どうしても誰かに当り散らしたいから | まじょねこ日記

まじょねこ日記

魔女の大切な仲間の猫たちの日常をみてください

 

これまで何十にんもの猫さんたちが虹の橋を渡るのを見続けてきた私が

絶対に存在しないと信じている

いわゆる神様に当り散らす

 

 

 

 

今朝、部屋に射しこむ朝陽の眩しさで目覚めた

 

私の隣で眠っていた《オダギリくん》は既に目を覚ましていて

自分のベッドの上に座って顔を上げ天井を見詰めていた

 

天井じゃない

(くう)を見てる・・

 

「《オダギリくん》、おはよう」

 

そう声をかけても《オダギリくん》はただ空を見詰めたままだ

 

私は食べないだろうとは思ったけれど、彼の食事を取りにキッチンに行こうと、ベッドを降りた

 

そうしてドアを開け、音をたてないように閉める

いつも寝かしつけてからそうするので

 

《オダギリくん》はドアの閉まる音が嫌で仕方ない

まじょがいなくなった・・ それがどうしようもなく怖いのだ

 

 

でも、この時《オダギリくん》は起きていて・・

 

閉められたドアの向うから、大きな音と共に《オダギリくん》の異常な鳴き声が聞こえた

 

慌ててドアを開けるとそれにぶつかる《オダギリくん》

 

《オダギリくん》は私を追ってベッドから転げ落ちたのだ

 

普段は鳴くことなど殆どない《オダギリくん》が鳴くなんて尋常じゃない

私は彼を抱き寄せ

 

「まじょは ここにいるよ、ここにいるから!」 と何度も言って聞かせる

 

膝の上の《オダギリくん》は魔女にすがって鳴き続けながらこの胸を掻き毟る

明らかに異常をきたしている

 

 

 

鼻は溶け、既に嗅覚はなくなっており

右目は開きにくくなっていて

 

もう閉じることもできなくなって大きく開いてしまっている口の

歯茎の上もまた新たな腫瘍に侵され

数日で壊死したそれは右の犬歯を支える歯茎までに及び

壊死した部分から剥がれた上顎が口内に落ち掛けている

 

 

ミーミーと悲しげな声で鳴きながら

今はもう鼻がなくなって、剝き出しになった真っ赤な患部を私の顔に何度も押し付ける

 

何度も何度も押し付ける

魔女であることを確認するかのように

 

必死でそれを繰り返す《オダギリくん》の

こちらに向けられた大きく見開かれた目・・

 

それを見て

息が止まる

 

 

朝陽が射しこむ眩しい部屋の中に在って

眼球全面に広がった瞳孔

 

《オダギリくん》・・

 

目が見えていない

 

 

《オダギリくん》の顔を左手で胸に抱え

その体を右手抱きしめる

 

「大丈夫だから   大丈夫だからね  魔女が一緒にいるから 大丈夫・・」

 

 

 

どれだけの時間を抱きしめていただろう

 

《オダギリくん》は、私の腕の中で眠ってしまった

 

それでも目を覚ましたら・・

もうそこには真っ暗な世界しかない

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

神様

 

どうしてこんな目に遭わせるの!

どうしてこんな病気にしたの!

どうしてこんな惨いことをするの!

 

《オダギリくん》が何したっていうのよ!

 

生まれてきたからには生きなければならなくて

必死で生きて

生きるために必死で食べて

ただそれだけを繰り返してきただけなのに

 

心はいつだって綺麗で、優しくて、思いやありがあって

悪い心など持つはずもない

 

だのになんてことしてくれたの!

これでもか、これでもか、って 虐めまくって!!

 

 

《オダギリくん》だけじゃない

同じ病気で、しかも外で同じ苦しみを味わっている子がたくさんいる

失明し、蠅に集られて卵を産まれて、患部をウジに食い荒らされて、激痛の極致で死を迎え

 

その他にも世の中には様々な病気や怪我で苦しむ動物がいっぱいいて

彼らがどんなに辛い思いで日々を送っていると思ってる!

 

外の世界で生きるそんな子たちが

命を落とすのは仕方ない

 

けど、最期までも苦しませないで!

 

残忍すぎるよ!  神様

 

 

生きものをなんだと思ってる

 

神様なら彼らの苦しみや悲しみの限界を知れ!