お迎えの車椅子に座り、
「車椅子、(私の体重で)壊れるんじゃないかな?」
とか、
「まるで、重病人みたいだ!」
などと冗談を言いながら、
エレベーターで両親と一緒に2階下の手術室へ向かう。
まだ、手術を受けるという実感がわかない。
手術室の入り口で、両親に
「行ってきま~す♪」と笑顔で手を振り、
部屋の中へ進んでいく。
まだ、実感がわかない。
でも、それも、ここまでだった。
車椅子を押してきてくれた看護学生と先輩看護師さんに、
「私たちは、ここでお別れです。」
と言われ、
「え?そうなの?」
と思ったとたん、
部屋の奥からワラワラ人が出てきた。
テレビドラマに出てくるような緑色の長い手術着を着て、
大きなマスクをつけ、
ほわほわした大きな帽子をかぶった人たち。
大勢の人に囲まれ、
手伝ってもらいながら小さな階段を登って
車椅子からストレッチャーに、そろりそろりと移る。
寝転ぶのも、そろりそろり。
でも、寝転がったと思ったら、
ガーッ!ってすごい速さ(に思えた)で手術室へ移動。
このストレッチャーはそのまま手術台になるらしく、
あの、丸いライトの下で、
ガチャンガチャンという音とともに固定された。
周りでは、スタッフが慌しく準備をしている足音が聞こえる。
ほわほわの帽子をかぶらされ、
身体中のあちこちに、
いろんな装置が付けられていく。
酸素マスクを当てられる。
こここ怖い~ッ!
手術そのものよりも、この雰囲気のほうが怖いよ~ッ!