「アメリカン・ユートピア」
デヴィッド・バーンのアルバム「アメリカン・ユートピア」を原案にした舞台を、スパイク・リーを監督に迎えて映画化したもの。2019年からブロードウェイで上演されていたが(コロナで中断)、その舞台を再構築している。
なので実際の舞台ではないが、見てみたかったなぁと感じさせるリアル感があった。
揃いのグレーのスーツに裸足といういでたちで登場する11人のミュージシャンとバーンが、2時間歌い踊る舞台なのだがまったく飽きさせない。
私のように、80〜90年代はトーキング・ヘッズやバーンのソロも聴いたけど、その後はずっとご無沙汰という人でも十分に楽しめる映画だ。その昔「ストップ・メイキング・センス」をわくわくしながら観た人は、もう1度あの興奮を味わえる。
それにしてもスパイク・リーを監督を起用したのに彼らしさはどこにいった…と思っていたら、やっぱりきたきた、まとめて来た! 非常に今日的なアプローチ、というかこの舞台が生まれたのはトランプ政権下なのだが。
曲の歌詞がとても重要なので字幕があるのはありがたい。
かつてウォークマンで死ぬほど聴いた「リメイン・イン・ライト」や「ブッシュ・オブ・ゴースト」も、こうして改めて聴くと懐かしさ以上に感心するものが。ちなみに私はトムトム・クラブも大好きだった。
鋭いメッセージ性が説教臭く感じないのは、デヴィッド・バーンのキャラとセンスのいいアートによるものだろう。
ラストの「ロード・トゥ・ノーホエア」は、あらゆるものから解き放たれた軽やかさと、自由な感覚を満喫できる。
来日コンサートに行くことがままならなくなって1年半以上経つが、非常に満足感の高い映画だった。これはもう洋楽ファンは必見。
