CD HUMORESKE「フモレスケ」が完成されました。これまでの人生をかけドイツロマン派を追求してきました。音楽が真に自己実現の道となり、それが形となった瞬間です。
幼い頃からショパンよりロベルト•シューマンの作品を弾く事が好きでした。その他ブルグミュラー、バッハ、ベートーヴェン、ランゲ、メンデルスゾーン、ブラームス、、、など。そんな私にとってドイツ留学したのも自然な流れでした。
ピアノを学びにドイツへ旅立ちましたが、シューマンと同じ血が流れる先生方、友人らと交流し、ドイツの自然を感じ、ドイツ語を話し、建築物より歴史を感じました。ドイツでは雨が落ち葉を打つ音が違います。ドイツは空気と建物が違うので楽器の響き方が違います。ドイツ語はアクセントや抑揚があり会話のフレーズが違います。ドイツではクリスマスの意味が違います。ドイツでは冬が厳しく長いため春が来る喜びが倍増します。信念を貫く気質がドイツにはありました。日本では舞台に出る時"頑張って!"と応援してくれますが、ドイツでは"viel Spass!" (楽しんで!)と言われます。ドイツで音楽は喜び"Freude" なのです。日本にいたら感じられない事を約5年間見て、聴いて、感じてきました。
師事したカイザー教授は、ロシアのモスクワ音楽院で学ばれ(DDR時代を生きられた先生)、ロシアンテクニック、そして豊かなドイツの音楽性をお持ちでした。レッスンでは、まず一回曲を通して弾き全体像を聴いてからレッスンが始まります。毎回違う曲を暗譜で持っていきます。私が何を表現したいのか自分の中で音楽が築かれていないとレッスンはして下さいません。レッスン室にはSteinway Cが2台あり毎回レッスンで隣りのピアノをカイザー先生が奏でて下さいます。その音楽を盗み自分のものにするという貴重な時間でもありました。その作品が生まれた時代や作曲家の心情、そのフレーズを私がどう捉え、どう和音を響かせるか、様々な議論をし合いました。目の前でドイツ人が奏でるベートーヴェンやシューマンのリズムや響きを感じ、ドイツ人の精神性のお話をうかがい、ソリストとしての楽器の鳴らし方、様々な音色、音楽が色鮮やかに奏でられるレッスンでした。
幸運に恵まれシューマンの生誕地ツヴィッカウ出身のピアニストがカイザー先生門下にいました。彼女はクララ•シューマンコンセルヴァトワールで音楽エリート教育を受けドレスデン音大に入学した強者です。彼女から受けたシューマンに関する影響は私にとってシューマンを追求するきっかけにもなりました。夏休みに彼女のご実家に招待され、ツヴィッカウの人々の暮らしを体験し、シューマンハウスを訪れ、シューマンの生家でシューマンの音楽を聴き、それらの体験は私を更にシューマンへ近付けました。CDをつくるなら、ドイツ・ロマン派の作品を弾きたい!とすぐに感じました。ある程度曲が出来上がりドイツへ飛びカイザー先生に聴いて頂き、多くのご指導を賜り一つの自信になりました。日本にいては決してできない事を経験し、それが心と身体に刻まれ、生まれたのが、このCD「フモレスケ」です。R.シューマンの「フモレスケOp.20」、「花の曲Op.19」、C.シューマンの「ロマンス・ヴァリエOp.3」、J.ブラームスの「ロベルト・シューマンの主題による変奏曲Op.9」が収録されています。
「フモレスケ」はドレスデン音大学生の頃知った曲で、シューマンの中にいるオイゼビウスとフローレスタンを比喩する非常にユーモラスに溢れたドイツならではの表現が施された作品です。ただの喜劇ではなく耽美的な作品です、いつか弾いてみたいという夢が今回叶いました。ロベルト・シューマンの奥さん、クララ・シューマンは天才ピアニストでロベルト・シューマンに8歳ころ出逢い、生涯彼の音楽を尊敬し愛し奏で続けました。12歳半頃、初めて憧れのお兄さんロベルト・シューマンの為に「ロマンス・ヴァリエ」を書きました。ロベルトの弟子であり、クララの大親友であったブラームス。生涯解決される事のない彼の心情が溢れる作品、「ロベルト・シューマンの主題による変奏曲」はロベルトへの敬意を表し、そしてそれをクララへ捧げるという深い愛を感じられます。そしてロベルト・シューマンの「花の曲」は、詩と音楽を融合した芸術作品の傑作だと感じます。花の感情を音楽で表すという見事な手法はシューマンにしかできない表現だと思います。
録音する際、音楽の本質に近付けたいという気持ちで弾きました。誠実に楽譜と向き合い、彼らが何を表現したかったのかを音と音楽にのせました。"Klangfarbe"、日本語に訳すと「音色」ですが、それらが鮮明に伝わるような音に仕上げたかったです。
幸運な事に素晴らしい感性と技術をお持ちのトーンマイスターさん、調律師さん、プロデューサーさん、そしてドイツでいつも弾いていたSteiway&Sons Dと素晴らしいホールが相まってCDをつくる事ができました。日本では、ドイツで聴こえてくるSteinwayの音を聴くことはなかなかありませんが、このCDのサウンドはまるでドイツにいるような感覚になります。
CDを聴いて下さったカイザー先生からのお言葉。。。
"Wir gratulieren Dir sehr herzlich! 🌹🌹🌹
Was mich besonders freut: Viele Stellen klingen sehr schön. "
心からおめでとう!🌹🌹🌹
特にうれしいのは、たくさんの部分がとても美しく響いていることだよ。
このCDはシューマンの生誕地ツヴィッカウ市の公文書館に所蔵され、ツヴィッカウ市立図書館で一般貸し出しされます。
裏は、1884年のシューマンの生誕地ツヴィッカウ市の絵です
CD発売記念リサイタル
CD制作、リサイタルと大変お世話になりました。森音楽事務所さん、NAXOS JAPANさんに感謝申し上げます。

































