《インドラ》
空回りを繰り返す《ボンネット》は
そこまでバカじゃないから
魔女がいる時は《とらたん》に近づかない
あ、でも魔女がよそ見してる時や、忙しい時は
横目でちらちらと魔女を見ながらオリのまわりをうろうろしてるけどね
で、今日は魔女が朝お仕事に行った
魔女が出てったらすぐに《ボンネット》がこたつから出てきてさ
あたりをうかがうようにしながら、腰を低くして《とらたん》のオリのところに行ったんだ
それで僕は 「よしなよ!」 って言ったけど
《ボンネット》は無視した
僕は何回かそう言ったの
すると《ボンネット》は 「仲良しになるのがなんで悪いのさ!」 って 反論してきた
僕はむかついたから、《ボンネット》をムリヤリ排除しようとして殴り合いになった
それで《とらたん》が怖そうにしながらも
「いけないんだよ そういうことしちゃいけないんだよ 」 って言ったから
僕は ハッとして殴り合いをやめた
それで《ボンネット》はまた《とらたん》の前に行ったんだ
そして、《とらたん》をじぃ~っと見た
《とらたん》は気味悪がって狭いオリの奥に体を引っつけた
それでも《ボンネット》は《とらたん》に向って 「むにゃむにゃ」 と何かを話しかけてた
お日さまてっぺんくらいになって魔女が帰って来たんだけど
魔女はそおっとドアをあけてお部屋に入ってきたの
魔女はこの頃大きな音を出さないようにしてるのね
それは大きな音や声を出して《とらたん》を驚かさないようにするわけで
つまり、それは《とらたん》の生活環境を守るためなんだ
僕らはみんなで入ってきた魔女に目で合図した
魔女は、魔女が帰って来たのをまだ気づかないでオリの前で《とらたん》に話しかけてる《ボンネット》を見て写真を撮り
ボンネット 「だから僕はさ、先輩だから~ 君はね僕と仲良くする義務があるわけで ナンタラカンタラ・・」
それから《ボンネット》の背中に向って 「そこで何してる!」 って言った
ボンネット 「あ・・」
あわてて植物の陰に隠れようとする《ボンネット》
ここで、それまでブラックスワンさんと一緒にぐっすり眠っていた《凜》が目を覚ました
凜 「・・なんの騒ぎですか また《ボンネット》ですか」
凜 「もう・・ シメるしかないですね」
そう言ったかと思うと《凜》は飛び起きて走りだし
魔女が止めるのも聞かず
オドオドとオリのまわりをうろつく《ボンネット》に襲い掛かった
逃げ迷う(惑うね)《ボンネット》を《凜》は必要に(執拗じゃないかと・・)追いかけ回し
それはどこまでも、そしていつまでも追いかけ続け
追いかけながら時々《ボンネット》のお尻を引っ掻き・・
部屋中に 《凜》に唸り声と、《ボンネット》の悲鳴と、ドタドタという足音が響き渡るわけで
魔女が止めるのも聞かず
逃げる
追いかける
そして時々引っ掻くのが繰り返され
僕たちはテーブルの上に駆け上ったり、こたつに潜って避難し
テーブルの上や、布団の隙間から顔だけ出したりして
目をグルグル動かし
そんなさんさんの(惨憺たる?)様子を見ていた
そして最後に・・
《ボンネット》は聖域に逃げ込んだんだ (猫のお仏壇の下)
ボンネット 「やめて もうやめて」
凜 「《とらたん》にかまうな、って 何度言ったらわかるんですか!!」
ボンネット 「ごめんなさい!」
凜 「それがごめんなさいの顔ですかっ! 反抗的に見えますけど!!」
ここで追いついた魔女が《凜》をなだめすかし
やっと静かになった
バニャ2号 「いつかこうなると思ってたわ・・」
ひな 「魔女、 またのもくあみ だね・・」
魔女 (元の黙阿弥ね・・)
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魔女 「《とらたん》、ごめんね」
とらたん (もう やだ・・)
まじょねこ軍団をおとなしくさせるより
《とらたん》をこげな環境に慣れてもらった方が早いのか・・
と、思い始めた今日のこと