☆己を知ったら自惚れすっ飛ぶ☆

☆己を知ったら自惚れすっ飛ぶ☆

タイトル変えてみました。フランスのことわざだったと思います。「自惚れでかろうじて人は生きているのに、自分自身を正確に知ったら、自惚れという生きる糧をなくしてしまうじゃないか!」という意味だそうです。


雷鳴が轟く

宗滴「もし、わ主が貞景様であったなら、わしは死んでおったな」
滝「と、申されますと…❔」
宗滴「あれは…わしが初陣の時じゃ」















宗滴「敵が逃げおったので、わしは手勢を引き連れ追撃に移ったんじゃが、それは敵の罠じゃった。わしは忽ち敵に囲まれてしもうた…。その時、貞景様が全軍を率いて我らを助けに来てくれたのじゃ」

野崎「そんな事が…」
宗滴「わ主のおかげで勝ったわ❕と貞景様は申された」
山村「それは…何故に…」
宗滴「その戦いは序盤は敵が優勢じゃった。三百騎余り討ち取られたからのぉ。貞景様も退くしかないとお考えだったようなんじゃが、わしが取り残されておると知って、家臣が止めるのも聞かず、わしを救う為に真っ先に飛び出して行かれた。家臣もそれを追ってわれ先にと飛びかかる。敵はその勢いに恐れをなし、怯んだ。その隙をついて、お味方がなだれ込み、五百騎余りを討ち取ったのじゃ。」
滝、伏目がちに聞いている。
宗滴「…貞景様は恩着せがましい事は一言も申されなかった。」
野崎、軽くうなずく。
宗滴「後に義理の兄の景豊殿から貞景様への謀反を持ちかけられた時、わしは悩んだ…。景豊殿はわしを高く買っておって、わしが陣頭に立てば勝てると考えておったようなんじゃが…。如何にも、かいかぶりすぎじゃ。それに御恩のある貞景様に弓をひく気にはとてもなれん。その時じゃ、わしが教景から宗滴になったのは」
山村「出家されたのでござりまするな」
宗滴「左様。貞景様に景豊殿の謀反を告げた時、貞景様は申された。かたじけない。わ主もつらかったろう、と。その時、わしはこの方の為に身命を賭してお仕えしようと心に誓ったのじゃ」
山村、腕を組む。
宗滴「ま、昔話はこれまでじゃ。滝…。わ主の心配はもっともじゃ。なれどな、味方が多ければ、それで勝てるというものでもない。山村が申したように大人数は目立つ。故にかえって難しい場合もある。小人数の方が良い場合もある。わしは今がその時じゃと思う。敵に気取られずに動くにはこの人数で良い。円官寺の坊主共は確かに我らの5倍じゃ。しかし、時が経てば西光寺からまた坊主が来る。10倍、20倍になるやもしれぬ。そうなれば、もう殿下を救う手立てはなくなるやもしれぬ。滝、頼む❕わしと共に戦ってくれ」
と言って頭を深く下げる。
滝「(両手をついて)滅相もござりません。このそれがしこそ、殿と共に戦わせてくださりませ」
宗滴「かたじけない」
と言って立つように促す。
宗滴「早速じゃが、滝と早見は…」
そこから小声になり、何を言っているのか聞こえ無い。
円官寺内、坊主が寝ている。座りながら寝ている者もいる。
そこへ突如、表門を打ち破ろうとする音が❕
円官寺僧侶達、驚いて表門に集まる。
ついに打ち破られる表門。そこに宗滴と数人の男達が。
