斯くも哀しき出会いと別れ Ⅱ | まじょねこ日記

まじょねこ日記

魔女の大切な仲間の猫たちの日常をみてください

 

受付時間を過ぎてしまったが

先の病院の先生が電話を入れておいて下さったので、院長先生は待っていてくれ、至急の診察となった

 

詳しい状態を知るため、ここでもう一度レントゲンを撮る

更に膀胱穿刺で尿を抜いてもらう

570gの小さな体の膀胱には50cc強もの尿が溜まっていた

 

 

レントゲンを見て 

心が凍った

骨盤骨折があまりに酷い状態であったから

 

 

やはり排尿は圧迫でも出ず

 

尿が出せないまま溜まり続けると

腎臓がやられ・・ 尿毒症・・  苦しみ・・

 

この小ささでは手術も出来ない

もう・・ 手の施しようがないのだ

 

 

それは青ざめた顔で呟くように私から切り出した言葉

安楽死・・ しかないということですね

 

先生からはそれしかない、との返答が返って来る

 

胸を無数の針で刺されるようで

一気に涙が溢れてくる

 

これまでも安楽死をさせた子たちはいる

それは交通事故で頭蓋骨が割れ、脳死状態に陥ったのらさんだったり

腎不全で死を目前にし、苦しみ悶える子であったりもしたけど

 

この子は・・ 《ジジ》は・・

下半身は致命的なのに

上半身は聡明で

 

まったく利発そうな目をして私を見詰めるし

淋しくなると鳴いて私を呼ぶ

 

そして、おいしい、おいしい、と喜んでご飯を食べ、ミルクを飲むんだ

 

飲めるのに、食べられるのに

排尿が出来ないばかりに・・

 

そんな残酷なことって

 

あの子はその美しい瞳で私を見詰めながら 

小さな命の灯を消さなければならないのか

 

しかし、このままでは更に苦しく、辛い思いをして死を迎えるのは必至だ

 

 

取り敢えず点滴をし、低体温気味であるためそのまま保温室で入院と言うことになった

 

明日になれば

奇跡が起こって

おしっこを出せるようになっていますように

そうしたら安楽死を免れられる

 

どんな不自由な体になっても、私が一生あなたのお世話をするからと

一晩中泣きながら祈った

 

誰に向かって、どこに向かって、祈ってるんだか・・

 

 

濡れた枕を朝の窓辺に放って

早めののらさんご飯に出る

 

そうして早めに家に戻って

私は《ジジ》が入院している病院に電話をし、その様子次第では・・

決断を述べなけれなばらない

 

のらさんご飯に行く途中、地主さんの奥様に会った

今日は早いのですね、と言われたので訳を言った

奥様は《ジジ》のことを心から案じてくださった

 

 

公園組は一瞬で私の心を察し

みな黙って何故か少量だけの食事をし

どこかにいなくなってしまった

いつもならブラッシングや遊びを要求してなかなか帰れないのだけど

 

鉛よりさらに重たい

ブラックホールほどの重さがあるような心を引きずって帰路につき

 

躊躇しながら・・ 病院に電話をする

院長は診察中であったため、折り返しの電話をいただくことになった

 

その間魔女は、落ち着かない時間を憔悴を抱えて過ごした

 

暫くして院長から電話が入る

 

・・やはり尿は出ないし、出せない と告げられる

 

安楽死を・・

 

私の口からそれを言わなければならないとわかっていながら

あの子が魔女を見つめる目が瞼に浮かび、私を呼ぶ声が、私の指に絡める小さな手の感触が蘇り

 

 

 

 

 

 

涙が溢れてきてどうしても言葉が出ない

 

言わなければ

言わなければならない・・

 

辛く苦しい気持ちを必死に押しどけ

言葉を絞り出そうとしたその時

 

「子猫の容体が急変したようです」

 

電話の向こうで院長が慌てた様子で告げた

 

私と家族①はすぐさま家を飛び出し、病院に車を走らせた

どんな風に飛ばしたかは覚えていないが、遠方を、僅か20分程で着いたかと思う

 

 

 

一粒の涙を零して、《ジジ》は息を引き取った

 

この子は・・

魔女の辛い心を悟り、慮ったかのように

私に残酷で哀しい言葉を言わせないまま    逝った

 

小さな小さな体は柔らかくて

まるで眠っているよう

 

 

 

 

院長に、この子はどうしますか? と訊ねられた

 

たった1日一緒にいただけでも、《ジジ》は大切な家族

私が引き取ったからには、どんな体であろうと一生面倒をみるつもりで愛したのだ

だから最期も私が送り出す

 

 

 

 

 

生後1ヵ月

なんのために産まれてきたのか

こんなに辛い思いをして・・ 

大切な命を落として

 

この日は、もう何もしたくなかった

二度と動くことのない小さな、小さな、仔猫をずっと抱えて過ごし

夜も一緒に眠る

 

 

 

昨夜も小さな《ジジ》を抱えて眠った

 

今夜もそうする

 

 

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明日午前9時から《ジジ》のお葬式です

もしよかったら、幼くして命を落とさねばならなかった子を

この世から見送っていただけませんか