のらねこ物語 ~ マミーエプロン ~ Ⅱ | まじょねこ日記

まじょねこ日記

魔女の大切な仲間の猫たちの日常をみてください

 

 

激しかった風と雨は昨夕にはほぼ止み

 

 

 

大雨で木の上に避難していた魔女家のかたつむり母さんが降りてきました

 

 

 

 

 

玄関前の階段には子供さんのかたつむりがいっぱいで、用心して上り下りしなければなりません

 

 

 

 

 

 

紫陽花も咲き始めました

 

 

 

 

 

 

 

 

3月に入って、私はお兄さんに連絡した

 

 

魔女 「無料のところはまだ見つからないんですかねぇ」

 

お兄さん 「・・見つかりません」  (見つかるわけないわ)

 

魔女 「だからあのときにやればよかったのよ!」

 

お兄さん 「はぁ・・」

 

魔女 「私、春になったら雌は子供が生まれるとも言いましたよね!」

 

お兄さん 「だから避妊手術は春でいいかと・・」

 

魔女 「はぁ?! 妊娠期間はどこいった!!」

 

お兄さん 「ぁ・・」

 

魔女 「あなたは自分のことしか考えていない、猫たちのことを彼らの立場で考えたことあるのか!」 

 

 

 

 

そうしたら彼は、誰か未手術の子を捕まえるからキャリーを借りたいと言い出した

 

 

遅せぇーわ! 

 

と思いながら家に帰ってキャリーを持って来て渡したら

随分と時間が経ってから、猫を捕まえたのでお願いしますとの連絡が入った

 

 

腕を傷だらけにしたお兄さんに

誰を捕まえたのか、と聞くと

 

 

お兄さん 「《あおいちゃん》のお母さんです」

 

魔女 「いまさら? まさかお腹は大きくないでしょうね」

 

お兄さん 「それは大丈夫です、ちゃんと確かめましたから」

 

魔女 「妊娠したてだったら確かめようもないじゃないか」

 

お兄さん 「そうですけど、僕は毎晩みてますが、まったくそんな様子はないんで」

 

 

 

それで私はキャリーを預かった

その時、のらさんにしては重いと感じ、そのことをお兄さんに言ったら

彼は 「ご飯をたくさん食べているので最近ずいぶん太ったんです」 と答えた

 

 

心配になって、家に帰ってからキャリーの中を覗いてみたが横開きの扉からなのでどうしても顔しか見えない

扉を開けると飛び出すのは必至なのでそれも出来ない

 

そうして翌朝、私は母親を病院に運んだ

 

 

 

夕方、迎えに行った私に告げられたのは

母親のお腹にはあと1週間ほどで産まれるはずだった赤ちゃんが6にんもいたという事実

 

ショックで言葉も出ない

看護師さんも泣き顔で俯いている

 

これは彼の言うことを鵜呑みにした私の責任に他ならない

 

 

「先生、看護師さん、辛い思いをさせてしまってほんとうに申し訳ありませんでした」   

 

魔女はそれだけ言って頭を下げるのがやっとだった

胸を刺される思いで、産まれることが叶わなかった6にんの赤ちゃんの遺体を受け取った

 

 

母親は、キャリーの隣で虹の橋を渡る子供たちと一緒に魔女家でもう一晩を過ごし

翌朝、公園に帰された

 

 

 

その夜

私は子供たちの遺体を抱えて公園に向かった

その日は雨で

 

 

魔女 「《あおいちゃん》のお母さんのお腹には6にんの赤ちゃんがいました」

 

お兄さん 「え? ほんとですか・・?」

 

魔女 「あと1週間で産まれるところだったそうです」

 

お兄さん 「・・」

 

魔女 「それなのに、お腹が大きいのがわからなかったというんですか」

 

お兄さん 「全然わからなかったです」

 

魔女 「そんなはずはない!  惨すぎるぞ!!」

 

お兄さん 「・・」

 

魔女 「これは生まれることが出来なかった6にんの赤ちゃんの遺体です  この子たちの重さをちゃんと感じて、心から詫びながら埋めてやりなさい」

 

 

 

 

雨の中、子供たちが埋められるのを掌を合わせて拝み続けた夜のこと

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

つづく