宗滴「降れば命だけは助けてやる」
円官寺僧侶A「ほざくな❕」
円官寺僧侶達、一斉にかかるが山村や野崎達にバタバタと倒される。騒ぎを聞きつけ裏の方からも僧侶が集まってくる。
晋二郎「あれは宗滴じゃ❕」
円官寺住職「飛んで火にいる何とやらやな。者ども、討ち取って名を上げるんや❕」
円官寺僧侶達、またも一斉にかかる
晋二郎「それにしても、表から来るとは大胆というか…」
晋二郎、ハッとして裏に行く。そこには島を助ける滝と早見の姿が。
晋二郎を見つけた島、素早く飛びかかる。
島「この野郎❕」
ボコボコに殴られる晋二郎。
早見「島殿❕」
滝「好きなだけ殴らせてやろう。我らは我らの仕事をするのじゃ」
早見、軽くうなずく。滝と早見、かがり火を倒して寺に火をかける。
表で戦っている僧侶達、裏に火の手が上がっている事に気づく。
円官寺僧侶B「火事じゃア❕」
義経(ぎけい)「どこからじゃア❕」
円官寺僧侶C「裏からのようや❕」
動揺する僧侶達。円官寺僧侶達、矛先が鈍る、その機を逃さず、散々に討ち取る宗滴達。怯む僧侶達。
円官寺住職「おい、なにしてるんや❕義経(ぎけい)早よぅかからんか❕」
ジリジリと住職ににじり寄る宗滴達。ジリジリと引き下がる円官寺僧侶。
宗滴「命を捨てるに値する住職ならばそれがしにかかってまいれ。さもなくば退くことじゃ」
僧侶達、後ろの方からわらわらと逃げ出す。
遂に一人残される円官寺住職。
宗滴「わ主が住職か❔」
円官寺住職「待っ、待ってくれ。うらは…うらは雇われただけや!」
山村や野崎にぎゅうぎゅうに縛り上げられる住職。
宗滴「またと無い人質じゃな」
うなだれる円官寺住職。
山村「火を消しまする🔥」
宗滴「頼む」
そこへ島が現れる。両手をついて島がひれ伏す
島「申し訳ござりませぬ」
宗滴「(かがんで)わ主のおかげで勝ったわ❕」
島「はっ…。畏れ入りまする❕」
宗滴「ところで、通じておったのは…❔」
島「はっ、あちらに…」
指差す方向にぐったり倒れている晋二郎がいる。晋二郎に近づく宗滴と島。
島「殺してしまったようで…」
宗滴「やはりこやつか…死んで当然の奴じゃ…」
宗滴、首の脈拍を確かめようと首を掴む
晋二郎「(腕を掴んで)ギャー❕❕」
宗滴、思わず手に力を込めてトドメを指す。
宗滴「(立ち上がり)死ねばいいんじゃ、こんな奴」
晋二郎の頭に思いっきり蹴りを入れる
宗滴「さて、住職に話を聞こうか❔」
宗滴、住職に近づく。
宗滴「名は何と申す」
住職、押し黙っている
野崎「言え❕」
野崎、ボコボコに殴る。
宗滴「さっさと申せ❕この痴れ狗が❕」
宗滴も蹴りを入れる
円官寺住職「分かった、分かった。言う、言う。暁了、暁了や❕」
宗滴「では、暁了。石田の西光寺以外に同心している寺はあるか❔」
野崎、腕を振り上げる。
暁了「分かった、分かった❕えーと、何じゃったかな」
野崎「とぼけるな❕」
宗滴「長太、あとは頼む」
野崎「はっ」
二人のやり取りをよそめに山村を呼んで、その場を離れる宗滴。
宗滴「敦賀の軍はいつ着くかな❔」
山村「夜を徹して、こちらに向かっているよし。早朝には着くかと」
宗滴「上々じゃ」

