そっと耳をすますと…
チリンチリンと可愛い鈴の音が聞こえてきそうな釣鐘人参(ツリガネニンジン)
ツリガネニンジンの名前を始めて知ったのは、梨木香歩さんの『西の魔女が死んだ』の本のなかでのこと…
そういえば、ちっちゃなちっちゃなキュウリグサのことも、たしかこの本で知ったんだっけ…
よく見ると土手の草むらに驚くほどたくさん咲いていて、その光景はまさに西の魔女からのサプライズプレゼント
まだお花を見たことがない時から、そして今もずっと…
ツリガネニンジンに恋い焦がれている私です
それと…
ツリガネニンジンを見つけると必ず思い出す、宮沢賢治さんのこと…
宮沢賢治さん…なんて書くと、なんだか身近にいる知り合いみたいですね
さうしてどうだ
風が吹くと 風が吹くと
傾斜になったいちめんの釣鐘草(ブリューベル)の花に
かがやかに かがやかに
またうつくしく露がきらめき
わたくしもどこかに行ってしまひさうになる…
宮沢賢治
『山の晨明に関する童話風の構想』より、一部抜粋
釣鐘草と呼ばれるお花には
ꕤツリガネニンジン
ꕤホタルブクロ
ꕤイトシャジン
ꕤカンパニュラ
等々、他にもたくさんあるそう…
ただ、丘の傾斜一面に咲く様子を想像し、目の前に広がるその光景を見るにつけ、それはきっとツリガネニンジンの小花だったんじゃないかなぁと思うんですよね…
そして、このお花も初めて見つけたときから、ずっと恋い焦がれているお花
釣船草(ツリフネソウ)
いつもの場所では、いつもの釣船草が待っていてくれました
お花の先っぽの、いつもタツノオトシゴを思い浮かべてしまうクルリンとしたフォルムも可愛くて
古くは、子どもたちがお花を指にはめて琴を弾く真似をしたりして遊んだことから
『ゆびはめぐさ』や『ゆびさしばな』
そんな風に呼ぶ地方もあったとか…
指にはめて遊ぶぶんには大丈夫だったのかなぁ…
ただ、根には解毒作用があり、中国では腫れ物や吹き出物の患部に塗ったりと、古くから民間薬として利用されてきたそうです
お花を見つけた場所を幾度となく訪れ、見つけた辺りを目を凝らして探したんですが、今年は蕾がひとつもなくて…
自然の摂理なのか、はたまた人為的なものなのか…
蕾が見つからず落胆していた私に、偶然にも全く別の場所で蕾が見つかったのは(それも驚くほどたくさん)、やっぱり西の魔女からのサプライズプレゼントなのかなって、ひとりニマニマの私でした
*ひとりごと*
大好きな野の花たちに出会ったときと同じぐらい、心がぬくぬくになる物語を読みました
“マカン・マラン”はインドネシア語…
“マカン”は食事、“マラン”は夜という意味だそう…
だから夜食なんですね
そんな“マカン・マラン”のオーナーは、元エリート商社マンでド派手な衣装を纏ったドラァグクイーン、シャールさん
それとイケメン(それ大事?笑)
夜食カフェと言っても、誰もが気の向くまま立ち寄れるお店ではなく、シャールさんが作る料理を必要としている人が、ある意味導かれるようにたどり着く、まるで隠れ家のような場所…
路地裏のそのまた奥の細い道の先にある、古民家風の一軒家“マカン・マラン”は、お庭のハナミズキが目印♪
ファン歴はまだ浅いけれど…
勝手にブロ友さんとお慕いしている“ごまめのはぎしり”メグさん がブログで紹介されていて、すぐにも読みたくなってしまった本なんです
メグさんの記事は、たとえそれが興味のない本やドラマだったとしても、思わず読みたくなってしまうし、観てみよっかな~となっちゃうんです
もしかしたら、言葉を自由に操りその言葉で人を引き寄せる魔女さんなのかも??
そうそう、メグさんのブログにもお名前が出てきたマツコ・デラックスさん…
ドラァグクイーンのシャールさんが登場したときから、私の頭のなかではシャールさんがマツコ・デラックスさんに
描写されている体型はマツコさんとは全く違うのに…
いつものことだけれど、自分でも気づかぬうちに登場人物を俳優さんとか芸能人の方に置き換えて読んでしまうところがあって💦
毒舌家と呼ばれているけれど、ふとした時の瞳の奥にやさしさやあたたかさを感じるマツコ・デラックスさん…
って、とりあえずマツコ・デラックスさんはおいといて💦
そこに傷ついてる人や、お腹の空いている人が入れば、必ず、美味しいご飯を食べさせる
そんなシャールさんの作るお料理が、それぞれのタイトルにもなっている4つのお話からなる“マカン・マラン”
焦げたチーズをスプーンで突くと、とろとろに煮込まれたキャベツや玉葱やじゃが芋が中から顔をのぞかせる“春のキャセロール”
これ絶対好き!
ターメリックを混ぜ込んだお米のパンは、黄金色の焼きカレーパン
名づけて“金のお米パン”
少年の生真面目さと心の未熟さが愛しくて、唯一涙がこぼれてしまったお話でした
大きな白い皿の真ん中に、鮮やかなオレンジ色の秋ニンジンと豆乳のポタージュを盛ったカップが置かれ、そのカップを巡る輪のように、トマトのゼリー、イチジクのバルサミコソース和え、オリーブのピュレ、水菜とアーモンドの雑魚和え、ごぼうとグリーンアスパラガスのマリネ、ブロッコリーとパブリカの甘酢和え、山芋とアボカドの山葵和え、胡桃のロースト…
名づけて“世界で一番女王なサラダ”
作り置きのお惣菜で彩られたとびきり素敵なサラダ…
物語のなかでこれが一番食べてみたかったです
そして、大きな蒸し器のなかに入っているのは白磁の陶器の壺…
その壺に、干し鮑、干し海鼠、干し貝柱、干しエビ、干し竜眼に、金華ハム、フカヒレ、棗、枸杞子…
そんな乾物を朝鮮人参や当帰等と一緒に、何日もかけて少しずつ加え蒸し上げる“アドベントスープ”
どうしても料理のご紹介をしたくて、あれもこれもと欲張って書いてしまいました💦
お話のなかに出てくる、シャールさんの相手を思いやる言葉ひとつひとつが、まるで本のなかから飛び出して私の口から入り込んでしまったかのように心に響いて…
それと、料理って、体だけじゃなく心にも栄養をくれるんだってこと…
そして、一瞬で人を幸せな気持ちにすることができるんだってことにも、あらためて気づかされた気がします
そうそう、夜食のあとには、シャールさんがひとりひとりの体調を見て処方してくれるお茶も出てくるんです
なんとも至れり尽くせりの夜食カフェ…
また今夜も夢のなかでおじゃましよ~っと
音楽好きな私は
『アジアの隠れ家リゾートを思わせる
内装典雅な子守唄のようなガムラン・ドゥグン』等々…
物語のなかでなにげに出てくる音楽にも、つい興味がわきググったり…
読み終わったあとは、心がぬくぬくになって、お腹もいっぱいになって…
すべて満足満足な物語でした
まだまだ続く『マカン・マラン』シリーズ
ハマりそうな予感がします
また今日も、おもいきり長くなってしまいました
ここまで読んでくださって、のぞいてくださってありがとうございます
コキリ