私を変えてくれた場所です。
10ヶ月前に、初めて出会って、
食に対する考え方が見事に変わり、
さらに、
日本で生まれ、
日本で育ち、
今も日本で生きているのに、
あまりにも日本を知らない自分を改めるきっかけになりました。
会員でないと、伺えない貴重なお店ですが、
願いに願い続けていたせいか、
今日から『壬生』の会員になることができました。
予め、
女将さんから、
一ヵ月ごとの年間スケジュールを指定されます。
その決められた日にしか伺うことはできません。
2万5千円のお月謝を納めて、
女将さんのお話を聞きながら、
お食事と日本酒を頂きます。
壁に祭られた今月の掛け軸は「雪丸げ」です。
お品書き最初に書かれた今月のテーマは、
「若水」です。
その「若水」を元に、
ご主人の魂が込められた8品のお料理が運ばれてきますが、
最初から最後まで、
歴史と物語があります。
お料理のはじまりは、
蜜だけで炊かれた柚子の中に、
水だけで柔らかく炊かれた白いご飯を太陽に見立て、
手前には、
白雲に見立てた数の子が添えられたものでした。
その後、
350年前に作られた楽焼き(宗入)などをはじめとする幻の器に、
雲丹と合わせられた実芭蕉等々が顔を出してくれました。
実芭蕉とは、バナナのことだと、
この場で初めて知りました。
どこをとっても、
五感全てを通しての感動があります。
ここは、
料理がどうこうだけの世界ではありません。
料理の先にある明るい光を見つけるための場所であり、
気づくことを気づかせてくれる場所でもあります。
帰り際、
お女将さんから、
肩をぼーんと叩かれ、
そのまま肩に手を置いたまま、
「その歳でここに来てるんだから、あなたが、あなたみたいな若い世代をひっぱってくのよ」
「私達はもう後が短いんだから、私達に代わって、これからの日本を頼むわよ」
「心底頑張んなさいね」
「うちに来るの休んだら首だかんね、よー、覚えときんしゃい」
「とにかくご両親を大切にしなさいね。 あなたがここにいるのはご両親のお陰だからね」
と、
涙交じりの目で、力強くおっしゃってくださいました。
おっかない女将さんですが、
言葉一つ一つに、重みと深みと愛情があります。
きっとこの先、叱ってくれることも多々あると思います。
でも、幸せな未来のためにも、
ありがたく、たくさんのお説教を頂こうと思います。
その分、私も日々勉強を怠らず、
いろんなことを学ぼうと思います。
人の力って偉大です。
「生まれたこと」と「生きること」をもっともっと大事にしようと思います。