公園は慌しく | まじょねこ日記

まじょねこ日記

魔女の大切な仲間の猫たちの日常をみてください

 

 

《オダギリくん》を保護した日、公園はお祭りで

この日が祭りだとは知らず、いつも通り子供と茂みで魔女を待っていた《ドナ》は

大勢の人間たちに見つかるのを恐れ、その場に留まって息を殺していた

朝から祭り支度が始まり、祭りが終わったのが夜の9時、

そして町内の役員や片付けの人が帰ってひと気がなくなったのは11時近かった

 

《ドナ》はそれまでずっと子供と共に恐ろしさのあまり息を潜めていたわけで

彼女にとってはこの非日常は初体験であった

 

その後、《ドナ》は子供たちを連れて身を隠し

以来・・ 彼らは姿を見せていなかった

 

《ドナ》親子だけではない

いわゆる公園猫でない猫たちもまたその日以来姿を見せなくなった者が多い

 

 

そして、翌日曜は既に夏休みが始まっていて、家族連れの姿も多く

公園もいつもの様子を呈さなくなってゆく

 

 

更に月曜の公園には工事車両が出入りして

斜面の草を刈ったり、そこの計測をしたり

電気会社の大型車両は電気の点検を行っていた

 

 

 

 

 

 

 

土曜朝から姿を見せなくなった《たてがみ》が戻って来たのはこの朝だ

 

公園の騒ぎを聞きつけた《たてがみ》は走って戻って来た

 

そうして先ずは魔女と話をし (この前ここで書いた通り)

その後、工事等の様子をつぶさに観察する

 

 

 

崖の上で轟音と共に大型の草刈機を操る3名の男性達

その直ぐ下で彼らの様子を観察する《たてがみ》

 

 

 

 

 

そんな中

魔女の膝の上では

 

 

 

ちずのすけ 「こわいよぉ~ こわいよぉ~」

 

魔女 「大丈夫よ、みんなには誰も何もしないからね」

 

 

 

 

ちずのすけ 「そ、そうなの・・」

 

魔女 「そうよ、魔女が一緒にいるから大丈夫」

 

ちずのすけ 「そっかぁ」

 

 

 

 

たてがみ 「ぼくも みはってるから しんぱいしないで!」

 

 

 

 

 

ちずのすけ 「なら ねようっと」

 

 

 

 

 

魔女 (この轟音の中でよく眠れるな・・)

 

 

 

 

 

梅雨も開け、酷暑の日々が始まった

 

歴代の猫みんなが愛した果樹園が壊され、宅地造成されていたのが

区画され、17戸の家が建つばかりとなった

 

家なんてあっという間に建ってしまう

 

ここも瞬時に全戸が埋まるだろう

買い手の殆どは幼い子がいるか、これから子供が生まれる若い夫婦だ

 

公園の日常には間違いなく変化がもたらされる

 

長老組、《ちずのすけ》、《つんでれ》、《もりだくさん》、《すがりつきにぃ》たちは

公園からは外に出ることは一切ない

ここが彼らの唯一の住処なのだ

 

昨日と同じ今日が来て

今日と同じ明日が来る

それを信じて止まずに暮らす彼らの

これからの生活を、私は懸念する

 

年老いた彼らにとって、大きな変化は大変なストレスになるし

ここを追われたらもうどこにも行き場はないのだ

 

 

所詮ここは人のための公園

彼らが追われる事のないよう、ただただ願い、その努力しかできない自分がもどかしく・・

 

その時、《たてがみ》はどうするのだろう・・

 

 

 

今日、1週間振りに《ドナ》が姿を見せた

今は離れた場所で暮らしているいうことで、子供たちもそこにいるそうだ

 

《ドナ》のたどたどしい説明で大体の住処はわかったところで

《ドナ》とふたりで公園の柵の間からそちらを眺めていたら

 

軽トラのおじさんがやって来て、《ドナ》が住んでいる場所らへん、そして彼女が公園に向かう道にタンクに入ったものを噴霧し始めた

 

除草剤だ・・

 

おじさんが立ち去った後、私はそこに走った

農薬のような強い臭いが鼻を突く

 

魔女を追って来た《ドナ》を こっちに来ちゃだめ! と制し

 

そこに水を掛けようと

急いでベンチに戻ってバッグを漁り、役に立ちそうなものを探す

 

猫の食器なら15個あるけど・・

こんなんじゃだめだ!

 

それで使用済みの食器や空き缶が入れていたビニールの袋をひっくり返して中身を出し

それを持って水飲み場に走り、そこに水道の水を満たす

少し漏れるそれを持って散布現場に走り、撒き散らす

 

それを何回も繰り返して・・

 

その間私の後ろをついて一緒に行った来たりを繰り返す《ドナ》に言い聞かせる

 

 

この道を通ったらだめ!

危ないの

子供たちも絶対にここで遊ばせちゃだめよ!

 

 

それから私たちは《ドナ》が子供たちの所に戻る別の道を探し

そこは道ではなく深い草むらだけど

《ドナ》はちゃんとわかってくれて草むらに姿を消し、子供たちがいると見られる場所に向かった

 

 

 

 

《オダギリくん》を保護できたこと、幸いだったと思う

あの日、約束をしていなかったら

そして、猫にとって悪い条件が重なったその後を鑑みると

あの時保護できなかったら、彼はもう二度と私の前に姿を現すことは出来なかったと思う

 

 

今日、《オダギリくん》の上顎を支えていた犬歯が抜け落ちてしまった

落ちた上顎が舌の上に乗っている

 

 

《オダギリくん》が壊れてく・・

必死ですがりつくこの子を、私はどうしてやったらいいのか