「オオカミの家」

チリ発のストップモーション・アニメ。鑑賞してから1ヶ月ぐらい経つが、いまだにこの映画の場面のところどころが脳裏に浮かぶ。とんでもなく不気味で禍々しい、強烈なインパクトを残した作品だ。
チリに実在したコロニア・ディグニタというコミューンを題材にしているらしいが、映画では特に言及されることもなかった。
あるコミューンをひとり脱走した少女が、森の中の家で動物たちと平和に暮らし始める。だがそれも束の間、やがて不安と恐怖にかられて精神を蝕まれていき、元のコミューンに戻りたいとさえ思うようになる…
グリム童話のようなタイトルだが、とても牧歌的とは言い難い、気味の悪い心象風景をカルト的な雰囲気で描いていく。一コマ一コマ、気が遠くなるような手間と時間をかけて。
まるで神経症の人の心象風景のように、ほとんど静止することなくめまぐるしく変化変容する画面。悪魔的で忌まわしい映像の洪水に、なぜか目が釘づけになってしまう。
とにかく何か凄いものを見てしまった、というしかない。
観る人を選ぶ作品とは知りながらも、ぜひ体験してほしいと言いたくなってしまう。
同時上映の短編「骨」。発掘された1901年の作品、というフェイク設定からして人を食ったようだ。こちらはホラー的要素が強いが、これもまた鳥肌がたつほど忌まわしい。