公園物語 ~ 《たてがみ》の思い ~ | まじょねこ日記

まじょねこ日記

魔女の大切な仲間の猫たちの日常をみてください

 

 

そうして、やっと公園に姿を見せたのは3日目の朝だった

《たてがみ》は憔悴し切っていた

 

 

魔女 「《たてがみ》、心配してたのよ」

 

たてがみ 「まじょ ごめんなさい  おだぎりくんが いなくなっちゃったの・・」

 

魔女 「それはね・・」

 

たてがみ 「にんげんが いっぱい やってきて みんな あわてて にげた   ぼくも にげようとしたけど おだぎりくんが いすに いて うごかなかったから いったんだ  『 にんげんが いっぱい きた! ここに いたら だめ! あぶないよ! いっしょに にげよう!! 』 って  

だけど おだぎりくんは そこを うごかなくて  だから もいっかい おなじこと いった  そしたら おだぎりくんが 『たてがみ にげな』 って   ぼくは なんども 『いっしょに にげよう!』 って いったけど おだぎりくんは 『ぼくは にげない』 って いったの    どんどん にんげんは ふえてって ぼくの すぐ ちかくにも やってきた  それで ぼく こわくて にげた」

 

魔女 「わかるよ、あれだけ人間が来れば誰だって逃げるわよ」

 

たてがみ 「だけど ぼく とおくには いかなかったよ がけしたに とびおりたけど そこにいた」

 

魔女 「《おだぎりくん》が心配だったのね」

 

たてがみ 「うん・・」

 

魔女 「ずっとそこにいたの?」

 

たてがみ 「いた だけど ながいこと うんと ながいこと にんげんたちが いっぱい いて くらくなってまでもいて  やっと いなくなったから そっと でてった  そしたら・・ おだぎりくん どこにもいなくて・・

ぼくは どうしよう、って おもって  すごく しんぱいなって こころが くるしくなって いっしょに なきゃ   いけなかったのに・・ それで あちこち さがしまわったの  ずっと ずっと さがしてた」

 

魔女 「探してると思ってたよ・・」

 

たてがみ 「いまの あさになって おだぎりくん こうえんに くるじかん とおもって きたけど いなくて

そしたら ちずのすけが ぼくに いった  『しんぱい したぞ』 って  それで ぼくは 『それより おだぎりくんが いないんだ!』 って いった  そしたら ちずのすけが 『しんぱい すんな もうすぐ まじょが くる そしたら はなし きけ』 って」

 

魔女 「ごめんなさいね、心配かけちゃって  あのね《たてがみ》、《オダギリくん》はね、今魔女と一緒に暮らしてるんだよ」

 

たてがみ 「え・・?」

 

魔女 「そのことを一番に《たてがみ》に伝えたかったんだけど、人間がいっぱい来た後からずっといなかったでしょう だから言えなかったの」

 

たてがみ 「まじょが つれてったの?」

 

魔女 「うん」

 

たてがみ 「どして?」

 

魔女 「その方が《オダギリくん》安心すると思ったから」

 

たてがみ 「あんしん するの?」

 

魔女 「そうよ」

 

たてがみ 「おだぎりくん げんき してる?」

 

魔女 「大丈夫よ 《たてがみ》、 いままでずっと《オダギリくん》の側にいてくれて、ほんとうにありがとうございました」

 

たてがみ 「うん・・」

 

魔女 「今度は魔女が《たてがみ》の代わりをするね」

 

たてがみ 「ここだったら だめなの・・?」

 

魔女 「《オダギリくん》は魔女のおうち、っていうとこにいるの、  ほら、そこらへんにも人間が住んでるとこあるでしょ、あれをおうち、っていうんだけどね  《オダギリくん》、少しずつ元気がなくなってきたでしょ」

 

たてがみ 「うん・・」

 

魔女 「それだとね 暑かったり 雨だったりすると もっと元気がなくなるの」

 

たてがみ 「・・わかるよ」 

 

