楽しみの場にもなってるんだろうなぁと思います。


先日の『オギノ』さんで出逢った老夫婦のことを思い出しました



訪れるたび、

女将さんに腕を握られながら、目をじっと見つめられながら言われますが、


「私達はもう歳だから、

これからは、まりちゃんが、

まりちゃんみたいな若い世代に、日本を伝えていくんだよ」と。



私の名前は、


正真正銘「真希絵」ですが、

どうも女将さんの中では、

「まりちゃん」のようです。


何度、「真希絵ですけど…。」と言って、

何度、名刺を渡し、

何度、お手紙に、「園山真希絵」と書いて渡したことか。


それでも、やっぱり今日も私は「まりちゃん」でした。



でも、

「何年通っても、名前の一文字も覚えないし、名前すら呼んでもらえない方がたくさんいる」と、

ご主人におっしゃって頂いたので、


「まりちゃん」と呼んで頂けるだけでもありがたいことです。


「ま」は合ってますしね。


『壬生』では「まり」でいこうと決めた矢先、

女将さんが、

一冊の本を見せてくださいました。


園山真希絵オフィシャルブログ「こころのごはん手帖-食べる門に福来る-」by Ameba-DVC00340.jpg


レイチェル・カーソンの「センス・オブ・ワンダー」です。


中身をぱらぱらめくっただけですが、

一日も早く購入して、熟読し、

自分のスタッフ達 にも読ませたいと思える内容です。


ふと、

「一番大切な贈りもの」って何なんだろうなって、

考えさせられました。


そして、


園山真希絵オフィシャルブログ「こころのごはん手帖-食べる門に福来る-」by Ameba-DVC00169.jpg


女将さんから頂いたお土産を持って、

『壬生』を後にした「壬生名:まり」です。



そうそう、

来年のお月謝袋が手渡されたのですが、


園山真希絵オフィシャルブログ「こころのごはん手帖-食べる門に福来る-」by Ameba-DVC00193.jpg


しっかり「まり様」と書かれてます。


裏には、

来年の私の訪問日が記されていましたが、

(『壬生』さんでは、一年間のスケジュールが決められてます)


そちらも


園山真希絵オフィシャルブログ「こころのごはん手帖-食べる門に福来る-」by Ameba-DVC00243.jpg


「まりさん」でした。


しかし、朗報です。


今年まで私は、私1席しかお席がなかったのですが、


女将さんから、

「まりちゃん、来年から、お月謝袋に数字が書いてある月は、

あと一人、まりちゃんがどうしても連れてきたいと思える人なら、連れてきていいわよ」と。

というわけで、


『壬生』さんに行ってみたいという方を、

来年2月・3月・5月・7月・8月・9月・12月に、

それぞれ1名様ずつお連れできることになったのであります。


つまり計7名様と、

『壬生』さんを共にできるということです。


私の毎月の時間は、

14時~15時45分です。


毎月のお月謝は、

2万5千円です。


前々から行きたいとおっしゃってる方に、

先着順でお声をかけさせて頂くことに致します。




人生の楽しみ・生きがいに「食」と「歴史」は外せないという方、

もっと奥深く「食」と「歴史」について知りたいという方、

視野を広げてみたいという方、

日本にみならず、

地球の歴史・文化、

真の「食」について体感したいという熱い想いを抱いてらっしゃる方と、


(無論、モリモリ食べられる方に限ります)


『壬生』時間をご一緒できる日を、

心より楽しみにしております。



私が、

食の人生観を変えてくださった偉大なる『壬生』さんです。



本名:園山真希絵

えだまめん 名:まめ絵

『壬生』名:まり

拝。


※お土産に頂いた「かわはぎのアラ」と「冬瓜」は、


園山真希絵オフィシャルブログ「こころのごはん手帖-食べる門に福来る-」by Ameba-DVC00256.jpg

お味噌汁になりました。