『夏は来ぬ』

作詞〜佐佐木信綱(1872〜1963)


一、

卯(う)の花の匂(にお)う垣根に

時鳥(ほととぎす)早も来鳴きて

忍音(しのびね)もらす 夏は来ぬ



二、

五月雨(さみだれ)の注ぐ山田に

早乙女が裳裾(もすそ)ぬらして

玉苗植うる 夏は来ぬ



三、

橘(たちばな)の薫る軒端の

窓近く蛍飛び交い

怠り諌(いさ)むる 夏は来ぬ



四、

楝(おうち)散る川辺の宿の

門(かど)遠く水鶏(くいな)声して

夕月すずしき 夏は来ぬ



五、

五月闇(さつきやみ) 蛍飛び交い

水鶏鳴き 卯の花咲きて

早苗植えわたす 夏は来ぬ





※卯の花・・・空木(うつぎ)の白い花

※匂う・・・目に美しい

※忍音・・・ひそひそ声

※五月雨・・・旧暦五月の長雨

※裳裾・・・着物の裾

※楝・・・栴檀(せんだん)の木の花

※五月闇・・・旧暦五月の暗い夜





◇卯の花 ホトトギス 早乙女・・・



 早くも立夏だなぁ という歌ですね音譜照れ