古代バラモン教から発したヴェーダ教(ヴェーダを聖典とし天・地・太陽・風・火自然を神として崇拝)の中には多くの神々がおられます
このデーヴァ親族の中に非常に強力で、軍神でもある雷霆神がおります
その名をシャクラと言い
シャクラが住まうところはデーヴァローカと呼ばれる天空の世界
シャクラは天空神ディヤウスと地母神プリティヴィーの息子として生まれましたが
千日、あるいは千ヶ月を母親の胎内にいたことで育ち過ぎ
生まれて直ぐにそれが疎ましかったこと、その容姿
そして、他の神々からの嫉妬を恐れた母親に捨てられます
持ち前の強力さからか
シャクラは他の神々からも見放され、父親さえも彼に敵意を持つことになるのです
こうして、愛情を知らずに育ったシャクラは戦いの合間にはよく天空から地上を眺めておりました
ある日、シャクラは父親に言います
地上に降りてあの人と暮らしてみたい
父親は驚き
何を言うか、人間と暮らすなぞとんでもない! とそれを一蹴しました
しかしシャクラは諦めず
幾度も幾度も頼みます
そんなシャクラの執念とも思える心に根負けした父親は
1700日の期限をつけて終にシャクラが地上に降りることを許すのです
それにしても
いったいどうやってあの人間と暮らすというのか
地上を眺めて人間の生活の観察を続けていたシャクラにはある考えがありました
それは猫を化身としてその人の前に現れる、というものです
その人はたくさんの猫と暮らしており
困った猫をみつけると家族にすることを知っておりましたから
なるべく小さな猫(仔猫)に化身し、その人の前に現れて抱き上げられ、一緒に暮らすというのがシャクラが考えた作戦です
いよいよ地上に降り立つ時が来ると
父親はシャクラに向かってこう告げました
地上に降り立って1700日目は新月となる
その日を過ぎたら迎えの使者を地上によこす
1700日目の新月の夜に、間もなくの帰還を地上のおまえに知らせよう
その時は短い時間の中で心の準備を整えるのだぞ
そうしてシャクラはデヴァローカを後にし
地上に降り立ったときには小さな白い仔猫の姿に化身しておりました
その場所はシャクラが自分を抱き上げて欲しいと願った人間が、夜に他の猫たちに会いに行く時に必ず通るところ
シャクラはこれでその人と暮らせると思い
目的の人が来るのを待ちます
ところが
シャクラが思い描いたようには事は運ばなかったのです
続く
これはちょっと長いお話になると思います
魔女は今体力をなくしてしまって、長い文章が書けませんが
それでも良ければ、読んでください