酔っ払った勢い
いやいや違う違う
勢いでお酒飲んで酔おうと思って酔ったんだね
今書いている物語、或いは書き終えた物語は、多分、今、このとき、43歳の自分にしか書けない作品であることを改めて認識
技術的なことよりも、どういうテーマを選んだかということ
物語の結末は、実は筆者の気分によってAパターン、Bパターンに選ぶことができ、さらに技術があればCパターン、Dパターンを構想することもできる
そして筆者はその中から、そのとき最適だと思う結末を描く
あぁ、これで良かったんだろうか?
物語の分岐点、起点、終点、いろんな場面で筆者は悩む
過去でもなく、未来でもなく、今の自分が思うことを素直に書き記すことができたのなら、それはそれで、迷いのない素直な作品ができるのかもしれない
しかし、ワタシは常に迷っている
過去の価値観、現在の価値観、未来にこうなるだろうと予測する価値観
ワタシは常に迷っている
そして、それを楽しめているうちは、きっと物語を書き続けることができるのだと思う
今日という今日の昼間、想定していた最も望ましくない現 実に向かい合うに当たって、ワタシは私であると同時にワタシであることに安堵している
歴史的な一日を見逃したのか坂本龍一ライブ無料配信
http://ameblo.jp/makake/entry-10696740839.html
本来二日間の予定だった教授こと坂本龍一のRYUICHI SAKAMOTO NORTH AMERICAN TOUR 2010のUSTREAMでの生中継。これを見逃したことを後悔していたら、なんとその後の2公演も中継することに!
で、土曜日の昼1時からPCの前に釘付けでその一部始終を見てました
感動
あのハヤブサ依頼の感動
で、ハヤブサの感動が何十年ぶりの感動だったので、今年は何十年に一度の感動を2度も味わえたという素晴らしい年ということになる。
技術的に明るい人には、何がそんなにすごいのかわからないかもしれないし、逆に技術的に暗い人はもっと何がそんなにすごいのかわからないかもしれない
USTREAMって何?
YOUTUBEのような動画配信サイト。でも、一番の違いは生中継、つまりWEBカメラで撮ったナマの映像がそのまま配信される・・・たとえば東京と大阪の居酒屋でUSTREAMを使って遠距離飲み会ができる。カラオケボックスで誰かが歌っている映像をナマで見ることができる
そんなサイトです
一派に普及しているなら、そんなにすごくないじゃん
おっしゃるとおり!
今回のライブがすごいのは、PCに繋いだカメラとマイクで撮った映像・・・つまり家庭用のビデオで撮影するよりも劣化した情報を配信したのではなく、業務用――この坂本龍一のライブの模様は音源のみでiTunesで1公演ごとに1500円で販売します――のラインをほぼそのままUSTREAMの音源に使ってます。つまり商用音源を無料でなんて、技術云々の前に、普通ありえないです
でももまぁ、プロモーションの一環ならそういうこころみもありだよね
いやいや、これが違うんです
もっともすごいのはこれ
行き当たりばったりでやっちゃった!
え?なにが?
ですよね
これはもともと坂本龍一と交流のある慶應義塾大学大学院 古川 享教授へのむちゃブリに対するtwitterでのつぶやきからはじまった
『明日から渡米、SFO経由でSEATACへ... 坂本龍一さんから、ピアノソロコンサートの会場でUST中継してちょーだいとのお言葉、機材の整備をしている..シアトル会場のネット環境など大丈夫なんだろうか...どきっ、どきっ、JUNS全員集合!ってわけにもいかんし』
このつぶやきにデジタルステージ(まぁWebの会社です)の平野友康氏がtwitterでチェックし、行動を起す
『うおー!期待!てか、古川さん一人で中継ってのがスゴイ。て、手伝いたい…』
からはじまり、結果平野氏は仕事のスケジュールをすべてキャンセルして、このイベントを手伝うことになる
この模様がリアルタイムでtwitterでつぶやかれ、それをたくさんの音楽関係者をはじめ、一般の人の知るところなり、このイベントが実現した。
詳細はこちらのまとめサイトへ
アメリカの回線事情って実は日本ほどよくなくって、まぁ、不安定
