実家の庭は、カイズカイブキにぐるっと囲まれている。だから動物からしてみれば、外敵から身を守るのに最適な場所。
何年か前には、野鳩が決まった時間にやって来ては餌を貰って食べていた。
鳩の糞が、人間に悪影響を及ぼすと言う事実を知ったジジババが餌をやらなくなってからは、パタリと姿を見せなくなった。
そして今年の春は、何故か野良猫が次から次へとやって来た。
灰色と白のブチ猫はグレー。
体が大きいから多分雄。
ジジはなぜかグレーを嫌い、グレーを見ると追い払う。理由は、多分グレーが餌を全部食べてしまうから?
顔が白と黒のまだら模様の猫は、マーブル。
マーブルは決して近寄って来ない猫だから、性別は不明。一時、大喧嘩をしたらしく白い胸毛が血だらけでやって来た事があった。最近見かける事は全く無い。
茶色のトラ猫は、チャトラ。
子供を産んだ直後でお腹の皮がたるんたるんでガリガリの猫だった。チャトラは子供を育てる為に必死で餌を貰いにやって来た。最初の頃は近寄ると、シャーと威嚇してきたけれど、次第に慣れて最後には私の手からおやつを貰うほどになった。
そんな中でも一際小さく、首輪を付けた黒白の仔猫。
家族はその仔をクロチビと呼んでいた。
クロチビは流石に人馴れしていて、擦り寄って来ては皆んなに上手に甘えた。
最初にクロチビの体の異変に気付いたのは私だ。
仔猫のわりになぜかお腹の膨らみが気になった。だから、クロチビが来る度にお腹を観察した。
真上から見下ろすと明らかにお腹の両サイドが体のフォルムからはみ出している。
ねえ、この仔絶対に妊娠している!
このまま、うちの庭で出産してしまったらどうする?首輪に手紙を巻いて飼い主に知らせようか?など
我が家では、もっぱらそんな会話が増えてきた矢先…
あれ?いつもしていた首輪がない‼︎
これじゃ、飼い主に知らせる事も、飼い主を見つける事も完全に出来ない💦
それでも、猫の行動範囲はそれ程広く
無いので、ババは近所の人や、近所の子供にそれとなく猫の情報を聞いて回った。けれど結果は最後まで分からずじまいのままだった。
クロチビは、その後も毎日我が家にやって来た。昼間は芝生の上でお昼寝し、夜には姿を消すを繰り返し…
お腹の膨らみを認識して何ヶ月か経ったある日、ババがクロチビのお腹がぺったんこになったと知らせてきた。
さてはて、君はいったいどこで出産して、子供はどこにいるのやら…。
