のらねこ日記 ~ 《ぐれ》とようこさん Ⅱ ~ | まじょねこ日記

まじょねこ日記

魔女の大切な仲間の猫たちの日常をみてください

事故の翌日からようこさんの病院通いが始まる

歯科、眼科、脳外科、整体

 

折れてしまった歯は何とか治療をするよりどうしようもない

日に日に色を増す顔面の打ち身傷

 

1ヵ月経ってようやく顔の腫れと痣は一部を残し、回復した

しかし複視は今も治らないままだ

パソコンの仕事だから目がこれでは相当に辛いはず

 

100%相手が悪く

だからといって治療費を支払えばいいと言うものではなく

お金はいいから元の体を返してくれ! と言いたくなる

ようこさんのショックと不安は激しく

慰めの言葉もない

 

しかしようこさんは100%魔女さんは関係ない

猫さんのことは私が勝手にやっていることだし

こちらこそ魔女さんを面倒を掛けてしまって申し訳ないです、と言う

 

それでも申し訳ない、という気持ちはずっと拭えずにいて・・

 

昨日のブログで

昔は魔女の生徒で、今は魔女より100倍しっかり者となり

《ビキニ》のお兄ちゃんたちの里親さんになってくれ

今は小さな子を育てながら近隣ののらさんたちを保護して共に暮らす

そんな魔女の猫マブダチのむーさんからのコメントを読んで

 

私が申し訳ないと思い続けること

それはようこさんに対して失礼なことなんだと悟った

 

 

 

ようこさんは事故数日後にまだふらつく足で何度か《ぐれ》に会いにやって来てくれた

勿論魔女も同行した

 

そうこうしているうちにゆみこさんからの知らせで《ぐれ》がいる空家が解体されることとなり

魔女は頭を抱えた

《ぐれ》がどこかでご飯を貰っていることは確かだが

どんな暮らしをし、どんな一日を送っているのかわからない

そして何より本格的な解体が始まれば今後《ぐれ》とは会えなくなるかもしれない

 

焦ったのはようこさんも同じで

彼女は自宅近くにワンルームでペット可の部屋を見つけ、早速入居の申し込みをした

そこに一旦《ぐれ》を置いて、里親を捜そうというのだ

ようこさんの家には既に猫さんたちがいて、新たな猫を受け入れることについては何かと不安があったからだ

 

 

 

既に扉などが外された空家で

私は毎夕約束の時間に《ぐれ》と会った

約束の時間は当初は18時だったが、日が伸びて来たせいか、《ぐれ》は18:30位に現れるようになる

 

そして先日の連休2日目の日曜、《ぐれ》に会いに行った際

気づくと空家の戸はすべて取り払われ

《ぐれ》は剥き出しになった室内の隅から現れた

 

《ぐれ》にご飯をあげ

暫く遊び

たくさん抱っこして

 

私はそこに《ぐれ》を残して少し離れたところで待つ《こいも》にご飯をあげに行った

すると、《こいも》にご飯を食べさせている時、道の向こうから《ぐれ》が駆けて来て

《せてぃお》に襲われた忌まわしい場所であるにもかかわらず

私の側に来て《こいも》がご飯を食べる様子を見ていた

 

 

 

 

そうして《こいも》がご飯を食べ終わり、魔女が食器等の片付けを始めると

 

 

ぐれ 「まじょ はやく いこう!」

 

 

そう言うと立ち上がる魔女を振り返りながら空家に向かって速足で歩き出した

 

《ぐれ》・・ 淋しいんだね

 

 

空き家に着くと《ぐれ》は安心したように横になり、魔女にこちょこちょごっこを要求した

 

 

散々こちょこちょごっこをした後、今度は抱っこをねだった

 

 

この日、何故か《ぐれ》は魔女の後追いをし続けた

動物的な不安がそうさせたのかも知れない

 

私はこの日保護用のキャリーを持参しなかったことを後悔した

私がキャリーを取りに帰って、戻って来た時にはたぶん《ぐれ》はここにはいない

ここにいても常に《ぐれ》は《せてぃお》を警戒してひとりになると姿を消す

 

それで私は《ぐれ》に言った

 

 

魔女 「《ぐれ》、いっかいねたら また ここで あうのよね」

 

ぐれ 「うん」

 

魔女 「いっかいねたら それは あした、っていうんだけど 

あめがふっても かぜがふいても やくそくの じかんになったら ここに くるのよ」

 

 

ぐれ 「ここに くる」

 

魔女 「そう、また あした まじょ くるから  わかった?」

 

ぐれ 「わかった いつもみたく くればいいんでしょ」

 

 

そうして翌日の連休最終日、私はキャリーを抱えて空家を訪れる

 

《ぐれ》は約束を守り既に待っていてくれ、魔女の足音を聴きつけるや鳴きながら駆け足で出て来た

私は足元にキャリーを置き、《ぐれ》に言った

 

 

魔女 「《ぐれ》、まじょと いっしょに いく?」

 

魔女を見詰める・ぐれ 「え・・」

 

魔女 「まじょと いっしょに いきたい?」

 

ぐれ 「いけるの?」

 

魔女 「うん」

 

ぐれ 「ぼくも いっしょに?」

 

魔女 「いく?」

 

ぐれ 「いく!」

 

魔女 「じゃあ このなかに はいってくれる?」

 

 

その時《ぐれ》は思い出した

そう、《ぐれ》はこのキャリーに入って去勢手術に行ったのだ

 

キャリーの前で立ち止まる《ぐれ》

 

魔女 「どうする?」

 

ぐれ 「・・」

 

魔女 「まじょと いこう」

 

そうして、《ぐれ》は決心したように自らキャリーに入った

 

 

この日の空には猫の爪のような三日月があって・・