しかも、今回は事前の準備――安定した回線をあらかじめ引いておく――ということをしていないから、簡単に言うと、
『今からあなたの家にお邪魔してUSTREAMでライブ中継します。インターネットに繋がる回線ありますよね、はい、とりあえず繋がればいいですよ』
みたいな環境の中で、この中継を実現させたという普通ではありえない・・・もともと古川さん一人でやる予定だったわけで、それがゆえに、そいった事情、技術、環境、さらには普通はそんなことレコード会社とか許さないだろうみたいなビジネススキームまで乗り越えてやっていることのすごさと、滑稽さ
なにが滑稽かって、こんなことその場の勢いでやるものじゃないだろうというある種「大人の遊び」に一流のミュージシャンや大学教授、ビジネスマンが真剣に取り組んでいる様をライブで体験できる時代がきたということの、まったく大掛かりじゃないところである
本来は過日 作家の村上龍が記者会見をしたように、『電子書籍を出版社を通さずに出版する』なんてことは、もっと大袈裟にやるものである(実はこちらにも坂本龍一はからんでいるw)
にもかかわらず、この手作り感たるや、一般聴衆であるわたし達が、自分のメッセージを直接twitterやUSTREAMを通して、彼等に送ることができることに、今までにない感動を覚えた
最終日1万人を超える人が同時にこのイベントを視聴し、最後回線が切れる段階で3000人近い人が、舞台が撤収されていく音を聴きながら、余韻に浸っていた。
なにかものすごいものを見せられて、なかなかその場から立ち上がれずにいるような感覚
一人でも多くの人にこの感動を伝えたいという欲求が、きっとこのイベントを目の当たりにした多くの人に沸きあがっていることと思います。
あー、大丈夫かな
ちゃんと伝わっているかなぁ
ともかく気が付けば、ワタシは見ず知らずの古川さんや平野さんに、なんども「ありがとう」のことばをtwitterでつぶやき、「ご苦労様、感謝、お疲れ様」の言葉を連呼していた。
それでもまだ、いい足りない気分で、このブログを書いています
古川さん、平野さん
本当にありがとうございました
そしてこのイベントをどういう経緯でかはわかりませんが、発案し、実行する環境を整えた坂本龍一のすごさに感服です
http://ameblo.jp/makake/entry-10696740839.html
本来二日間の予定だった教授こと坂本龍一のRYUICHI SAKAMOTO NORTH AMERICAN TOUR 2010のUSTREAMでの生中継。これを見逃したことを後悔していたら、なんとその後の2公演も中継することに!
で、土曜日の昼1時からPCの前に釘付けでその一部始終を見てました
感動
あのハヤブサ依頼の感動
で、ハヤブサの感動が何十年ぶりの感動だったので、今年は何十年に一度の感動を2度も味わえたという素晴らしい年ということになる。
技術的に明るい人には、何がそんなにすごいのかわからないかもしれないし、逆に技術的に暗い人はもっと何がそんなにすごいのかわからないかもしれない
USTREAMって何?
YOUTUBEのような動画配信サイト。でも、一番の違いは生中継、つまりWEBカメラで撮ったナマの映像がそのまま配信される・・・たとえば東京と大阪の居酒屋でUSTREAMを使って遠距離飲み会ができる。カラオケボックスで誰かが歌っている映像をナマで見ることができる
そんなサイトです
一派に普及しているなら、そんなにすごくないじゃん
おっしゃるとおり!
今回のライブがすごいのは、PCに繋いだカメラとマイクで撮った映像・・・つまり家庭用のビデオで撮影するよりも劣化した情報を配信したのではなく、業務用――この坂本龍一のライブの模様は音源のみでiTunesで1公演ごとに1500円で販売します――のラインをほぼそのままUSTREAMの音源に使ってます。つまり商用音源を無料でなんて、技術云々の前に、普通ありえないです
でももまぁ、プロモーションの一環ならそういうこころみもありだよね
いやいや、これが違うんです
もっともすごいのはこれ
行き当たりばったりでやっちゃった!
え?なにが?
