元の黙阿弥 Ⅰ | まじょねこ日記

まじょねこ日記

魔女の大切な仲間の猫たちの日常をみてください

 

  明日は雪になるかも、って

 

こちら、先週の寒波到来の空

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

            

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《とらたん》がテラスで日向ぼっこをしていて

近くには《ふぁふぁ》がいた

 

《ふぁふぁ》は、自ら《とらたん》の傍には寄って行かない

《とらたん》に自分のご飯をあげることはあっても

どうしてだか、ここではのら時代のようにくっつくことをしない

 

 

テラスへの窓は開け放たれ、お日様を目指して軍団が自由に出入りし

魔女はキッチンでコーヒーを煎れていた

 

突然 

 

「ぎゃぎゃん!!」    と叫び声がし

 

 

慌ててテラスへのドアを開けると

そこには、血気立つ《とらたん》と、体中の毛を逆立て、目を見開いた《ボンネット》がいた

 

 

何が起こったのかはわからないが

《とらたん》から手を出すわけはないから、《ボンネット》が何かしらんをしたと思い

魔女は《ボンネット》に向かって怒鳴ってしまった

 

いつもは発しない強い口調で怒鳴った

 

 

すると

バグっていた《とらたん》が振り帰って、魔女が怖いと目を見張った

 

大きく見開いた怯えた目で私を睨み、必死で魔女から逃げようとする《とらたん》 

 

 

《ボンネット》だろうよ、この騒ぎの張本猫は・・

 

だけど《とらたん》の怖い相手の矛先は、怖い声で怒ったという理由から完全に魔女へと向かっており

 

・・昨日も書いたように

確かにとらたんは争いが嫌い

怒った感じの大きな声も嫌い

 

 

魔女の怒り声に因って、《とらたん》の頭から《ボンネット》の件は払拭され

ひたすら魔女を恐れるばかり

私が一生懸命に言い訳するも、怖いが勝ってまったく聞く耳を持たない

 

 

そっとしておくしか、もうやりようがない

 

《とらたん》は怯えたようにテラスの隅に体を寄せ、私を睨んでいる

 

魔女は《とらたん》への説得をやめた

 

 

 

この騒ぎで洗濯をしていたことを忘れていた

とっくに洗いあがっている洗濯物を持ってそっとテラスに出る

 

ところが再び現れた魔女の姿に怯えた《とらたん》はテラスの壁から猫脱走防止柵に飛び乗り

こともあろうにそこから防止柵を乗り越えて手すりに移ってしまった

 

 

魔女の頭が真っ白になった

 

 

そこは行ってはならない部分で

なぜかというと、隣のお化け屋敷の端っこ部分に猫がちょうど飛び移れる小さな屋根があるのだ

 

この脱走防止柵は、一年前《ふぁふぁ》が来た時に作ったもので

その時《ふぁふぁ》もここから脱走しようとした

間一髪、魔女が尻尾を掴んで事なきを得た

 

それで脱走防止柵をもっと厳重にしたのだったが

《ふぁふぁ》が脱走する気がないことを確認して余分な部分を取り払っていた

 

それで《とらたん》は向こう側に乗り越えられたのだ

 

 

案の定、《とらたん》がお化け屋敷の小さな屋根を見詰めている

そうして、そこまでの距離と高さを測っている

 

今私が近づけば飛び移るのは間違いない

 

 

こんな心理状態で外に出てしまったら、もう魔女家には近づかないだろう

けれど、外にはたぬきちを始めとするのらたちがいて、彼らのテリトリーがある

 

 

ご飯も食べられず

 

行く宛てもなく

 

寒波真っ盛りの中

 

病気持ちで

 

何かあったら・・

《とらたん》に何かあったら、私はたんぽぽに合わす顔がない

 

 

魔女はバグりそうな頭を抱えて

《とらたん》の近くにある物干し竿から離れた場所に無意識に洗濯物を引っ掛けていた

 

 

《とらたん》は魔女を怖がっている

私がいなければいいんだ

ここから離れて、部屋からも出て・・

 

でも《とらたん》の動向が心配でここからは動けない

 

 

テレビを消し、ドアをバタンと鳴らし

魔女はこの部屋から消えたかの如くにして息を殺した

 

どうしたらいいんだ

どうしたらいいんだ

 

そればかりが

ただそればかりが頭を巡る

 

 

つづく