《どったん》、どうか生き延びて | まじょねこ日記

まじょねこ日記

魔女の大切な仲間の猫たちの日常をみてください

 

昨夜

まじょねこ軍団におやすみを言ってリビングを出て寝室に行こうとした時

洗面所の水の器の前で《どったん》がうずくまっているのに気づく

 

ようすがおかしい

 

側に行ってみると、水の食器に半分ほど突っ込んだ口元に束になった白い毛がくっ付いている

「大丈夫?」 と声を掛けながら体を撫でるとところどころから束になって毛が抜ける

けれど、《どったん》の毛に白い部分はない

手と太腿全体に泥がこびりついて、誰かに襲われたのかも知れない

 

ただ事ではないと思い、《どったん》の小さな体を抱える

思わず抱えてしまったけれど、《どったん》は人間に抱えられる子ではない

そんなことをしたら気が狂ったように暴れる子だ

 

《どったん》は魔女の腕の中でもじっとうずくまり、ごろごろと喉を鳴らした

喉を鳴らすのは機嫌のいい時だけではない

酷く体調が悪い時もそうする

 

ただ事ではない

 

ぐったりした《どったん》を抱きかかえたまま寝室に連れて行く

魔女が階段を降りる時も、寝室のドアを開ける時も、《どったん》は身動きひとつもしなかった

 

脱水症状が極まっている

 

体を調べたが怪我はない

 

しかし・・ 4月初めに子供を産んだはずなのに

《どったん》の乳は母親のそれではなかった

産んだ子どもは、たぶん生きてはいないと思われる

 

 

魔女のベッドに《どったん》を置き

 

いつも軍団が出入りして遊んでいるゲージに大判のタオルやフリースを敷き

水と食べ物を用意し、トイレも突っ込んだ

 

《どったん》は差し出される食べ物から弱弱しく顔を背け

水の食器の前でうずくまる

 

 

気力の失せたような《どったん》をしばらく抱いて過ごす

静かな部屋の中で、《どったん》のごろごろとのどを鳴らす音だけが響き、私の不安を煽る

 

 

 

 

 

《どったん》が小さな声で言った

 

 

「・・いくとこ なかったから  ここ きた」

 

「そうよ、 それでいいの 困ったらいつでもいらっしゃい、って魔女は言ってるでしょう だから窓はいつだって開けてあるんじゃない」

 

「あたし どうしたのかな・・」

 

「大丈夫、もう大丈夫だからね」

 

 

 

《どったん》をそっとゲージに入れると、また水の側でうずくまった

水が飲みたくて仕方がないのに、気力がなくて飲めない

 

 

朝一番で動物病院に予約を入れる

早急に点滴もしてもらわねばならない

 

午前中の診察は既に埋まっていたが、看護師さんが診察の時間を捻出してくれた

午後の診察は16時からで、状態を考えるとそれまで待てなかった

 

 

《どったん》にいったい何が起こったのか

どうしてこんなことになったのか、原因がわからない

 

ここ数日、《どったん》は姿を見せなかった

昨夜、やはり魔女が寝る時、痩せた猫が洗面所から出て行った

ちらりとしか見えなかったが、あれは《どったん》だった気がする

 

となると、それから24時間後にはこうして動けなくなったということだ

 

原因が・・ わからない

 

それでも病院でできるだけのことをしてもらった

体重は1840g・・

 

《どったん》はまるで、ご飯の食べ方も水の飲み方も忘れたかのようにうずくまってる

だけど水の器の前から動かない

夕べも、今朝も、病院から帰って来ても、そこにいる

飲めないのには訳がある

 

飲む体力さえもないのか

 

《どったん》をこのままにはしない

そんなの絶対に嫌だ

 

まだ3歳になったばかりじゃないか

 

 

 

 

 

 

今日は絵の続きを描くつもりだったが

それどころじゃない

 

どうか・・

どうか・・

《どったん》が生き延びてくれますように

 

仏間の観音様に

ねこの仏壇のインドラ像に

空のまじょねこたちと

そしてやはり空の《かって》に

 

祈る

必死で祈る