「その後、宗滴は敦賀から来た軍と合流。府中表にて一向一揆の仲間と思しき寺の僧侶達を片っ端から討ち取ったり、捕縛したりしたのでございます。」



「数日後」


障子が開け放たれた座敷にいる宗滴。そこに島がやって来る。
島「宗滴様、畏れながら…」
宗滴「助からなかったか❔」
島「如何にも」
宗滴「もう一人の方の詮議は❔」

山村「どうにも上手くいきませんな」
いつのまにか、障子の向こうに山村がいる
宗滴「おぉ、入ってくれ」
山村、宗滴の前に座る

山村「もう一人の方が死んだと承りました。それをあやつに言えば、或いは安心して喋り出すやも知れませぬ」
宗滴「もう一人から密告されるのを恐れたか…」
山村「恐らく」
宗滴「奴に会わせてくれぬか」
山村「はっ」


城からかなり離れた刑場。拷問の道具が揃った部屋に忍者🥷が繋がれている。


宗滴「(忍者に向かって)もう一人の方は死んだ…。」
忍者🥷「…そうかい」
宗滴「あまり話さないと拷問しなきゃならなくなるが…」
忍者🥷「結局、それか❔」
宗滴「金を取るか、拷問を取るか」


忍者🥷「円官寺…」
宗滴「…❔寺か❔わ主を雇ったのは寺か」
忍者🥷「そうじゃ」
宗滴「どこの寺じゃ❔」


忍者🥷「…府中表、大塩の円官寺…」
宗滴「城内に手引きしたのは誰じゃ」
忍者🥷「顔は分かるが、名はどうかの…」
宗滴「名も知らぬ奴の手引きを受けるのか❔」
忍者🥷「あぁ。そもそも本当の名は名乗ってないはずじゃ」
宗滴「その、手引きした奴は何と名乗っておった」
忍者🥷「しんじろうとか言っておった。わしをしんじろくらいの意味じゃろうの〜(笑)」


宗滴「(山村に向かって)ちょっと」
山村「はっ」
宗滴、山村を連れて外に出る
宗滴「城内の者を城の一郭に集めて奴に面通しさせろ」
山村「集めたら門は閉めましょうか❔」
宗滴「いや、一箇所だけ開けておけ」
山村「(軽く頷き)かしこまってござる」
後日、城の一郭に金ヶ崎城に奉公する者が集められる。
家臣A「何が始まるんや❔」

家臣B「分からんの〜。それにしてもいかでか大勢じゃの〜」

忍者🥷が面通しの為、連れて来られる。
家臣A「あやつ誰じゃ❔」
家臣B「さぁ〜」
忍者を見てギョッとした男が一人、そそくさと門から出ていく。
石塚「(宗滴に向かって)一人、出て行った者がおります」

宗滴「後はつけさせているな❔」

石塚「はっ、山村様と殿下が」
そこに朝倉貞景の文を携えた野崎という近習が現れる。
野崎「貞景様より」
宗滴、それを見てギョッとする。
宗滴「わしは#一乗谷 へ行く。(野崎に向かって)長太郎は手勢を集めてわしと共に来てくれ。石塚は念の為、いくさの備えを触れて回ってくれ。そして、わしが一乗谷に向かった事、山村と殿下に伝えてくれ」
石塚「御意」
宗滴、足早に去る。野崎も去ろうとするが、石塚が野崎を捕まえて質問する。
石塚「長太郎様、今更にござるが…何故、島は殿下と呼ばれておるのにござりまするか❔」

野崎「あぁ、島は#越前 の#殿下 村出身なんじゃ。それより早うつなぎを」

足早に歩く門を出て行った男。その後を山村と島がつけている。山村と島は行商人の格好をしている。

島「…あやつ…。」

山村「どうした❔あやつが日頃、主が申す晋二郎とか言うやつか❔」

島「如何にも…」

山村「忍び🥷に本名を名乗っておったか(苦笑)」
島「ところで…宗滴様が一乗谷に向かわれるとは…何事にござりましょうか❔」
山村「あるとすれば加賀じゃろう。寄せ集めじゃが侮れぬ相手じゃ」
島「それにしても最初から、この手でいけばようござったやも知れませぬな」
山村「この手とは❔」
島「城内に家臣を集めて忍びに面通しさせるあの手にござります」
山村「…あくまでも捕らえた忍びが本当の事を白状しているか確かめる為じゃ。手引きした者が上手く引っかかるかどうか自信も無かった…。悪くすれば、あの場で捕らえた忍びが紛れ込んだ別の忍びにやられる恐れもある。ま、上手く引っかかって良かった」
島、そうか…と納得したような顔を見せる。

