のらねこ物語 ~《はるこ》~  | まじょねこ日記

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魔女の大切な仲間の猫たちの日常をみてください

 

これは一昨夜のお話です

 

 

向うから《はるこ》が駆けてきます

 

駆けて来た《はるこ》は、そのまま魔女の膝の間に飛び込んで来て

魔女を見上げてぎゃ~ぎゃ~と意味不明なことを言います

 

何はともあれ、ご飯ね

《はるこ》はもの凄い勢いで、しかも唸りながらご飯を食べ、何回もお代わりします

 

この時、時刻は8時45分

 

 

 

3日前のこと

子供を産んだ《はるこ》は既に駐車場で待機していました

 

その日魔女が住宅部東に到着したのが8時45分

翌日もほぼ同時刻でした

 

 

猫は正確に時間を覚えます

 

《はるこ》の感覚は、8時45分を覚えました

 

今の《はるこ》には、他の猫のように駐車場でのんびりと魔女を待っている余裕はないのです

食事の時間以外は一日中赤ちゃんたちを守って過ごさなければならないから

 

《はるこ》はのら生活初心猫で、しかも初産

お腹に赤ちゃんが出来たことで、どれだけの戸惑いがあったことかと思います

 

それでも《はるこ》はその本能から、前もって出産場所を探し、決めていたのです

 

 

昨夜

満腹になった《はるこ》は私の傍で少し休んでから

直に子供たちの元に戻って行きました

 

 

子供を産んだ《はるこ》は、警戒心が強くなり

たいそう気が立っていて、まわりにいる猫たち誰にでも威嚇しまくります

鼻に皺を寄せ、しゃーー!! っと言います

 

 

                       《はるこ》、食後の一息です

 

 

 

母親になった《はるこ》は、もうそれまでの可愛らしい甘えん坊な子ではなくなりました

 

頭の中は子供を無事に育てることだけでいっぱいなのです

 

テリトリーから外れるとどんな猫がいるか、どんな危険があるか量り知れないので

自分が勝手知るテリトリー内で

他の猫がうろつかない場所

雨風が凌げ

尚且つ他から見つかり難い物陰の狭い場所

 

一番の外敵は人間とカラス

 

 

出産前の《はるこ》は、それこそあちこちを歩き回ったのでしょう

必死にになって、なるべく安全な産み場所を探したに違いありません

 

そうして小さな体で

それは当たり前だけど、たったひとりで子供を産み、臍の緒を噛み切り、胎盤を食べて処理し、赤ん坊に乳を与えます

本能だけでそれら全てをやり遂げるのですから健気でたまりません

 

 

駐車場は暗いので

《はるこ》の乳房を触って確かめてみました

 

乳房はちゃんと張っていて

赤ちゃんは無事のようです

 

 

子供たちの所に戻る《はるこ》の後姿を私は目で追います

 

《はるこ》は駐車場を囲むようにして立ち並ぶマンションやアパートの中のひとつの敷地に入って行きました

 

《はるこ》は元々猫締め出しマンションの隣の、今はさら地になっている家で飼われていて

のらになってからも常にその周辺にいたので

魔女は猫嫌いの人間が住むマンションの敷地内で産んでしまったら・・ と、かなり心配していました

 

以前私はこのマンションの駐車場で、病気の《ふぁふぁ》に薬をあげていて

マンションの住人から通報されましたし

 

 

 

果たして

《はるこ》が向かったのはそこではなく、違う建物でした

 

そこは独身者が住むような感じの気の利いたワンルームアパート

住人の殆どは男性のようで、彼らが猫を邪険にしているのを私はみかけたことがありません

 

 

《はるこ》は短期間で人間環境もまた観察していたのです

 

母親になることの責任はこうして本能が指し示すのですね

 

 

子供たちの無事を確かめたいのは関の山ですが

魔女は《はるこ》の後は追いません

 

警戒心が絶頂の今

そんなことをしたら、《はるこ》は場所変えをしなければならなくなるでしょう

 

 

これまで私は、赤ん坊をひとりずつ咥えて他所に運ぶ母親の姿を何度も見てきました

 

危険を察知すれば、母親は居を移さねばなりません

新しい場所が安全かどうか、そんな保障もないけれど、誰かに知れたらそうする他はないのです

 

だから母親は子供の元に戻る時も周囲に警戒を怠りません

 

 

最も危険なのは、子供たちが少し成長して母親の後を追ったり、動き回ったりする時期です

 

カラスは常に仔猫を狙っています

 

その上、《はるこ》の子供たちは秋生まれ

まだ小さな体で厳しい冬を迎えなければなりません

 

 

ご飯だけはお腹いっぱいあげるから

子猫用のご飯も用意したから

どうか無事に育ってください

 

《はるこ》にも、その子供たちにも

これから大きな試練が待ち受けています

 

どうか無事に・・

私は、ただそれだけを祈ります

 

 

8時45分にやって来る《はるこ》

私はこの時間を守らねばなりません

 

私の留守中にご飯をあげてくれる人にも、この時間を伝えておきましょう

 

 

 

珍しく《こだくさん》がやって来ました   《はるこ》は《こだくさん》そっくり・・

 

 

                こだくさんのおこさま 「あ、おかあちゃんだ!」

 

 

 

 

一昨夜の帰り道に観た月

 

 

 

昨夜も《はるこ》を含めたみんなはお腹いっぱい

ご飯を食べました

 

 

しかし・・

今夜は雨です

のらさんたちは雨宿りできているかしら

 

とにかく行ってみます