拝啓たんぽぽ様 | まじょねこ日記

まじょねこ日記

魔女の大切な仲間の猫たちの日常をみてください

 

 

 

 

 

 

 

はいけい たんぽぽさま

 

元気でいますか

 

長い間手紙をしなくてごめんなさい

 

おれは手紙をしたかったけど

まじょにそれを言えなかったです

 

 

インドラというねこがすがたがなくなって

もう ここには いなくなって

 

 

そういうこと

おれたちのまわりでもあったよな

 

とつぜん動かなくなるねこ

いっぱい見てきた

 

そうしてどこにもいなくなっちゃう

 

 

 

そうやってインドラがいなくなって

まじょは元気がなくなって

毎日ぼんやりしてて

 

だから おれ、まじょにお手紙のこと言えなかった

 

今日、まじょが 「ふぁふぁ、もう長いことたんぽぽにお手紙言ってないよ」 って言いました

 

それでおれ、お手紙した

 

 

 

おれらがまだうんと若くて、母さんときょうだいみんなでちゅう車じょうのよこのたて物のにわに住んでる時、いきなりあらわれた白い小さな猫

 

たんぽぽ、覚えてないだろうね

 

あのねこ、いなくなったと思ったら、まじょの家にいたんだ

インドラ、っていう名前ついてて、すごく大きくなってた

 

 

 

 

うんとさむい時、おれが丸はだかでここにきて

ガタガタふるえて丸まってたら、インドラがおれの体にあたたかい布をかけてくれたんだ

 

口でくわえてさ

上の方までかけてくれたもんだから、おれ、頭までかぶされた

 

ほんとうにあたたかかったなぁ  あの時

 

 

それからもインドラはおれのこといっぱい心配してくれて

ずいぶんとせわしてくれたんだ

 

そのあと、おれはインドラがあの時の白い小ねこだって知った

 

 

とらたんも インドラにはいっぱいせわになったぞ

 

 

 

ここでみんなとくらすようになった時

とらたんはおれといっしょにいたがったけど

おれはちょっとつめたくしたんだ

 

おれがやさしくしたらとらたんはおれとばかりいるようになる

ここにはたくさんのねこがいるから、みんなとなかよくしてほしくてさ

 

おれがつめたくしたら

とらたん、さみしそうになった

 

それでインドラはいつもとらたんと寝てあげてた

 

 

インドラはいつもにぎやかだったから

今は家の中がすごくしずかで、みんなもさみしくなってます

 

おれやとらたんが今こうしていられるのはいインドラがいたからなんだよ

 

 

 

 

 

 

やっとあたたかくなったね

花が咲いてる

 

たんぽぽ、今までさむかっただろう

よくがんばったな

 

 

 

 

じつはおれ

たんぽぽに言うことあります

 

 

2回くらい寝た前

 

アトリエ、っていう部屋にいたんだ

そこからはにわがよく見えてさ

アトリエはおれのお気に入りのばしょなんだけど

 

その時いっしょにいた りん、ってうねこが

まどあけた

 

いつもはあかないんだけど、その時はあいたんだ

まじょが、まどが開かないようにするかぎっていうのをしめわすれたらしい

 

それでりんと、ほかのねこが外に出た

 

おれの目の前でまどがあいてて

まじょはいなくて

 

おれ・・ 

ここから出たら

ここから出たら

 

おまえのとこ行ける、帰れる

って、そう思った

 

どっちの方向に行けばいいかも知ってる

 

 

おれ、立ち上がっていっこの足を前に出した

顔に外の空気があたって、なつかしい草のにおいがした

 

 

 

でも・・ おれ

 

おれ・・

 

もういっこの足が前に出せなくて

どうしても、どうしても出せなくて

 

 

 

 

上にあるねこのへやにもどった

 

なんでだか

もどったんだ

 

 

 

ごめんよ、たんぽぽ

 

おれは・・

おれは・・

 

たんぽぽにきらわれてもしかたないです

 

 

 

今は家の中で暮らしてるおれがこんなこと言うの、ずるい、ってわかってるけど

 

 

たんぽぽ

 

どうか

元気にしててください

 

 

 

ふぁふぁ