令和6年。
2024年2月18日日曜日。
今日、自宅で今春最初のカメムシを見つけた。
あの、臭い、屁こき虫である。
そして私は思い出す。
今から数年前のこと。
職場=介護施設に俳句を詠むのが趣味の爺様がいた。
筆字も達筆で、細長い色紙にスラスラスラ~っと書くこともできた。
おっとりしていて、優しくて、皆から好かれている爺様だった。
その爺様を私が入浴介助しているときに
「〇〇さん、今朝な、家の玄関で今年最初のカメムシを見たんよ!」
「春が来たのを感じるものはいろいろあるけど、カメムシで春を感じるなんて、嫌じゃわあ!」
と話をしたら、爺様が
「トッシュさん、一句できた!」
と言う。
カメムシで春の訪れを感じるというその句は、本当によく出来ていて、
「上手いッ!」
と2人して唸った句だったのだけど、
お風呂の中でビショビショの私は
「〇〇さん、今の句、後でまた書き留めさせてぇな!」
とお願いした。
そして入浴介助が終わった後の昼休憩時に
「〇〇さん、さっきの一句、もう1回教えて!」
と聞きに行くと
「・・・忘れた。」
えええーッ?!
って、私も覚えていない。
そうして、カメムシが季語?の一句は永久に分からなくなってしまった。
それからというもの、
毎年春が来てカメムシを見つけるたびに
「あの一句はどんなのだったかなあ?」
「すごく良い句だったんだけどなあ?」
と思うのである。
たぶん、来年も。
再来年も。