魔女 「だけど おうちにいると 暑くなくしてあげられるし、雨も来ないのよ」

 

たてがみ 「そうなの?!」

 

魔女 「だから《オダギリくん》は 安心して眠れるの」

 

たてがみ 「それなら おだぎりくん いいね」

 

魔女 「これからは魔女が《オダギリくん》の側にいるから心配しないでね」

 

たてがみ 「うん、 おだぎりくん うれしいね」

 

魔女 「そうね 《たてがみ》、今まで《オダギリくん》が 元気でいられたのはあなたのおかげです ほんとうに ありがとう」

 

たてがみ 「おだぎりくんは まえに こまってた ぼくに やさしくしてくれた  だから おんがえし」

 

魔女 「恩返し、って言葉知ってるの?」

 

たてがみ 「まえに まじょが そういうこと だれかに いってた」

 

魔女 「あなたは偉いね これから立派な猫になるわよ」

 

たてがみ 「そうなの?」

 

魔女 「なるよ」

 

 

 

それから《たてがみ》はいつもベンチに座って所在なさそうにした

その横顔はとっても淋しそうに見えて・・

 

 

子供の頃はあんなに弱虫だった《たてがみ》がこんなに立派な大人になるなんて思いもしなかった

 

公園には10歳を裕に越えた猫たち5人の他は2歳の《しゃっぽ》と《くろす》の姉妹、そして1歳の《ドナ》、《ドヤ》、《ドガ》のきょうだい、年齢不詳の《まつこ》は女の子で

そんな彼らが暮らす場所に、他所から猛者の雄猫がやってきたらひとたまりもない

これまで平和だった公園猫の生活は壊れてしまうことは必至だ

 

《たてがみ》はこの秋で3歳になる

今後の公園は《たてがみ》に守ってもらうしかないのだ

 

生後半年ほどで去勢されてしまった《たてがみ》が

去勢もされていない大きな雄猫を追い払った勇気には驚いた

 

魔女との約束を果たし、《オダギリくん》を守り続けた《たてがみ》

 

ここのボスになる日が来るのかな

 

 

 

 

 

 

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

 

 

一昨夜、まじょねこ軍団が歓迎会のために《オダギリくん》の部屋を訪ねました

それぞれが思い思いに選んだプレゼントを持って  (魔女が持ったんだけどね)

 

だけど《オダギリくん》はぐっすり寝ていて

 

《オダギリくん》、魔女のベッドに登ろうとして周りを囲った段ボールの1個の中にすっぽりと落ちてしまい

そこには魔女が冬場に愛用していたスヌードが入っていて

ここでいいや・・ って思ったんでしょうね

段ボールの中で四角くなって寝ていました

 

 

 

 

 

 

それでみんなからのプレゼントをその前に置いて

私たちはそっと部屋を出ました

 

開け放たれた窓から

真上のテラスで見事に咲いた『今日ちゃんのお花』の芳醇な香りが届きます

 

 

 

 

 

 

《オダギリくん》は月下美人の香りに包まれてぐっすりと眠っていました

 

 

翌朝、そこに置かれたまじょねこ軍団猫数分のプレゼントを見た《オダギリくん》

 

 

 

どしたの、これ?! っ顔つきです

 

 

 

 

 

                    まだまだあるよ!            給太郎さんから

 

 

 

 

 

                   ひんやりベッドだよ!          むーさんから

 

 

 

 

 

《オダギリくん》は私にすがり付いて離れません

不安なのでしょう

 

 

 

魔女の服は《オダギリくん》のよだれでどろどろです

 

 

 

 

今、1日半ぶりに軍団からのプレゼントのちゅ~る7本に加えていただき物3本を食べました

 

それから魔女は《オダギリくん》をひんやりベッドに寝かしつけて

急いでブログを書きました

 

 

 

タオルの下がひんやりベッド

 

 

 

 

空いた時間はすべて《オダギリくん》を抱いて過ごしています

みなさまのところへの訪問が叶いません

ごめんなさい