そうこうしているうちに、捕らえた忍びが言っていた円官寺に手引きしたと思われる男が入っていく。
山村と島、近くの茂みに身を隠す。
山村「中に入れるか❔」

島「この程度の塀ならば造作はござらぬ」

山村「中で奴らの様子を探ってくれ。わしは宗滴様につなぎをつける」
島「心得ました」
山村「何かつかんだら、ここで待っていてくれ」
島「はっ」
塀を乗り越えて寺に潜入する島。灯りのついている部屋の床下に潜り込む。
部屋の中、手引きした男が僧侶と話をしている。

晋二郎「(焦ったような感じで)放った忍び、捕まり申した」
円官寺住職「(動揺しつつ)忍びが…捕まったか…。宗滴が死んで首の一つも加賀に持って行けば、わしの株も上がるとと思ったんやが…薮をつついて蛇を出すとは、この事やの」
円官寺住職、力なく笑う
晋二郎「何とされる。我らの事…白状するじゃろうか❔」
円官寺住職「(少しイライラした様子で)何とするって…いずれにせよ、ここに居っては危険や。我らと同心する寺と図って密かに加賀に合流する…。…わ主は…石田の西光寺にこの事を伝えてくれ」
晋二郎「心得ました」
島、床下から庭に移動、しかしながら、小枝を踏んでしまい、音を出す。
円官寺住職「誰じゃ❕」
その声と共に50人くらいの円官寺の僧侶が武器を手に集まってくる。島、それを見て、こんなにいるのかとギョッとする。
円官寺住職「忍びか❔」
島「行商の者なれば…一夜の宿をお願いに…」
晋二郎「閉まっている門から如何様にして入った❕」
島「いや、…開いてござり申した」
円官寺僧侶A「でまかせを言うな❕」
叫びながら斬りかかる。島、咄嗟にかわし、懐の刀で返り討ちにする。二、三人飛びかかるがそれをも返り討ちにする島。それを見て一瞬怯む僧侶達。
円官寺住職「怯むな❕」
しかし僧侶達、中々、飛びかかれない。晋二郎、隠し持っていた石を投げつける。石は島の腕に命中。島は思わず刀を落とす。
円官寺僧侶B「テメェ❕」
円官寺住職「生け取りにせぃ❕」
円官寺僧侶、武器を捨て、素手で島に殴りかかる。島、2、3人殴り返す。晋二郎、またしても石つぶてを投げる。島、思わず怪我した腕で石つぶてを受けた為、悶絶する。その隙をついて僧侶達が一斉に飛びかかる。忽ち羽交締めにされる島。島に話しかける晋二郎
晋二郎「わ主…宗滴の…❔」
島「それがしはただの行商人じゃ」
晋二郎「いや、わ主は金ヶ崎城内で見知っておる。あのいけすかない野郎じゃ❕」
晋二郎、ボコボコに殴る。
島「わしも❕」
晋二郎「❔」
島「わしもわ主を見知っておる❕小男のくせに態度が大きく、仕事の出来ない者を大声で怒鳴りつける。怒鳴りつけるしか能のない、痴れ者じゃ❕更には…更には仕事をおしえるのが下手くそで、家来をますます仕事のできない人間に変える、人使い下手じゃ❕この裏切り者め❕」
晋二郎「なんじゃとぉ❕主じゃったか❕わしに不利な報せを逐一しておったのは❕」
島「わしの弟をいじめて、武士を辞めさせた報いは受けてもらうわ❕」
晋二郎「ほざくな❕」
晋二郎、また殴りつける。
円官寺住職「晋二郎❕晋二郎やめよ❕」
晋二郎、殴るのをやめる
円官寺住職「こ奴は…立木にでもくくりつけておけや❕」
円官寺僧侶達「はっ❕」
僧侶達、近くの立木に島をくくりつける。

山村、茂みに戻ってくる。茂みに島がいない事を訝しむ。そこへ宗滴と野崎と手勢もおっつけやって来る。
山村「中の様子を殿下に探らせたのでござりまするが…」
宗滴「まだ戻らぬのか」
山村「はっ」
早見「それがしが見てまいりましょうか❔」
野崎「おみさん、大事ないか❔」
早見「大事ない、大事ない」
早見、軽々と寺へ向かう。
野崎、見送りながら、宗滴に向かって
野崎「かの者、飄々としてござるが、身のこなしは軽うござる」

