のらねこ物語 ~ けもの道の《かーら》と《ぐれ》 ~ | まじょねこ日記

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魔女の大切な仲間の猫たちの日常をみてください

これまでおばあちゃんちの庭で平和に暮らしていたのは

《かーら》、その娘の《あみ》、《ぐれ》、《さき》、そしてその息子たち《たろ》と《じろ》でした

 

以前はもっとたくさんいたのだけれど、《あみ》が子供を産んだのをきっかけに追い出してしまったのです

 

その後、おばあちゃんは長年猫たちが暮らしてきた土地を売り

解体作業が始まる前にまだ子供だった《たろ》と《じろ》、そして《あみ》を里子に出しました

まだ子供の彼らがここを追い出されたらどうなるかわからないと危惧したからです

 

そうして工事が始まると《かーら》と《ぐれ》はこの場所を離れ、《さき》だけが近くの茂みで暮らすようになりました

 

けもの道から離れた道路に近い場所にある一軒の家の庭で暮らし始めた《かーら》はそこで子供を産みました

《ぐれ》は数か月放浪した後、《かーら》と同じ場所に落ち着きました

 

 

彼らの避妊、去勢手術から1週間が経ちました

 

その後の経過が心配で手術翌日、《かーら》が子供たちといる家に行ってみました

 

《かーら》は屋根の庇の上におりました

 

 

翌日はこの家の裏手で鳴いていました

 

けれど他所の家に足を踏み入れることが出来ませんので声を掛けてそこを後にしました

 

《ぐれ》は手術翌日から、私の足音を聞くだけですっ飛んでくるのですが・・

 

ぐれ 「まじょ」 

 

魔女 「《ぐれ》、ちょうしは どうですか おしりは いたくないですか?」

 

ぐれ 「おちりは いたくないけど  みみが いたい」

 

魔女 「どれどれ・・ あぁ これは すぐによくなるから おとこのこだから がまんね!」

 

 

ぐれ 「よし! がまんだ!!」

 

 

 

《か-ら》とふたりの子供たち、そして《ぐれ》のご飯は仲間のユミコさんが毎晩あげてくれています

ところが手術翌日も、そのまた翌日も、《かーら》が姿を現わさなくなり、ユミコさんはそのことをとても悲しみました

あの夜、ユミコさんは魔女と一緒に彼らを捕獲しました

だからもう怖がってここには来てくれないかも知れない・・  って

 

そして3日目、ユミコさんがご飯に行けないとのことで、その夜は代わりに魔女が行きました

そこには《かーら》の子どもたちと《ぐれ》がいて

ご飯の用意をしようかという時、《かーら》が姿を現わしたのです

 

魔女 「《かーら》、 きてくれたのね! からだの ぐあいは どうですか?」

 

かーら 「・・おなかが へん」

 

魔女 「じきに なおるよ」

 

かーら 「・・」

 

魔女 「どうして ごはんを たべにこなかったの?  ゆみこさん しんぱいしてるよ」

 

かーら 「・・こわかったから」

 

魔女 「また つかまるかもしれないって おもって?」

 

かーら 「うん・・」

 

魔女 「もう つかまえないよ」

 

かーら 「ほんと?」

 

魔女 「ほんとうだよ」

 

かーら 「どうして あんなことしたの?」

 

魔女 「それはね 《かーら》に あんしんして くらしてもらうためにだよ」

 

かーら 「あんしんして?」

 

魔女 「いまに わかるよ」

 

かーら 「まじょ・・ おなかに ちくちく くっついてるの・・」

 

魔女 「それは おまじない」

 

かーら 「おまじない・・ なに?」

 

魔女 「その ちくちくが なくなるころ、《かーら》は あんしんの きもちになるのよ」

 

かーら 「・・そうなの?」

 

魔女 「まじょ まちがえたこと いわないでしょ」

 

かーら 「うん」

 

魔女 「そのうち あぁ、そうなのかぁ、って わかるからね」

 

かーら 「わかるんだね」

 

魔女 「そう、わかるのよ  だから また ここに ごはんを たべに きなさいね」

 

かーら 「・・」

 

魔女 「ゆみこさんが かなしいってよ 《かーら》が いないと かなしいって」

 

かーら 「・・」

 

魔女 「まじょも ゆみこさんも 《かーら》がだいすきだから 《かーら》に あんしんして くらしてほしいの」

 

かーら 「もう あんしんなの?」

 

魔女 「もう あんしんなのよ」

 

かーら 「わかった」

 

 

翌晩、《かーら》はその場所にやって来たそうです

そうしてまた以前と同じになりました

 

 

今朝

けもの道の手前まで来ると《ぐれ》が丘の上から駆けて来ました

 

 

 

ぐれ 「まじょ!」

 

魔女 「どうしたの? まだ みみが いたいの?」

 

ぐれ 「ちがうよ!  《かーら》がいるよ!!」

 

魔女 「ほんと?!」

 

ぐれ 「きて!」

 

 

魔女 「《かーら》! ここで あうのは ひさしぶりだね」

 

かーら 「きた」

 

魔女 「よく きてくれたね うれしいよ」

 

 

おばあちゃんちの残された門の前で

久しぶりにやって来てくれた《かーら》

 

 

おひとりさま 「おれ 《ぐれ》のこと おそうき ないから」

 

魔女 「そうなってくれて ありがとう」

 

 

せてぃお 「ぼく、おそうき あるから」

 

魔女 (あんたこそ 去勢したいわ いい加減捕まってくれ) 

 

 

暫く甘えてから、《かーら》と《ぐれ》は帰って行きました

 

けもの道を後にして坂を下っていくと・・

 

まあじょ~~~ん 💛💛💛

 

出たよ!!

 

 

寒くなって来ると何故かけもの道に現れてみんなを虐める乱暴者の《ぶす》

 

また面倒な日々が始まるぞ・・