【中世と目が合う本】

 

Facebookを開いたら、

ももちゃんの誕生日!

 

ちょっと前から紹介したかった、

彼女の本があって、

いまがその時!

と思い、あわててご紹介です。

 

以前にも、

日本民藝館・特別展の講演会のブログ記事で、

ご紹介しましたももちゃんこと金沢百枝先生の、

 

【古い工芸の声を聞く】

https://ameblo.jp/maki-seo/entry-12828643330.html

 

彼女の新しい著書、

『キリスト教美術をたのしむ 旧約聖書篇』新潮社

がこちらです。

 

 

 

 

キリスト教美術って真面目そうだと思っていませんか?

 

図版が300点以上掲載されている、

この本を読んだら、

宗教美術に関する固定観念が、

崩れ去ることと思います。

 

どのページを開いても、

なんともユーモラスで愛らしい作品と目が合い、

たまらなく幸せな気持ちになるので、

いつも手元に置いて、

なでなでしてるんです。

 

中世に、

なんとか聖書のお話を伝えたいと思った作家が、

「つたえたいこと」を全力で表現した結果、

 

嘘でしょ!

って言いたくなるような、

表現が生まれた。

 

ときに、ピュアで、

ときに、突拍子もなく、

ときに、ぶっ飛んでて、

ときに、大爆笑してしまう表現、

その威力ったら!

 

それを、

ヨーロッパに度々足を運んでは、

発掘してくる、

ももちゃんの目利き力恐るべし。

 

 

で、

ふと思ったんですよね。

 

数百年後の人に届くメッセージって?

こっちなんじゃないかって。

 

立派で、強く、大きいものが、

生き残るとは限らない。

 

その分、

風当たりも強くて、

摩擦や衝突や軋轢が起こるかもしれない。

 

どっか変で、

どっか弱そうで、

どっか危ういけれど、

たまらない魅力をもつものこそが、

 

縁あって手にした人たちが、

大切に愛でて、

受け渡して、

何百年も、

生き続けることができるのかも。

 

いま、

わたしが、

作品を見る時、


作品を作った人、

作品をリレーした人たちと、

心が通じ合って、

目配せしてるような、

気持ちになります。

 

同じツボにハマって悶絶した、

過去に生きた仲間たちよ、

可愛いですよね〜

って感じ。

 

ももちゃん、

幸せな本を書いてくださって、

ありがとうございました!

 

 

金沢百枝

カナザワ・モモエ

美術史家。西洋中世美術、主にロマネスク美術を研究。東京都生まれ。インドで育ち、英国で教育を受けた後、東京大学大学院理学系研究科及び総合文化研究科にて博士号取得(理学・学術)。多摩美術大学美術学部芸術学科教授、アートとデザインの人類学研究所員。著書に『ロマネスクの宇宙 ジローナの《天地創造の刺繡布》を読む』(島田謹二記念学藝賞)、『ロマネスク美術革命』(サントリー学芸賞)、共著に『イタリア古寺巡礼 ミラノ→ヴェネツィア』などがある。『工芸青花』でロマネスク美術について連載中。