ですよね
これはもともと坂本龍一と交流のある慶應義塾大学大学院 古川 享教授へのむちゃブリに対するtwitterでのつぶやきからはじまった
『明日から渡米、SFO経由でSEATACへ... 坂本龍一さんから、ピアノソロコンサートの会場でUST中継してちょーだいとのお言葉、機材の整備をしている..シアトル会場のネット環境など大丈夫なんだろうか...どきっ、どきっ、JUNS全員集合!ってわけにもいかんし』
このつぶやきにデジタルステージ(まぁWebの会社です)の平野友康氏がtwitterでチェックし、行動を起す
『うおー!期待!てか、古川さん一人で中継ってのがスゴイ。て、手伝いたい…』
からはじまり、結果平野氏は仕事のスケジュールをすべてキャンセルして、このイベントを手伝うことになる
この模様がリアルタイムでtwitterでつぶやかれ、それをたくさんの音楽関係者をはじめ、一般の人の知るところなり、このイベントが実現した。
詳細はこちらのまとめサイトへ
アメリカの回線事情って実は日本ほどよくなくって、まぁ、不安定
しかも、今回は事前の準備――安定した回線をあらかじめ引いておく――ということをしていないから、簡単に言うと、
『今からあなたの家にお邪魔してUSTREAMでライブ中継します。インターネットに繋がる回線ありますよね、はい、とりあえず繋がればいいですよ』
みたいな環境の中で、この中継を実現させたという普通ではありえない・・・もともと古川さん一人でやる予定だったわけで、それがゆえに、そいった事情、技術、環境、さらには普通はそんなことレコード会社とか許さないだろうみたいなビジネススキームまで乗り越えてやっていることのすごさと、滑稽さ
なにが滑稽かって、こんなことその場の勢いでやるものじゃないだろうというある種「大人の遊び」に一流のミュージシャンや大学教授、ビジネスマンが真剣に取り組んでいる様をライブで体験できる時代がきたということの、まったく大掛かりじゃないところである
本来は過日 作家の村上龍が記者会見をしたように、『電子書籍を出版社を通さずに出版する』なんてことは、もっと大袈裟にやるものである(実はこちらにも坂本龍一はからんでいるw)
にもかかわらず、この手作り感たるや、一般聴衆であるわたし達が、自分のメッセージを直接twitterやUSTREAMを通して、彼等に送ることができることに、今までにない感動を覚えた
最終日1万人を超える人が同時にこのイベントを視聴し、最後回線が切れる段階で3000人近い人が、舞台が撤収されていく音を聴きながら、余韻に浸っていた。
なにかものすごいものを見せられて、なかなかその場から立ち上がれずにいるような感覚
一人でも多くの人にこの感動を伝えたいという欲求が、きっとこのイベントを目の当たりにした多くの人に沸きあがっていることと思います。
あー、大丈夫かな
ちゃんと伝わっているかなぁ
ともかく気が付けば、ワタシは見ず知らずの古川さんや平野さんに、なんども「ありがとう」のことばをtwitterでつぶやき、「ご苦労様、感謝、お疲れ様」の言葉を連呼していた。
それでもまだ、いい足りない気分で、このブログを書いています
古川さん、平野さん
本当にありがとうございました
そしてこのイベントをどういう経緯でかはわかりませんが、発案し、実行する環境を整えた坂本龍一のすごさに感服です
その店はわたしがこの街に住むようになってから、最初に見つけた素敵な出会いだった。初めての一人暮らし、初めての街、初めての独りぼっち。重い荷物を全て捨てて、心機一転、新しい人生の始まり。
大学の同級生がこの街に住んでいたことが一番の理由だったけど、正直家を出れればどこでもよかった。飛び出してみたものの、女の一人暮らしというのは、自分が思い描いていたものとはかけ離れていた。夜が怖い。朝が憂鬱。休みの日には居場所がない。入社して最初の一月はなんとか自炊をしていたけど、同期の仲間と親交が深まると、夜はほとんど外食になった。わたしの料理のスキルはその時点で止まってしまった。
わたしが休日の居場所を見つけたのは、退屈しのぎの小説を買ってみたものの、家で一人で読むのはどうにも落ち着かず……というより、ついついごろ寝をしてしまい、ちっとも先に進まないので、思い切って落ち着いて本が読めるような喫茶店を探そうと外に出た。ちがうか――東京の夏は暑い。家に居ては電気代がいくら掛かるか恐ろしくなったというのが、本当の理由かも。
宛てはあった。帰り道、本屋に寄り道をするとその店の前を通ることになる。多分かなり古い喫茶店だろう。きっと常連さんばかりで、女のわたしが一人でというのはちょっと気が引ける……だけどチェーン店は表通りにあって、外から丸見えなのがどうも気になる。思い切って入ってみよう。かなりの覚悟で土曜の午後、わたしは1冊の本を持ってその喫茶店に入ってみることにした。
AntiquesMelidyと書かれた小さな看板がドアにかけられている。ドアを開けるとドアにつけられたベルの音がチリーン、チリーンと店内に鳴り響く。木目調のカウンターテーブルの奥から「いらっしゃいませー」となんとも品のいい声でわたしを迎え入れてくれたのは、50代後半か60歳くらいの、それはそれは絵に書いたようなマスターだった。
