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双葉🌱です。
若き日の双葉の美容外科看護師奮闘記を連載中です。心を込めて書きます。
双葉🌱の忘れられない人ストーリー
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【第09話】煩悩を全て断ち切りたい!7日間の座禅修行「摂心」へ
「蒼先生、わたし摂心に行ってきます!」
「えっ?摂心って何?それ何処⁉」
蒼先生は、怪訝な顔でそう尋ねました。
摂心「セッシン」と呼びます。
接心と書くこともあります。
摂心は、お釈迦様が菩提樹の下で坐禅を組み、悟りを開かれたことにちなみ行われる7日間の坐禅修行のことです。
私は、蒼先生のクリニックを退職しようと思いつつも、心の中では迷い続けていました。
このまま行けば、いつか病気になるかもしれない。
過労で倒れるかもしれない。
鬱になるかもしれない。
先生が目の前にいるのに、他の人を探して婚活することはできない。
でも、もう少しがんばったら先生は私を認めてくれるかもしれない。
女性として見てくれるかもしれない。
いろいろな思いが交錯していました。
私は朝活で坐禅会をしているお寺があり、よくそこで朝坐禅をしていました。
坐禅をすると、心が落ち着き、意識が鮮明になって、はっきりしてくるんです。
呼吸を整え、全てが新しく生まれ変わる感覚が好きでした
今の本当の気持ちが知りたい!
自分の迷い、煩悩、すべてなくしたい!
気持ちを切り替えたかったんです!
そして、人生で1度は摂心に行きたかった!
それが今だ!と思いました。
幸い、季節は秋。
夏休み中の繁忙期を終え、クリニックは落ち着いていました。
マネージャーとして、人員配備を万全にして、引き継ぎをし、10月1日〜7日に行われる摂心会に向けて、9月30日福井県にある仏国寺へと向かいました。
午前3時45分に起床し、午前と午後の2回行われる提唱を除き、ほとんどを僧堂で坐禅に専念します。
終わるのが夜の9時ですが、その後も、夜座といって、坐禅を続けることもしました。
摂心の間は、私語厳禁です。
入浴できません。シャワーすら入れません。
ひたすら自分の心と向き合う時間です。
言葉を発するのは、朝晩のお勤めと、老師様に謁見する時だけです。
老師様への謁見も、カウンセリングみたいに話すのではなく、「数息観に参じております!」という一言を発するのみ!
後にも先にも、ここまで、言葉を発さなかったことはありません。
聖なる言葉のみを発する7日間。
福井県の秋は朝晩冷え込みました。
辛くなかったと言えばうそになりますが、
クリニックからの電話からも開放され(私語厳禁だから電話には出られませんと伝えていました。)、自分の心だけと向き合う時間は、本当に夢のような時間でした。
それまで溜め込んだ毒がすーっと抜けていくようでした。
きっと、辛さをお酒で紛らわせていたので、肝臓にも負担がかかっていたんだと思います。
もちろん般若湯などありませんから、7日間禁酒です。
摂心期間は、必死に坐禅をしていたので、お酒が欲しくなることもなく、座って、座って、座り続けていました。
摂心を無事にやり終えることが出来ました。
やり通せた歓びでいっぱいでした。
そして一般の参加者のお世話をして下さった修行僧の方への感謝の気持ちでいっぱいでした。
摂心が終わり、安堵の雰囲気にお寺全体が包まれていた頃、急に風が強くなり始めたのです。
「何かな?」
今まで閉められることのなかった、雨戸がしめられていきます。
そして携帯のニュースをみて、大型の台風が近づいてくることがわかったのです。
(見なきゃいいのに、見てしまったのです!!)
それまで、穏やかだった私の心は、急にざわつき始めました。
「仕事が待ってる!帰れなくなるのは困る!明日中に東京に戻らなくては!!!」
本当は、摂心会の後の大掃除も参加したかったのですが、翌日、挨拶をそこそこに、私は仏国寺を後にしました。
台風は大型で勢力も強いものでしたが、神様のご加護もあり、無事に東京につくことが出来ました。
しかしながら、坐禅中に得られた心の静寂は、台風によって、一気に吹き飛ばされ、現実のしがらみの中へ私を一気に突き落としました。
私は凡人なので、仏国寺での静寂の時間と、現実に戻った時のギャップの差に苦しみ、何故ここまで気持ちが揺さぶられるのだろうと困惑するのでした。
摂心会に参加して、自分を大切にしようと思いました。
ただ座る。今ここだけに生きる事。
未来も過去もない。
今ここに生かされているという一真実。
自分の人生を生きよう!
他人の人生に乗っからない!
そう決意しました。
その頃のクリニックは、実はスタッフが充実しており、美容外科クリニック出身の看護師スタッフが二人もいました。
後を任せられるスタッフがいたのです。
私は自分の人生を生きるために、
クリニックを退職する決意をしました。
そして、何故私が蒼先生のクリニックを辞めるのか、しっかり蒼先生にお話ししたいと思いました。
自分の乙女心も含めてです。
私はいつも通り深夜まで残務を片付けて、いつものように蒼先生と壁越しに雑談をし、そして帰り際に、先生にお話ししました。
先生の夢は素晴らしい。
先生の行動力は素晴らしい。
私も先生を見習って、自分の勉強したいことをやりたい。自分の人生を生きたい。
結婚もしたい。
でも、先生の存在が大きすぎて、他の人が目に入らない。
私がここまで頑張れたのは、ひとえに先生に認めてもはいたかたから。
先生が私の人生をも受け入れて、一緒に生きてくれるのならば、これからもがんばれるけれど、そうでないならば、私はここを卒業して、違う場所で生きていきたい!
そんな内容だったと思います。
先生は、壁越しに、じっと聞いてくれました。
私は、話を伝えて終わると、
先生にお礼を言って、クリニックを後にしました。
もうこれで心残りはないと、晴れやかな気持ちで私は自転車を漕ぎ始めました。
【第10話に続く…】
次回、先生に退職することが認められ、
自分のしたかったことを、次々と叶えていきます。
叶えたゆめとは…
最終回まで、あと2回です。
心を込めて書きます。
最後までお読みいただきありがとうございました。
今後ともよろしくお願い致します。
双葉🌱