『羽衣』



三保の松原 うらうらと

日は晴れわたる 空の上

天津少女(あまつおとめ)の 舞の袖

あざやかにこそ 見えにけれ


あら かなしや

松の枝の 羽衣失せて

帰るすべなき 雲の通路(かよいじ)


得たりと拾ふ 濱(はま)の漁師

持帰りてぞ 宝にせんと


衣なくては 如何(いか)にして

雲居のはてに 帰るべき

疾(と)く疾く 返せ

人間に着る用もなき 羽衣を


返せとや さて返せとや

いと惜しけれど さらば返さん

天人(てんびと)も心しあらば

更に一さし 舞ひても見せよ


舞うや霓裳(げいしょう) 羽衣の曲

見る見る影は 遠ざかり

あとに残れる 富士の山

うららかにこそ 浮かびけれ





【作詞者不詳・文部省唱歌】





◇天女の羽衣のお話、でしたね音譜照れ