嘘みたい
これがわたしの正直な感想だった。
その店はまるで……まるである年代から時間が止まってしまったかのような空間、現代のおとぎ話とでも言うべきか、わたしは一瞬後悔した。
「どうぞ、空いている席に」
多分マスターは笑顔でそういってくれたのだと思うけど、マスターの目じりは、普通にしていてもまるで微笑んでいるようにしか見えない――まるで仙人のようだった。
わたしは促されるままテーブルの空いている席に座った。
なんだろう?この落ち着く感じ。
わたしはブレンドを注文し、それから2時間あまり、その店で本を読みふけた。それからほぼ毎週、わたしはこの店で本を読むために本を買い、予定のない土曜の午後はここで過ごすようになった。
わたしにはコーヒーの味はわからない。でも、きっとこの店のコーヒーにはなにか特別な拘りがあるのだろうとは容易に想像ができた。そして今、わたしはこの店であの人を待っている。まるで少女のように怯えながら……
大学の同級生がこの街に住んでいたことが一番の理由だったけど、正直家を出れればどこでもよかった。飛び出してみたものの、女の一人暮らしというのは、自分が思い描いていたものとはかけ離れていた。夜が怖い。朝が憂鬱。休みの日には居場所がない。入社して最初の一月はなんとか自炊をしていたけど、同期の仲間と親交が深まると、夜はほとんど外食になった。わたしの料理のスキルはその時点で止まってしまった。
わたしが休日の居場所を見つけたのは、退屈しのぎの小説を買ってみたものの、家で一人で読むのはどうにも落ち着かず……というより、ついついごろ寝をしてしまい、ちっとも先に進まないので、思い切って落ち着いて本が読めるような喫茶店を探そうと外に出た。ちがうか――東京の夏は暑い。家に居ては電気代がいくら掛かるか恐ろしくなったというのが、本当の理由かも。
宛てはあった。帰り道、本屋に寄り道をするとその店の前を通ることになる。多分かなり古い喫茶店だろう。きっと常連さんばかりで、女のわたしが一人でというのはちょっと気が引ける……だけどチェーン店は表通りにあって、外から丸見えなのがどうも気になる。思い切って入ってみよう。かなりの覚悟で土曜の午後、わたしは1冊の本を持ってその喫茶店に入ってみることにした。
AntiquesMelidyと書かれた小さな看板がドアにかけられている。ドアを開けるとドアにつけられたベルの音がチリーン、チリーンと店内に鳴り響く。木目調のカウンターテーブルの奥から「いらっしゃいませー」となんとも品のいい声でわたしを迎え入れてくれたのは、50代後半か60歳くらいの、それはそれは絵に書いたようなマスターだった。
嘘みたい
これがわたしの正直な感想だった。
その店はまるで……まるである年代から時間が止まってしまったかのような空間、現代のおとぎ話とでも言うべきか、わたしは一瞬後悔した。
「どうぞ、空いている席に」
多分マスターは笑顔でそういってくれたのだと思うけど、マスターの目じりは、普通にしていてもまるで微笑んでいるようにしか見えない――まるで仙人のようだった。
わたしは促されるままテーブルの空いている席に座った。
なんだろう?この落ち着く感じ。
わたしはブレンドを注文し、それから2時間あまり、その店で本を読みふけた。それからほぼ毎週、わたしはこの店で本を読むために本を買い、予定のない土曜の午後はここで過ごすようになった。
わたしにはコーヒーの味はわからない。でも、きっとこの店のコーヒーにはなにか特別な拘りがあるのだろうとは容易に想像ができた。そして今、わたしはこの店であの人を待っている。まるで少女のように怯えながら……
一週間……楽しく過ごしている間はあっという間に過ぎてしまう。でも何かを待つにはあまりにも長い時間。わたしはただただ、時間が早く立つことを祈っていた。こんなに何かを待ちどうしいと思ったのはいつ依頼だろうか――彼に会いたい思いを抑えようと、わたしは恋に臆病になっていたわたし自身と向き合うしかなかった。もう二度と彼の前から逃げたりはしない。
あの日、わたしは誰かを好きになることをとても後悔した。別れがこんなに辛いとは、別れがこんなに悲しいとは、別れがこんなに悲しいとは、別れがこんなに切ないとは――人は愛ゆえに苦しむ、人は愛ゆえに悲しむ。そんなことを本気で思っていた。だからわたしは――だからわたしは恋に臆病になった。
中学のとき、わたしはバスケットボールをしていた。男子は学区内でそこそこの強さだったが、女子チームはわたしが在学中、一度も公式戦で勝つことはできなかった。みんな仲のいい友達だったけど、高校はバラバラになった。わたしは高校に入学すると早速バスケ部に入部しようと見学に行ったが、あまりのレベルの違いに圧倒され、入部するかどうか迷っていた。
スポーツしてた人が、急に運動しなくなると太るらしいわよ――あれは入学してすぐに仲良くなったミッコの言葉だった。わたしはそれが嫌で、何でもいいから運動部に入ろうと思った。不純な理由だった。
個人競技ならチームメイトに迷惑かけたりしないでできるかも!