早見、寺に着く。塀に取り付き中を覗く。早見、ギョッとする。そこには立木にくくりつけられた島とその側を右往左往する僧侶達がいる。

円官寺住職「(晋二郎に向かって)石田の西光寺とはつなぎはついたんか❔」
晋二郎「如何にも。寝ているところを叩き起こし申した。支度でき次第、こちらに参るとの事」
円官寺住職「上々や」
晋二郎「(島を見て)こやつは❔」
円官寺住職「殺したいのは分かるが、またとない人質やからのぉ」
晋二郎、島を睨みつける
円官寺住職「加賀と合流できた時は殺させてやるで、待っとれや」
晋二郎「(ニヤリと笑い、島に向かって)待っとれ」
早見、それを見てギョッとした様子。急いで宗滴達の元に戻る。
早見「大変じゃ❕」
野崎「(小声で)大声を出すな❕」
早見「島殿が殺される❕」
野崎「何❔❕」
早見「何だかよくわからねーが、島殿をまたとない人質とか…。じゃが、加賀と合流したら殺すとか何とか❕」
宗滴「早う助けねば…」
宗滴、皆を見渡す。その中の一人、滝が早見に向かって言う
滝「敵は何人じゃ❔」
早見「50はおったかな…」
滝「我らの3倍、いや5倍はおる…」
宗滴「今、おるのは11人か…。表と裏二手に分かれて…」
滝「お待ちくだされ。敦賀から来る軍勢を待つべきではございませぬか❔」
山村「みだりに軍を動かす事はできんじゃろう…」
野崎「…それがじゃ…山村殿。軍を一乗谷に進めよ、と貞景様より御命令があったんじゃ」
宗滴「言うのがおそうなってすまなんだ。加賀の富樫恒泰と大戦になる」
野崎「芦原の堀江も春江の勝蓮花も支えきれず一乗谷に逃げて参った」
山村「となると、円官寺は…」
野崎「恐らく、通路切りを命じられておったのじゃろう」
早見「通路切り❔」
滝「敦賀から軍に運ばれる兵糧の行先を邪魔する事じゃ」
山村「あわゆくば、殿のお命も、という事じゃろう」
滝「それでは殿おん自ら島殿を助けに行くのは飛んで火にいる夏の虫ではござらぬか❔それに多勢に無勢は分が悪過ぎ申す。」
山村「だからと言って軍勢が寺に近づけば、嫌が上にも目立つ。坊主共は寺を引き払い一目散に
逃げるじゃろう。逃げる途中で足手まといになった殿下は…」
野崎「殺されるかもしれぬ」
滝「じゃが、だからといって、殿おんみずから助けに行くのは…」
宗滴「では主が助けに行ってくれるか❔」
滝「何故、それがしが誤ちを犯した者を助けねばならぬのござりますか❔」
宗滴「では、わ主は己が誤ちの咎は己が受くべきと」
滝「…如何にも」



