二週間のレスパイト入院から
帰ってきた母は
布を畳まなくなった
母がこの布を見ると
『畳まなきゃスイッチ』が入って
無心に畳み始めます。
頭を叩かれても無反応なほどに無心に。
だからその間に
私は、母の腹部に皮下注射を打ちます。
その際
母が、皮下注射で『チクッ』を感じると
母の手が瞬時に『バシっ』
注射を払いに飛んでくる。。。
容赦無しに。
この手が
もうめちゃくちゃ怖くて
刺してる最中に飛んでくると
針が刺さったままだから
お腹を裂くようなスタイルになる
細い細い針なので裂くことはありません
刺したまま、針が曲がることも
一年以上施してきたけど
この皮下注射だけは毎回緊張で
思い切り布に頼ってたのに。。。。
『おかあさーん
布、お願いしますぅー。。。』
『ははは』
布をかごからゆっくり出して、、
あぁ・・これ・・めんどくさい
とそんな声が出そうな様子で
またかごに戻すだけ。
『えー。
そんなぁー
お願いしますよぉー
やりましょうよー』
『ははは』
思い切り笑ったと思ったら
次の瞬間、無表情。
怖いくらいの。
まさにこの絵文字のように
からの
この相手にめちゃくちゃ気を遣う国、日本で
ここまで、あからさまに
目の前で無表情になれるなんて
巷ではなかなか見れなくて
ちょっと癖になるけど
機嫌を損ねぬよう
よいしょ、よいしょ、してみても
胃ろうは、なんとか
とうとう畳まず
ベッドの下に捨てられる始末
二週間。
長かったか。。。
休まなやってられないけど
長ーく休むと代償も大きい
食べられるようになったり
畳まないようになったり
そんな母の姿に皆、喜んだりがっかりしたり。
一緒に生活しているからこそのこれ。
一緒に生きてるって感じのこれ。
喜びもがっかりも
全て丸ごと喜んだらいい。
こんな日もきっと振り返れば優しい一日に。
そんな気がします。