『三才女』

作詞〜芳賀矢一(1867〜1927)


一、

色香も深き 紅梅の

枝に結びて 勅なれば

いともかしこし うぐいすの

問わば如何(いか)にと 雲居まで

聞こえあげたる 言の葉は

幾代の春か かおるらん







◇平安貴族の女性達が詠んだ歌を

 賞賛した歌『三才女』から 一番を。



 村上天皇は 紅梅の木が枯れたので

 従者達に代わりの木を探すよう命ずる。


 従者達は ある家に紅梅の木を見つけ、

 勅令であることを告げた上で掘り起こし

 持ち帰ろうとする。するとその時、

 その家の召使が梅の枝に短冊を結んで

 陛下にと差し出した。そこには和歌が。


「勅なればいともかしこし鶯の

 宿はと問わばいかか答えん」


 勅令とあらばお持ちください。しかし

 毎年この枝に来る鶯に 我が宿は

 どうなってしまったか?と問われたら

 どう答えたら良いのでしょう。。


 村上天皇は 和歌の詠み手は紀貫之の

 娘の紀内侍で、父が生前愛した紅梅を

 形見として慈しんでいたことを知って

 申し訳ないことをしたと恥じて悔いた。


 和歌は拾遺和歌集に収められているが

 天皇陛下へのご批判などできないと

 詠人知らずとされている とか音譜照れ