「ガール・ウィズ・ニードル」

第一次世界大戦後のコペンハーゲンで実際に起きた事件がモチーフに。情け容赦のない冷たい物語がモノクロ映像で語られていく。
身分違いの相手の子を身籠った貧しいお針子カロリーネは、堕胎がうまくいかず困り果てていた。職場である工場の片隅で出産した彼女は、やがてダウマという女性と知り合いになり助けてもらう。彼女は闇で養子斡旋を行っていたのだった。
カロリーネはツイていない女性だがそれは彼女のせいではなく、根本にあるのは貧困だ。夫は戦地に行ったまま行方不明、工場の労働だけでは家賃もろくに払えない日々。社長の愛人になりかけたが、妊娠させられた上に捨てられてしまう。どうしようもないほどの苦境に立たされた彼女の前に現れた「救う神」。

それがたとえ怪しげな人物だったとしても、無力なカロリーネはすがるしかなかった。だれが彼女を責められるだろうか。
この物語は社会的な弱者や、持たざる者に対する徹底した無慈悲な扱い、その根底にある社会状況の悲惨さを語っている。
ダウマの行為はもちろん犯罪だし裁かれるのは当然だが、起るべくして起こった社会悪。デンマークの黒歴史として犯罪史に残っているのだろう。
帰還してきたカロリーネの夫は顔に仮面をつけ、彼もまた戦争の犠牲者なのに残酷な運命をたどることに。
サーカスのシーンや公衆浴場、寒々とした街の様子などがコントラストの強いモノクロ映像で映し出され、独特の空気感。非常に意義深く、考えさせられる作品だった。