プロ野球は今、オープン戦や侍ジャパンの活躍など、ホットな話題がいっぱいですね。
今回から野球やゴルフ、テニスなどのスイングにとって欠かせない「腕振り筋」のトレーニング法を紹介しましょう。
以前、ボディターンの要である腰背部筋や骨盤のトレーニングを紹介しました。
今回は、その腰の捻じりと骨盤の回転にリンクする「腕振り筋」の重要性やトレーニング法です。
腕は肩の関節によって体幹とつながり、様々な役割を担っています。腕はスポーツシーンで見られるスイング動作をはじめ、投げる(野球・柔道・ハンマー投げ・砲丸投げなど)、支える(体操・重量挙げなど)、泳ぐ(水泳)といった動作時に、大きなパワーを発揮します。
腕の大きなパワーを発揮するためには、腕の力と体幹の力を同調させるとともに、肩の安定力(スタビリティ)と広背筋や大胸筋、三角筋といった体幹と腕をつなぐ筋力がとても大切になります。
肩の安定力はインナーマッスルと上記のアウターマッスルの力の総合力で生まれますが、今回はまず広背筋の役割についてお話しましょう。
広背筋の図
広背筋は骨盤と腰椎から始まり、腕の骨(上腕骨)に付着しています。広背筋は背骨を両側から支え、背骨と骨盤を安定させ、体幹バランスをとりつつ、体幹と腕をつなぐ役割を果たしています。この仕組みによって、大きなパワーを発揮することができます。
例えば、ピッチング時には背骨の軸、骨盤の回転力を安定させ、バッティングやゴルフではヘッドスピードを高めるカギを握る筋肉です。
また、姿勢を安定させる脊柱起立筋をサポートすることでフォームの崩れを防止します。
さらにピッチングでは、常に体幹と連携し、体から腕が外れないようにパワーを発揮します。
つまり、広背筋はスイングやボールを投げる時の腕振りのパワーに対して、腕が体から離れようとする牽引ストレスを緩和し、主にブレーキの役割を果たしています。もしこの筋肉がなければ、ボールやバット、クラブと一緒に腕が飛んで行ってしまう訳です。
筋肉にはそれぞれの役割があって、その筋力によって様々なパフォーマンスが生まれます。人間の潜在能力を引き出すには動作分析をして、そのスキルを高めるために必要な筋肉を、より効果的にトレーニングをすることが大切なのです。
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