みなさんはどんな小学校時代を過ごされましたか
ワタシの小学生の頃はいたずら的なことに満ち溢れていましたw
「行ってはいけない」、「やってはいけない」はすなわち、「行かねばならない、やらねばならない、ただし、慎重に」である
ルールは破るためにあるもの。。。それは間違いである
ルールは破ってはじめて、そのルールの必要性がわかるものである
破っても必要性のないルールなどは、ルールとしての必要性ではなく、別の理由で存在しているのである
そして、世の中を律するものとして道徳というものがある
これもまた、道徳を犯してはじめてわかるものがある
ルールを破ったものには罰則=ペナルティが与えられる
では、道徳を犯したものには何が起きるのか。。。それは
報復
ではないだろうか?
題:「蟲」 作:めけめけ
第2章 手に入れたもの
それはなんなく、あっけなく、そして期待していたようなものは何もなかった
小学校の校門から続く桜並木。。。その並木にそって苔むしたコンクリートしっかりした壁が並び立つ
学校の校門の横の桜堂は、学校御用達の文房具店で、学校の校章をはじめとして、書初めに使われる半紙や絵の具、クレヨン、画用紙、工作用紙など、様々な商品を扱ってる。。。およそこの学校に通う生徒はここで買い物がしたことがあり、気のいい老夫婦の営むこの店をみんなとても大事にしていた
そんな老夫婦を困らせるためにやったわけではない。。。決してそんことはないのだ
ボクらはただ、そこに普段は開けることにできない扉があり、今だけそれが開けられる。。。明日には空かなくなるかもしれない、その好奇心がその行動をさせたし、好奇心の証として、何かそこから持って帰らなければならなかった
それはこの話を耳にしたときから「決まったこと」なのだ
もし、この行為が「いけないこと」であれば、行為の途中で、誰かに見つかるに違いない、怒られて未遂でおわる。。。世の中はそんな風に成り立っているのであって、成功したからといって、ボクらがもう一度それをやることはない
これはいたずらの数々をこなしてきたボクらの経験から学んだ法則であり、ルールだ
やってはいけないことは、やってみないとわからない
ただし慎重に、そして、一度だけ
ボクらはこの法則とルールにしたがい、見事に目的を果たした
「やばいと思ったから、これしかもってこなかった」
OとSとUがもってきたものはガムテープだった
ビニールテープに対抗して、少しだけそれを上回るもの。。。実にシンプルだ
中はどうなってた?
ボクはOに聞いた
「べつに空き地みたいになっててなんかいろいろ物が置いてあったけど、倉庫の扉のカギが壊れてるんだけど、開けようとすると音がするから。。。ちょっとだけ開けて手が届いたのがこれなんだ」
なるほど
「あとなんかよくわからない工具とかあったけど、あればやばいじゃん、なんか高そうだったし」
「いたずらの域」を超えないこと。。。これも大事なルールである
ボクらは戦利品を山分けするのに、人気のない校舎の裏に集まった
ランドセルをあけてガムテープを中に隠す。。。これで終わり。。。すべてうまくいった
「ゲゲッ!」
Uがいつもの口調で驚きの表現をする
Uが見つけたのは毛虫だ
しかもそれは一匹ではなく5~6匹が群れているのである
「ギョエー!」
Uのテンションがあがる
「大群、大群、毛虫の襲来だぁぁぁ」
Oも調子に乗る
ボクは怖くなった。。。一度にこんなにたくさん見るのは始めてだった
そして嫌悪感。。。この世に存在してはいけないものなのではないか?
「退治しないと学校がやられる」
いったいぜんたい、なにを言うのか。。。しかし、小学生の発想はそういうものである
ゲームはスタートした
一つのミッションをなんなくクリアした達成感が更なる難易度の高いミッションへと使命感を燃え上がらせる。。。もはやボクらの目には、毛虫は悪の権化であり、ボクらは「悪いことしたかわりに、何かいいことがしたい」という気持ちもあって、悪い虫を退治することで、どこか道徳的な後ろめたさから逃れられるのではないかと、そういう思いに駆られた部分も少なからず、あったのだと思う
そうだ!いいこと考えた!これを使おう!
Sはガムテープをランドセルから取り出した
ボクらが手に入れたもの。。。老夫婦の営む、みんなに愛される文房具店の倉庫から盗み出した戦利品。。。小さな虫が張り付いたらまず生きてははがれられない強力な粘着力。。。ガムテープと道徳を犯した罪への意識。。。そのまま持ち帰るはずの二つを使うことによって、ボクらは罪の意識をおいていけるのだと考えたのかもしれない。。。少なくともワタシはそう確信してる
かくして絶対の正義を信じて疑わない小学生による小さな生き物の大量虐殺が始まった
つづく
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