わたしの安易な発想とそのときの陸上部の事情が見事に合致した。我が陸上部は慢性的に人手不足。特に目立った成績も残せず、運動系のクラブの中でも御荷物扱いのクラブだとそのときの部長が言っていたのだから間違いないだろう。見学に行ったわたしに一生懸命に勧誘する部長の熱意も会ったのだが、一人グランドで黙々と練習をするあの人――先輩の姿にわたしは心引かれた。
入ります。わたし陸上部に入ります。
不純な理由に更に不純な理由が重なり、わたしは陸上部に入ることを決めた。そうなのだ。わたしは元来惚れっぽいのだ。
先輩は我が御荷物陸上部のエース。もともと陸上の経験がある人ではなかったのだが、友人とほんの付き合いでこの部に入部したらしい。ところがその友人が交通事故で亡くなり、それをきっかけに友人の志を継いで陸上に打ち込むようになったという、それはそれはまるで少女漫画に出てくる主人公のような設定の先輩だった。
もちろんこれには「尾ひれはひれ」がついていて、交通事故は本当だが命に別状のある怪我でもなければ、選手生命に影響があるほどのものでもなかったらしい。用はそれをきっかけに練習をサボり、幽霊部員になったことを幽霊=死亡と部長が「おひれ」、副部長が「はひれ」をつけたというのが本当のところらしいのだが、あの人はその話を否定はしなかった。
だってオレがやめたら御荷物どころか本当に廃部になっちゃう。自分が潰したと部長あたりが言いふらすのが嫌だからオレは一生懸命練習しているんだと、そんな話を聞いたのはあの人と付き合ってすぐのことだった。
付き合ってからしばらくは、平穏で緩やかで、てもあっという間の素敵な時間が過ぎていった。でも、別れはすぐにやってきた。彼は卒業と同時に札幌の大学に行くことになった。遠距離恋愛はものの見事に――それこそドラマや歌の歌詞のように破局した。尾ひれはひれがつく余地もないくらい。
わたしはあの人に繋がるすべてを否定した。不純なわたし、惚れっぽいわたし、そしてあの人の面影を感じさせるもの全て……でも、時々抑えられなくなる気持ち。本当にこれでいいの?わたしは……わたしは、誰かを好きになれるの?愛せるの?
だからわたしは、あの人とはちがう、弟みたいなあいつに自分を振り向かせようとしていた。自分からはいかない。自分からは誘わない。わたしが好きになるんじゃない。あいつが好きになるの。わたしが愛するんじゃない。わたしが愛されるの。
でも、気付いていた。それは本当にわたしが望んでいることじゃないと。
彼との約束の日までの間、わたしはわたしと向き合い。いくつ物言葉を交わした。もう逃げない。もう逃げ出さない。それを女の意地といえば……そうなのかもしれない。
『LAT.43°』
作詞・作曲:吉田美和 唄:DREAMS COME TRUE
『PRIDE』
作詞・作曲:布袋寅泰 唄:今井美樹
あの日、わたしは誰かを好きになることをとても後悔した。別れがこんなに辛いとは、別れがこんなに悲しいとは、別れがこんなに悲しいとは、別れがこんなに切ないとは――人は愛ゆえに苦しむ、人は愛ゆえに悲しむ。そんなことを本気で思っていた。だからわたしは――だからわたしは恋に臆病になった。
中学のとき、わたしはバスケットボールをしていた。男子は学区内でそこそこの強さだったが、女子チームはわたしが在学中、一度も公式戦で勝つことはできなかった。みんな仲のいい友達だったけど、高校はバラバラになった。わたしは高校に入学すると早速バスケ部に入部しようと見学に行ったが、あまりのレベルの違いに圧倒され、入部するかどうか迷っていた。
スポーツしてた人が、急に運動しなくなると太るらしいわよ――あれは入学してすぐに仲良くなったミッコの言葉だった。わたしはそれが嫌で、何でもいいから運動部に入ろうと思った。不純な理由だった。
個人競技ならチームメイトに迷惑かけたりしないでできるかも!