「時は戦国時代、下剋上の世、と言いましても、#戦国時代 の始まりはいつからと問われれば#応仁の乱 から、下剋上 の始まりはいつからと問われれば#斎藤道三 から、というのが一般的ではございます。しかしながら、実はそれ以前の#南北朝時代 からその芽吹きはあったと言えばあったのでございます。殊に…下剋上と言えばこれ❕とでも言わんばかりの事件が越前 、すなわち、今の#福井県 嶺北にあったのでございます。文明三年すなわち1471年❕この年はちょうど応仁の乱が始まって四年後にあたりまするが、越前の北の端に#京都 を追われた#蓮如 というお坊さんが小さな小さな寺、世にいう吉崎御坊 を建てました。その#吉崎御坊 こと#本願寺は瞬く間のうちに大教団となり、遂には、その越前の隣にある#加賀 、今でいう石川県 加賀地方に絶大な影響を及ぼし始めるのでございます。その時の加賀の守護 は誰かと申しますと、「富樫政親」という人物。守護というのは今でいう#県知事 みたいなものでございますが、今みたいに選挙なんかで選ばれる訳ではございません。時の室町幕府 の#将軍 から任命される事が多い職務でございます。ま、それはそれとして、富樫政親は最初のうちは本願寺に対して好意的ではあったのですが、教団が勢力を増すにつれ、他の宗派と争いだしたのを契機に警戒しだします。その事を危惧した蓮如は他の宗派と争わないようにと信者たちの説得に努めますが焼け石に水。本願寺は徐々に#一向一揆 と呼ばれる一大軍事勢力となっていったのであります。これ以上、北陸にいては信者の為にならないのではないか、そのように思ったかは定かではありませんが、蓮如は文明七年、吉崎御坊ができて4年後、吉崎を退出するのであります。そんな蓮如の意図とは裏腹に蓮如の去った加賀ではさらに一向一揆が勢力をますことになり、加賀の守護、富樫政親は危機を感じ始め、これを除かんとした為、一向一揆と富樫政親の争いは激化❕そして遂に富樫政親 を本願寺はな、なんと❕蓮如が吉崎御坊を建てて17年後の長享二年すなわち1488年❕富樫政親の親戚であり、加賀の守護職を虎視眈々と狙っていた富樫泰高と手を結んだ本願寺は武力で富樫政親を倒し、加賀を事実上本願寺の領国としたのでございます。この事件の衝撃は相当なもので特に越前の守護、#朝倉家 においては他の大名が高圧線6000ボルトくらいの衝撃だったとするならば、朝倉家には稲妻⚡️一万ボルトくらいの衝撃が走ったのでございます。というのも、加賀の守護、富樫政親と本願寺が争いを始めた時に、本願寺を助けずに、富樫政親を救援せんと三千余の軍勢を派兵したからでございます。この、もはや革命とでも言っていい出来事以降、朝倉家は本願寺と宿命的かつ大規模な争乱へと引きずり込まれる事になるのでございます。それはそう…更に8年後の永正三年、1506年の事にございます」


越前#敦賀 、#金ヶ崎城 、城内を歩く#朝倉宗滴 。その傍を側近の山村清一郎が歩いている。ふと足を止めて庭を凝視する宗滴。山村も庭を凝視する。

宗滴「刀、刀を貸してくれ」

山村「はっ❕」

刀を両手で差し出す清一郎。刀を受け取り庭に素足で飛び降りる宗滴。二、三度、刀を振り回す宗滴。その刹那、ガチーンと金属音が響く。宗滴の前にいつの間にか刀を抜いた忍者🥷が立っている。

