『田舎の四季』

作詞〜堀沢周安(1869〜1941)


一、

道をはさんで 畑一面に

麦は穂が出る 菜は花盛り

眠る蝶々 とび立つひばり

吹くや春風 たもとも軽く

あちらこちらに 桑つむ乙女

日まし日ましに 春蚕(はるご)も太る



ニ、

ならぶ菅笠(すげがさ) 涼しいこえで

歌いながらに 植え行く早苗

長い夏の日 いつしか暮れて

植える手先に 月影動く

かえる道々 あと見かえれば

葉末(はすえ)葉末に 夜つゆが光る



三、

二百十日も 事なくすんで

村の祭の 太鼓が響く

稲は実がいる 日和はつづく

刈って広げて 日に乾かして

米にこなして 俵につめて

家内そろって 笑顔に笑顔



四、

松を火にたく いろりのそばで

夜はよもやま 話がはずむ

母がてぎわの 大根なます

これがいなかの 年こしざかな

棚の餅ひく ねずみの音も

ふけて軒端に 雪降り積る







◇町がその昔、村だった頃の名残の祭祭


 そろそろ太鼓が響く季節ですが

 また今年も見送りのようですね音譜照れ