わたしの安易な発想とそのときの陸上部の事情が見事に合致した。我が陸上部は慢性的に人手不足。特に目立った成績も残せず、運動系のクラブの中でも御荷物扱いのクラブだとそのときの部長が言っていたのだから間違いないだろう。見学に行ったわたしに一生懸命に勧誘する部長の熱意も会ったのだが、一人グランドで黙々と練習をするあの人――先輩の姿にわたしは心引かれた。
入ります。わたし陸上部に入ります。
不純な理由に更に不純な理由が重なり、わたしは陸上部に入ることを決めた。そうなのだ。わたしは元来惚れっぽいのだ。
先輩は我が御荷物陸上部のエース。もともと陸上の経験がある人ではなかったのだが、友人とほんの付き合いでこの部に入部したらしい。ところがその友人が交通事故で亡くなり、それをきっかけに友人の志を継いで陸上に打ち込むようになったという、それはそれはまるで少女漫画に出てくる主人公のような設定の先輩だった。
もちろんこれには「尾ひれはひれ」がついていて、交通事故は本当だが命に別状のある怪我でもなければ、選手生命に影響があるほどのものでもなかったらしい。用はそれをきっかけに練習をサボり、幽霊部員になったことを幽霊=死亡と部長が「おひれ」、副部長が「はひれ」をつけたというのが本当のところらしいのだが、あの人はその話を否定はしなかった。
だってオレがやめたら御荷物どころか本当に廃部になっちゃう。自分が潰したと部長あたりが言いふらすのが嫌だからオレは一生懸命練習しているんだと、そんな話を聞いたのはあの人と付き合ってすぐのことだった。
付き合ってからしばらくは、平穏で緩やかで、てもあっという間の素敵な時間が過ぎていった。でも、別れはすぐにやってきた。彼は卒業と同時に札幌の大学に行くことになった。遠距離恋愛はものの見事に――それこそドラマや歌の歌詞のように破局した。尾ひれはひれがつく余地もないくらい。
わたしはあの人に繋がるすべてを否定した。不純なわたし、惚れっぽいわたし、そしてあの人の面影を感じさせるもの全て……でも、時々抑えられなくなる気持ち。本当にこれでいいの?わたしは……わたしは、誰かを好きになれるの?愛せるの?
だからわたしは、あの人とはちがう、弟みたいなあいつに自分を振り向かせようとしていた。自分からはいかない。自分からは誘わない。わたしが好きになるんじゃない。あいつが好きになるの。わたしが愛するんじゃない。わたしが愛されるの。
でも、気付いていた。それは本当にわたしが望んでいることじゃないと。
彼との約束の日までの間、わたしはわたしと向き合い。いくつ物言葉を交わした。もう逃げない。もう逃げ出さない。それを女の意地といえば……そうなのかもしれない。
『LAT.43°』
作詞・作曲:吉田美和 唄:DREAMS COME TRUE
『PRIDE』
作詞・作曲:布袋寅泰 唄:今井美樹
「どうしたの?浮かない顔して……あんなに元気いっぱいに出ていったのに」
玄関に置き去りにされたブーツがわたしに恨み言を言う。
「ワタシと一緒だったら、きっといいことあっただろうに」
「うるさい!なんでもないわよ!」
あまりにも苦しい言い逃れにわたし自身も腰が砕けそうになった。
「なんでもないんだから。本当に……」
わたしはヒールを脱ぎ捨てて、買い物袋をテーブルの上に投げ出してその場にしゃがみこんだ。
「こんなはずじゃなかったのに……」
何が?何がこんなはずじゃなかったの?
「ワタシ、彼は素敵だと思うわ」
テーブルの上の買ったばかりのアクセサリーが袋の中から声を揚げる。
「そうよ。何も置いてけぼりにすることはなかったわね。少なくとも彼には何の責任もないわ」
洋服たちまで騒ぎ出した。
「まだ間に合う。まだ、間に合うよ」
壁にかけた時計が、わたしを諭すように繰り返す。
「まだ、間に合う?まだ、間に合うの?」
わたしはテーブルの上のティッシュを二枚とると思い切り鼻をかみ、そしておもいっきり顔を二回パン!パーン!と両手で叩いた。
「まだ間に合う!」
いないかもしれない。いるはずなんかない。でも、もしいたら。もし待っていてくれるのなら……わたしは駆けていた。彼と別れたあの場所へ急がなきゃ。家から駅までは10分、多分駆け足で来たから7~8分くらい経つことになる。今から急いでも、やはり20分近く経つことになる――お願い、彼にもう一度合わせて――わたしは心の中で何度も叫んでいた。
狭い路地から駅へと続く広い通りへと出ると夕方のこの時間、さすがに人通りが多くなっている――まっすぐに走ることはできない――もどかしい。ダメ!こんなんじゃ間に合わない!