忍者「何故、俺が分かった〜」

宗滴「…なんとなく」

双方、鍔迫り合いから、飛び退き、改めて中段に構え直す。それを見て、清一郎、腰の辺りに刀を探すが刀がない。

山村「誰か❕誰かある」

宗滴「刀を捨てろ。じきに人が来る」

忍者🥷「…」

宗滴「いくらで雇われた❔ん❔倍、払ってやる」忍者🥷「…。」

宗滴「…❔」

忍者🥷「死んだら教えてやるわ❕」

忍者🥷、刀を上段に構える。宗滴「残念じゃが、それまで待ってられん。雇い主だけでも教えろ。されば命だけでも助けてやる」

そんな問答を続けているうちに騒ぎを聞きつけた宗滴の家臣たちが武器を手にして数人ほど集まってくる。

宗滴「観念しろ❕そが賢明ぞ❕」

忍者🥷「(うなり声を上げ、刀を落とし)降参じゃア」

宗滴「賢明じゃ。連れて行け❕」

山村「はっ❕」

家臣二、三人と共に忍者を縛り上げる。

宗滴「誰の手引きで城内に潜り込んだか吐かせろ」山村「はっ」

忍者をぎゅうぎゅうに縛り上げ連れて行く家臣二、三人。去り際、忍者🥷が宗滴に向かって

忍者「金、倍、払うって言うの。忘れんじゃねぇぞ」

宗滴「勿論じゃ。ただし嘘をついたら、ぶった切る」

忍者🥷「嘘かどうかなんて確かめようがねぇだろう❔」

宗滴「大体、相場というのがあってな。いくら払ったかによって、依頼主が大名かそうでないかおおよその察しはつく」

忍者🥷、渋い顔をする。

宗滴「連れてけ」家臣たち、忍者🥷を連れて行く。


宗滴「庭から座敷へ上がる。残りの家臣たちもそれに続く。座敷にどっかと座る宗滴。

宗滴「皆も座れ」

家臣一同「はっ」

その様子を天井裏の梁の上から眺める忍者がもう一人🥷

島「あのしのび、手引きした者や依頼主を白状致しましょうか❔」

石塚「適当な事を言って我らを欺くのでは…」

宗滴「で、あれば、それはそれでもよい」

家臣一同、微妙な顔をする。その様子を天井裏から見ている別の忍者🥷吹き矢の用意をする。

教景「そこもとの持つ、そは何ぞ❔」

石塚「はっ、鎖鎌にござりまする。」

教景「ちょっと貸してはくれぬか❔」

石塚「はっ❔はっ」

鎖鎌を差し出す石塚。それを見て今にも吹き矢を撃とうとする忍者。宗滴、石塚から鎖鎌のレクチャーを受ける。

石塚「鎖の先に付いた分銅と呼ばれるおもりを…振り回しまして…」

周囲の者、座敷から出払う。宗滴、ぶんぶんと分銅を振り回す。宗滴、突然、分銅を上に向けて放り投げる。分銅は天井を突き抜け忍者に命中。たまらず天井から落ちる。

忍者🥷「…何故、俺が分かった…❔」

宗滴「なんとなく」

家臣一同、驚いて忍者🥷に向かって刀や槍を向ける。

宗滴「傷の手当てをしてやれ」

島「はっ❔はっ❕」

宗滴「こやつ、何か知っておるやも知れぬ」

忍者🥷「どうせ…助からぬ…一思いにやってくれ」宗滴「どうせ、命を捨てるに値する依頼主ではあるまい」

忍者🥷「…。」

宗滴「連れてけ」

家臣一同「はっ❕」立たされて連れて行かれる忍者🥷一人残される宗滴。座敷から出て虚空を眺める。

暦の占いへの信頼がガタガタと…


2024年3月6日は#己巳 という#弁財天 様のご縁日で、弁財天にお参りするといい日と言われていますが、私はこの日、お参りには行きませんでした。#易という占いであまりいい結果が出なかったというのが主な理由ですが、暦に関する#占いへの信頼が今年の1月1日以降、揺らいでいるというのもあります。

実は2024年の1月1日は元日であると同時に天赦日、甲子という吉日が重なっていたのです。しかし結果的に能登で地震が起こるという暦の占いとは正反対の結果になってしまったのです。甲子は何かを始めるのにいい日でなのですが、天赦日は天が全てを赦すという年に数回しかない吉日なのです。そんな日に…。これで占い全てを信用しないとはなりませんが、暦に関しては今少し検証が必要かもしれません🤔

唐突ですが…#貧乏神 っていると思いますか❔もし居るとしたらどうすれば貧乏神になれると思いますか❔

「靴下🧦の穴を念力でふさぐ修行をする」

「映画館を透視してタダで映画を見る訓練をする」

答えは何れもNOで、#真実を語る黒子 さんに言わせると人の#悪口 を言えば死後、貧乏神に生まれ変わるんだとか。

察しのいい方は、では◯◯に入る言葉は悪口かな❔と思われたでしょう。確かにそうなんですが、そもそも世の中に悪口を言わない人っているんだろうか❔と私は思うのです。

#源氏物語 を書いた#光る君へ の主人公、#紫式部 ですが、彼女は#紫式部日記 の中で、#清少納言 に対しての悪口を結構、長々と書いています。


清少納言こそ得意顔をして大変な女でした。あそこまで利口ぶって漢字を書き散らしていますけれど、その学識の程度も、よく見れば、まだまだ不足な点だらけです。彼女のように人と違った特別な女でありたいとばかり思って、それに執着する人は、やがては必ず見劣りし、行く末はただ悪くなってゆくばかり。


