昔々あるところに。


銀ちゃん、という、謎の生き物がいました。


パワフルで、独善的で、自分は王だと信じている男。


良くも悪くも、影響力の強い人で。


このブログを書き始めたのも。


会社を休職したのも。


友達にお料理を食べてもらうことも。


彼が背中を押してくれたことが大きかった。


彼が亡くなった日。


私はうっかり依存する気満々だった男性の家を飛び出してきて。


自宅でお料理の真っ最中で。


自分の身体は自分で作る醍醐味に勤しんでいたのに。


気がついたらその日以来、殆ど料理しなくなってしまっていた。


ここ数日。


急にストウブ鍋を勧められて。


八百屋さんに大歓迎を受けて。


突き動かされるように再開したら。


母が、友達が、美味しいって言ってくれた。


……そうだよね、美味しいんだよね、私の料理。


ふろふき大根は得意料理ということにすることにしたよ。


ずっと認められなかった。


自分が料理好きだって。


無意識に、誰かの料理と比べて。


無意識に、理想の完璧手順が出来ない自分を責めて。


無意識に、失敗するなんて得意とは言えないと自分を縛って。


無意識に、面倒になるなんて好きとは言えないと自分に呪いをかけて。



でも、もうそれいらないんだ。


何度だって、思い出すよ、このことを。


お彼岸に、彼を想う投稿をみて感じた気配。


忘れないよ。




沢山のありがとう、を。


……もう一度、会いたいなぁ……。