最近獣道付近に猛者たちが集まってきている
これは縄張り争いなのか
はたまたこの道の奥の家の放任されている女子組を狙ってのことなのか
よくわからない・・
ひとりめの強者は獣道に差し掛かる丘のてっぺんにいて
みなさま覚えておいでかしら
《おひとりさま国》の白黒の猫さん
若かったあの子がその後、物凄い猛者に変身してそこに君臨している
《おひとりさま国》の白黒君の写真を撮ったはずなのに見つからない・・
消してしまったのかしら
この猛者の写真は今度また撮ることにして
ふたりめの猛者は・・
《マグネット》改め、《ボッサ》
※ この名の方がしっくりくる
猛者のくせに
魔女が獣道を下り始めると藪の中から出て来てしこたま甘える
ボッサ 「まじょお~ なでて~」
ボッサ 「もっと いっぱあ~い」
魔女 「はいはい」
ボッサ 「ふぇ~」
ボッサ (あぁ・・)
ボッサ (しあわせだ~)
こうなったらちょっとやそっとでは離れてくれない
なにせ、立ち去ろうとすると嫌がって
本気で噛みついてくるからね
毎日《ボッサ》に15分以上を費やしてる
この先には他ののらさんたちも待っているし
何とかごまかし、スキを突いて素早く飛びのき (噛みつかれるからね)
やはり素早くその場を離れる
猫を撫でてたら際限ないんです
何時間でもそうしてなきゃいけないもの
獣道だけで30分以上、みんなを撫でさせられるのだから
それは1週間前のこと
そうして急ぎ足で坂を下っていると・・
大きな鳴き声が聞こえる
あの声は紛れもなく・・
魔女の足音を聞きつけた《ぶす》だ
ぶす 「まあじょおー!」
魔女 「《ぶす》! こんなころで何してるの?!」
ぶす 「あのねぇ~」
ぶす 「まじょ まってた~」
魔女 「どうして?」
ぶす 「ずっと あってなかったから どしてるかな~ って」
魔女 「魔女は元気よ!」
ぶす 「ちびは げんきですか?」
魔女 「ちびもとっても元気よ!」
ぶす 「よかったあ~」
魔女 「あの時はちびのこと、いっぱい心配してくれてありがとうね」
ぶす 「うん」
※ 《ちび》とは《78》のこと
以来3にんめの猛者、《ぶす》は毎日ここで魔女を待ってくれるようになっていて
そんな本日、なぜか《ボッサ》はいなくて
いつものように子猫を中心とした獣道軍団を撫でながら
公園に行こうと獣道を下っていると
これまたいつものように・・
ぶす 「そんな ぼくを いーっぱい なでてー!」
ぶす 「あぁ~? なんだ? あいつ」
出遅れた男が・・
じゃんじゃん!
じゃんじゃん!!
じゃんじゃんじゃんじゃん!!!
ヤバいです
ついに身構える《ぶす》の傍までやってきた《ボッサ》
一触触発の状態
両者の間に割って入る魔女
唸り声をあげて魔女の足の間から睨み合う強者ふたり
そのまま動けない魔女
唸り合いは5分以上続いていて
魔女、立ち疲れた・・
するとこの大猫ふたりも唸り疲れたのか
魔女の足の向こうとこっちとで横たわってしまった・・
なんなんだよ
どうすんだよ
わかんないよ
それから暫くして
立ち疲れた魔女はそっとその場を離れた
ずっと先まで歩いて行って振り返ってみたら
ふたりはいまだ同じ場所で横たわっていた
・・どっちが強いんだかわかんない
それとも互角なの?
でなきゃ賢明なわけ?
このふたり
それぞれのエリアでは若い雄相手に物凄い喧嘩をする
然も、然もだ
ふたりとも去勢されてるの
明日も続きな感じです