シャクラの物語 Ⅸ | まじょねこ日記

まじょねこ日記

魔女の大切な仲間の猫たちの日常をみてください

 

そんなシャクラを励まし、根気よく水の飲み方、ご飯の食べ方を教え続けたのはジョン ブリアンという猫でした

 

この猫はたいそう賢く

美しい心持って生きる猫でありました

 

 

 

下界にはお盆という行事がありました

その時、ジョン ブリアンはテラスに出て、空に向かい 待ちます

 

その数日後の夕暮れに

やはりジョン ブリアンは空に向かって悲しげに手を振ります

 

 

そんなジョン ブリアンの様子を見て

シャクラはユリぼうずに訊ねました

 

「じょんにいたんは なにを かなしんでいるの?」

 

 

 

 

 

 

ユリぼうずは答えます

 

「ジョン ブリアンは以前に慕っていた猫がいたんだ  名前を伐といって 初めてジョン ブリアンがここに来た時 うんと優しくしてくれた猫だ  その猫が突然ネバーランドという他の世界に旅立ってしまった  あの時、ジョン ブリアンはひどく悲しんだものだ  年に一度だけその猫はここに戻れる、そうして少しの間ここにいて、今日はまたお別れなんだよ」

 

 

その話を聞いてシャクラは泣き出してしまいました

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ジョン ブリアンはシャクラのご飯を食べること、水が飲めるようになることの教育だけでなく

室内ではシャクラの遊び相手をし

庭ではシャクラを見守りました

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

シャクラは、そんなジョン ブリアンの優しさに心を打たれ

兄と慕うジョン ブリアンの期待を裏切ってはならないと思うようになるのです

 

 

そうして数ヵ月後

シャクラは何とか猫として水を飲むコツを覚え

硬い食事も些かながら食べる術を身につけます

 

 

シャクラが食事や水を飲むことを覚えて間もなく

 

ジョン ブリアンは突然のように遠い世界に旅立ってしまいます

 

 

 

それはまじょがよその国に行っていて留守の間の出来事でありました

 

 

その日からシャクラは一日中を泣いて暮らします

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

よその国から帰って来たまじょは

思いも因らぬ出来事に

後悔、悲しみ、淋しさなどが心に渦巻き

その憔悴は極まっておりました

 

 

 

 

淋しくて、悲しくてたまらないシャクラは

遠い世界のジョン ブリアンと心で話をするようになり

そこで恨み言を言います

 

そんなシャクラをジョン ブリアンは諭すのでした

 

 

賢いジョン ブリアンはシャクラが猫ではないことを知っていました

その上で、それでも猫として生きてゆかなければならないシャクラを懸命に、それは懸命に教育したのです

 

 

 

ジョン ブリアンは地上で嘆く魔女に伝えて欲しいと

ある言葉をシャクラに託します

 

 

「こうかいは じかんの むだゃ・・」    

 

その言葉は幼いシャクラの口からまじょに伝えられました

 

 

『後悔は時間の無駄』

 

 

 

その後

シャクラはジョン ブリアンを受け継いで

ジョン ブリアンの助けを借りながら

日々の日記をここで語り始めます

 

それは拙い日記ではありましたが

ジョン ブリアンとインドラを繋ぐ絆でありました

 

 

 

 

 

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『後悔は時間の無駄』

 

 

奇しくもこの言葉は

今回の《たぬきち》の記事にただいた当時よりの読者様のコメントにもありました

 

『私には救われた言葉があります』 とのお言葉でコメントは始まっていました

 

 

 

魔女はバカな俗人であるがゆえに目の前の悲しみに翻弄され

広大な宇宙を見失っていました

 

魔女が愛したジョン ブリアンが

嘆きの日々を送る私に向かって

《インドラ》を介して伝えたこの言葉を

今後はまさに胸の中心に置き

 

 

悲しさ、淋しさは心の奥に仕舞い

皆様の励ましと共に

今を暮らすこの世界で

試行錯誤の中においても

美しい命たちに心を尽くします

 

 

 

今日、魔女家の桜が開花しました

 

《インドラ》、見てますか

 

《たぬきち》、見てますか