「あー、キミー!」
駅へと向かうワタシの背中に向かって誰かが声をかけたような……まさか、そんなことが。わたしは振り向いた。どこ?どこにいるの?
「こっちだよー!」
通りの反対側から声がする。あの低くて心の底に響く声――そこには屈託のない笑顔で大きな手を振る、彼の姿があった。彼は車を避けて道路を渡りわたしに駆け寄ってきた。
「えー、どうして?」
思わずそう口走ってしまったわたしに彼は右手で頭をかき、困ったような顔をしながらこう言った。
「あー、えーと、それは、そのー、こっちの話で……いったいどうしたんだい?急に部屋にカギをかけてきたかどうか、心配にでもなったのかい?」
「あー、あのー、ゴメンなさい、本当に、ゴメンなさい……」
わたしは多分真っ赤な顔をしながら、平謝りに謝って、そして、でも心の中ではずっと「ありがとう」って言っていた。それは彼に対してなのか、神様に対してなのか、部屋の中のやかましい同居人に対してなのかわからない。でも、わたしはすごくハッピーだった。
「いやー、いいんだよ。そんなに誤らなくても……まぁ、この辺を歩いていれば、店も見つかるかなぁと思って……」
そんな軌跡は起きないと思う。多分彼は、わたしの後を追って近くまで来て、そして見失ってしまった……でも何のために?まさか、わたしを探すために?
わたしには、そんなことを彼に聞く資格はなかった。わたしは彼を置き去りにして、逃げてきてしまったのだから……それからわたしたちはマスターから教えてもらった店に向かった。店に着くまでの間のことは、あまり覚えていない。どんな仕事をしているとか、慣れない土地での一人暮らしは大変だとか、どこのスーパーがいつ特売をやっているかとか、そんな話をしたと思う。
「あのー、また、お会いできますか?」
彼が10分ほど店の人とコーヒーについてのやり取りをし――わたしには、コーヒーのことはちんぷんかんぷん――目的のコーヒーを手に入れ、店の前で別れようというとき、わたしは思い切って切り出した。
「そうだね。この店を教えてくれたマスターにもお礼を言いたいから、来週あの店で……そう、このくらいの時間に待ち合わせっていうのはどうかな?」
彼は一度腕時計を見て、その時計をわたしに見せた。時計の針は――「4時半……ですか」彼はにっこりとわらい、そして少しばかり慌てた様子だった。
「あー、まずい、布団干しっぱなしなんだ。早く取り込まないと……じゃぁ、また来週に」
あー、どうしよう。名前も連絡先も聞いていない……でも不思議と心配はなかった。
「きっとまた、会える……」
ともかくわたしは、自分らしさを取り戻した。あの日、先輩と……あの人と別れてから、恋に臆病になっていたわたしは、重たい荷物を投げ捨てて、彼の胸に飛び込んだ。
冬の暖かな陽射しは、翳りだすとあっという間に暮れてしまい街は肌にさすような冷気に包まれる。でも、なぜだろう。今は少しも寒く感じない。
「あ、いけない!わたしも洗濯物を取り込まないと」
わたしは再び駆け出した。無我夢中で逃げ出し、不安にかられながら追いかけ、そして今、自分自身のために、わたしはわたしに向かって走り出した。
『Return to Myself』
作詞:浜田麻里 作曲:大槻啓之 唄:浜田麻里
玄関に置き去りにされたブーツがわたしに恨み言を言う。
「ワタシと一緒だったら、きっといいことあっただろうに」
「うるさい!なんでもないわよ!」
あまりにも苦しい言い逃れにわたし自身も腰が砕けそうになった。
「なんでもないんだから。本当に……」
わたしはヒールを脱ぎ捨てて、買い物袋をテーブルの上に投げ出してその場にしゃがみこんだ。
「こんなはずじゃなかったのに……」
何が?何がこんなはずじゃなかったの?
