社長。

勤務２日目、社長に会った。

正確に言うと、
たまたま私の部署に来ていた彼に、偶然に遇った。

彼は、
北は北海道から南は福岡まで拠点を持つ会社のトップに君臨する人だ。

でも、じつは、
私は彼の顔を、あんまりハッキリと覚えていなかった。
だって、
今までに数回しか見たことないんだもん。

それに、この会社では、
どんなにエラソーな重役も、
工場で油まみれになる平社員も、
みな同じ制服、“ジャンバー”を着ることになっている。

だから、
社長だってフツ～にジャンバーを着ているので、
余計に、わかりにくい。

なので、「こんにちはっ♪」と
明るく声をかけた直後に、社長だと気がついた。

すると、その彼が、私の顔を見て、

「オゥッ！　　・・・あれ？どうしてここにいるの？」

と言ったのだ。

ええーっ？！
一派遣社員の私の顔を覚えているのーっ？！

しかも、前の職場には１年２ヶ月しかいなかったし、
アナタと口を利いたこと、なかったよ？！（たぶん。笑）

ものすごく動揺しながらも、
「昨日からコチラに派遣されました！よろしくお願いいたします！」
と満面の笑顔でモウシアゲルと、
「オゥッ！がんばれよッ！」
と言ってクダサイマシタ。

スゲー・・・。

社長って、私みたいな者でも顔を覚えているんだー・・・。

ちなみに、以前、
薄暗い廊下ですれ違ったとき、
やはり社長だと気がつかなくて
歩きながら「こんにちは♪」と挨拶をした後で
「ゲ！今の、社長だった！」っていうことがあった。

この会社では
社員とそれ以外の従業員の名札の形がぜんぜん違うため、
見れば、すぐに派遣社員だとバレてしまう。

「派遣社員の分際で
立ち止まって社長に挨拶をしない無礼なヤツ。」として
顔を覚えられていたのだろうか・・・？！

ヤバッ！！！