雨の日、魔女がやって来るのを待つけもの道軍団
けもの道で魔女はみんなを呼び集めます
魔女の声を聴いたけもの道軍団は屋根の庇から飛び降りたり、物置の隅から飛び出したり
《せてぃ》とおひとりさまは空き家から駆けて来ます
あ、《ぼっさ》はハウスから出ないで、そこで待っててね
みんなが嫌がる（怖がる）から
そうして《ぼっさ》以外のみんなを連れて住宅の基礎部分に入り込みます
そこだと雨に濡れずに食事ができるからです
一日一回の食事、雨が降っても、雪が降っても、台風でも
たんと食べさせないとね
そこでみんなのお弁当を注ぎ分けます
みんな待ちきれなくて魔女の周りを行ったり来たり
通常は荒い性格の《せてぃ》と《かーら》もここではおとなしくします
ここで暴れると自分もみんなも雨の中で追い掛け回しになっちゃうから
ちゃんとわかっていて雨の日はみな穏やかです
この家の持ち主には 雨の日はここを使わせてもらう、と伝えてあり
その人も どうぞお使い下さいと言ってくれてました
けもの道軍団、てんこ盛りのご飯を食べて、さらに 「お代わり！」 「お代わり！」 の催促
そうしてみんながご飯を食べ終える頃、このところ非行化している《せてぃお》がやって来ました
《ビキニママ》と《あーご》は逃げ出し、他の子もギョッと後ろを振り向きます
《おひとりさま》だけは《せてぃおに》無関心でご飯食べてますけどね
奥に逃げ込んだ《やだお》と《しろ》
やだお 「あいつ、きらい」
しろ 「くんな！ ってかんじだよね」
やだお 「いつまでも たまたま くっつけてるから ああなちゃうんだよね」
しろ 「おれも まだ くっついてるけど、ああなってないぞ」
やだお 「え？！ おまえ、まだ くっつけてんの？！」
しろ 「うん、しらなかった？！」
やだお 「なら せいかくの もんだいかぁ」
やだお 「まだ いるよ」
しろ 「ほっとけ」
しろ 「それにしても あめ やだね」
やだお 「あめ おわるといいね」
非行猫の《せてぃ》はいつの間にかいなくなって
みんなお腹いっぱいになったから
《ぼっさ》のところに行きます
ハウスから出て来た《ぼっさ》には傘を差します
魔女 「《ぼっさ》、おまたせ！」
けもの道にいる間はずっと魔女にくっ付いている《おひとりさま》
《ぼっさ》のところにもついて来ますが、《ぼっさ》に遠慮して少し離れたところで雨に濡れて佇みます
「ぬれるから もう かえりなさい」 、と促しても《おひとりさま》は魔女と共に雨に濡れながら《ぼっさ》が食事を終えるまで一緒にいてくれます
ぼっさ 「さむい・・」
魔女 「はやく たべてしまいなさい」
ぼっさ 「しゃしゃみは？」
魔女 「まず、そのちゅ～る（高栄養）を なめて それから ごはんを たべたら しゃしゃみ あげる」
ぼっさ 「そっか」
魔女 「しゃしゃみが おわったら おかおを ふくからね」
《ぼっさ》は口をぷるぷる震わせて、魔女が選んだ総合栄養食の柔らかいご飯を食べると
「ずれは？」 （ジュレ）
「ありますよ」
「ぽたは？」 （ポタージュ）
「ありますよ」
《ぼっさ》はそうやってちゅ～るとパウチを３つ食べ終わってから
お目当てのササミ棒をいただくのです
《ぼっさ》がパウチを食べている間に、魔女は笹薮から《ぼっさ》のハウスを引っ張り出し
湿ったタオルを取り出し、中を拭いて新しいタオルを敷き、元に戻します
ササミ棒、実は『焼ささみ』 というのですね
それをいただいたので毎日《ぼっさ》に持参しています
《ぼっさ》は焼ささみ楽しみにして食後に３本食べます
焼ささみの時だけは唇をぷるぷるさせないで裂いたのをつるん！ ってスムーズに食べるんだ
ここは《ぼっさ》のお気に入りの場所
ハウスのすぐ傍の笹薮
晴れた日はいつもここから魔女を見送ります
ぼっさ 「いって らっしゃ～い！」
魔女 「いってきま～す」
そしてお昼寝
保護色だから安心なんだね
《せてぃ》に 「あめの ひは どこに いるの？」 と聞いたら
内緒で教えてくれました
ここだって
そこからは（空き家の）庭の枝垂れ梅がすぐそこに見えて、いい感じなんですって
みんな頑張れ！
もうすぐ春だ