「ワタシ、彼は素敵だと思うわ」
テーブルの上の買ったばかりのアクセサリーが袋の中から声を揚げる。
「そうよ。何も置いてけぼりにすることはなかったわね。少なくとも彼には何の責任もないわ」
洋服たちまで騒ぎ出した。
「まだ間に合う。まだ、間に合うよ」
壁にかけた時計が、わたしを諭すように繰り返す。
「まだ、間に合う?まだ、間に合うの?」
わたしはテーブルの上のティッシュを二枚とると思い切り鼻をかみ、そしておもいっきり顔を二回パン!パーン!と両手で叩いた。
「まだ間に合う!」
いないかもしれない。いるはずなんかない。でも、もしいたら。もし待っていてくれるのなら……わたしは駆けていた。彼と別れたあの場所へ急がなきゃ。家から駅までは10分、多分駆け足で来たから7~8分くらい経つことになる。今から急いでも、やはり20分近く経つことになる――お願い、彼にもう一度合わせて――わたしは心の中で何度も叫んでいた。
狭い路地から駅へと続く広い通りへと出ると夕方のこの時間、さすがに人通りが多くなっている――まっすぐに走ることはできない――もどかしい。ダメ!こんなんじゃ間に合わない!
「あー、キミー!」
駅へと向かうワタシの背中に向かって誰かが声をかけたような……まさか、そんなことが。わたしは振り向いた。どこ?どこにいるの?
「こっちだよー!」
通りの反対側から声がする。あの低くて心の底に響く声――そこには屈託のない笑顔で大きな手を振る、彼の姿があった。彼は車を避けて道路を渡りわたしに駆け寄ってきた。
「えー、どうして?」
思わずそう口走ってしまったわたしに彼は右手で頭をかき、困ったような顔をしながらこう言った。
「あー、えーと、それは、そのー、こっちの話で……いったいどうしたんだい?急に部屋にカギをかけてきたかどうか、心配にでもなったのかい?」
「あー、あのー、ゴメンなさい、本当に、ゴメンなさい……」
わたしは多分真っ赤な顔をしながら、平謝りに謝って、そして、でも心の中ではずっと「ありがとう」って言っていた。それは彼に対してなのか、神様に対してなのか、部屋の中のやかましい同居人に対してなのかわからない。でも、わたしはすごくハッピーだった。
「いやー、いいんだよ。そんなに誤らなくても……まぁ、この辺を歩いていれば、店も見つかるかなぁと思って……」
そんな軌跡は起きないと思う。多分彼は、わたしの後を追って近くまで来て、そして見失ってしまった……でも何のために?まさか、わたしを探すために?
わたしには、そんなことを彼に聞く資格はなかった。わたしは彼を置き去りにして、逃げてきてしまったのだから……それからわたしたちはマスターから教えてもらった店に向かった。店に着くまでの間のことは、あまり覚えていない。どんな仕事をしているとか、慣れない土地での一人暮らしは大変だとか、どこのスーパーがいつ特売をやっているかとか、そんな話をしたと思う。
「あのー、また、お会いできますか?」
彼が10分ほど店の人とコーヒーについてのやり取りをし――わたしには、コーヒーのことはちんぷんかんぷん――目的のコーヒーを手に入れ、店の前で別れようというとき、わたしは思い切って切り出した。
「そうだね。この店を教えてくれたマスターにもお礼を言いたいから、来週あの店で……そう、このくらいの時間に待ち合わせっていうのはどうかな?」
彼は一度腕時計を見て、その時計をわたしに見せた。時計の針は――「4時半……ですか」彼はにっこりとわらい、そして少しばかり慌てた様子だった。
「あー、まずい、布団干しっぱなしなんだ。早く取り込まないと……じゃぁ、また来週に」
あー、どうしよう。名前も連絡先も聞いていない……でも不思議と心配はなかった。
「きっとまた、会える……」
ともかくわたしは、自分らしさを取り戻した。あの日、先輩と……あの人と別れてから、恋に臆病になっていたわたしは、重たい荷物を投げ捨てて、彼の胸に飛び込んだ。
冬の暖かな陽射しは、翳りだすとあっという間に暮れてしまい街は肌にさすような冷気に包まれる。でも、なぜだろう。今は少しも寒く感じない。
「あ、いけない!わたしも洗濯物を取り込まないと」
わたしは再び駆け出した。無我夢中で逃げ出し、不安にかられながら追いかけ、そして今、自分自身のために、わたしはわたしに向かって走り出した。
『Return to Myself』
作詞:浜田麻里 作曲:大槻啓之 唄:浜田麻里