だから風流を気取り切った人は、ひどく殺風景でつまらない時にも感動し、「素敵」と思う事を見逃すまいとするうちに、自然と感心できないような軽薄な様にもなるでしょう。そのような人の成れの果ては、どうして良いことがあるでしょうか。


何故、彼女がここまで苛烈な悪口を書いたか❔一説には#枕草子 の中で、彼女の死別した夫の悪口を書いたからだと言われています。


原文:衛門佐宣孝といひたる人は、(中略)紫のいと濃き指貫・白き襖・山吹のいみじうおどろおどろしきなど着て、隆光が主殿助なるには、青色の襖・紅の衣・摺りもどろかしたる水干といふ袴着せて、うちつづき詣でたりけるを、還る人も、いま詣づるも、めづらしうあやしきことに、「すべて昔よりこの山に、かかる姿の人見えざりつ」と、あさましがりしを(中略)これは、あはれなることにはあらねど、御嶽のついでなり。


訳:衛門佐宣孝(紫式部の夫)は紫と白と山吹色、その息子は青と紅とまだら模様の派手な服を着て連れだって参拝していた。みんな珍しがって「この山でこんな奇妙な格好をした人は見たことがない」と驚き呆れた。

この話は全然「しみじみと感じられる話」とは関係ないが、ついでに書いただけ。


ただ、この話の後段の中略の部分には


御嶽から帰る人も今から詣でる人も、『見たことがない』とその姿に呆れたけれど、参詣から帰って1ヵ月ほどで筑前守(ちくぜんのかみ)に任じられたので、『(宣孝の)言葉に間違いはなかった』と評判になった」


とフォローを入れているので、そこまで腹を立てる要因になるとは思われません。


理由については今となってはわかりませんが、紫式部が悪口を言ったのは、事実ではあります。


それに、悪口を言う人は嫌い、とインタビューで公言している#イチロー さんも、テレビカメラの前で、#松坂大輔 さんに向かって「お前、テキトーにやっただろう❔」と盛大な悪口を言っています。



また悪口でのし上がった#有名人 すらいます。


#有吉弘行 さんは#あだ名 芸人で華麗なるカムバックを果たしましたが、彼が#北島三郎 さんにつけたあだ名は

「与作ザル」

#黒柳徹子 さんにつけたあだ名は

「クソばばぁ」


あだ名というか、もはや悪口です😳


よって悪口というのはつい出ちゃうものでむしろ人間くさい、さらには#出世 までさせちゃうものだと私などは思うのですが、確かに悪口にはいいイメージはないです。

それは悪口を言っている状態がいいか悪いかが関係していると私は考えます。


件の紫式部の盛大な清少納言の悪口ですが、清少納言は定子という中宮(皇后に準ずる人)に仕えていて、紫式部が定子と対立する彰子にお仕えしていた事が関係しているのでは❔と推察します。

つまり、紫式部は彰子の歓心を買う為に定子の悪口を言う訳にはいかないので、清少納言の悪口を言ったのでは❔と推察されるのです。

よって、誰かが喜ぶような悪口なら貧乏神に生まれ変わることを忌避できるのでは❔と私は考えるのです。


しかしながら、問題は誰も喜ばない悪口の場合です。


この誰も喜ばない悪口ですが、精神状態が不安定な時、即ち逆境にある時は、たとえ誰かを喜ばせようとしても大すべりする可能性があります。うまくいかない時というのは、人を憂鬱にさせる要因が満ち溢れているので、そこに思考が引っ張られやすいのです。

よって仕事などがうまくいかない時などはとにかく休む。休んでもうまくいかないようなら転職する。履歴書的にはあまり宜しくないかもしれませんが、蓄えがあるのなら、仕事を辞めてから転職活動するのもいいかもしれません。それというのも、仕事の片手間の就職活動は、やはり憂鬱が邪魔して履歴書も面接も歯切れの悪いものになる可能性があるのです。


件の紫式部も#源氏物語 の構想を練る為に#石山寺 に何日か参籠しました。どうも彼女は憂鬱になりやすい性格だったようでわずらわしい宮中生活から離れないと執筆に専念出来なかったようです。今も昔も#すさまじきは宮仕 は真実のようです。