《インドラ》 その無垢な心で | まじょねこ日記

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魔女の大切な仲間の猫たちの日常をみてください


                           昨夜の火星




昨日の続きです



そんな心も沈みがちな日々の中

一生懸命に魔女を支えてくれているのは《インドラ》だ




《かって》が食事に来なくなってもう5日

魔女にはどうしようもなく・・


そこで《インドラ》頼みとなる



魔女 「《インドラ》、《かって》がもう5回寝るくらいご飯食べてないの」


インドラ 「ええー! またなの?!」


魔女 「《たぬきち》がうろついてるせいなんだけど、 もう・・ 心配で」


インドラ 「僕、連れて来る!」



そう言うと《インドラ》は勢いよく家を飛び出し

ものの15分ほどで《インドラ》が部屋のドアをノックする


《インドラ》の後ろには《かって》がおり・・


《かって》にてんこ盛りのご飯を与えるも

《かって》はいつやってくるかもわからない《たぬきち》に怯えて食事がままならない


そこで《インドラ》は《たぬきち》が入って来る出入り口の前で番をする

それで《かって》はやっと安心して食事が始められる


案の定、ご飯の匂いを嗅ぎつけてやってくる《たぬきち》

そこに《インドラ》が待ち構えているとも知らずに


《インドラ》が飛び出し

暫くすると猫の叫び声が響く


さらに暫くすると《インドラ》が帰って来る


今回は《たぬきち》を側溝に追い詰めたようだ



チャンドラ (《インドラたん》、しゅごいことになってる・・)



                      チャンドラ 「おにいたん、大丈夫?」


                     インドラ 「なんでもないよ」




深夜、月を見ていた魔女は、街灯のあかりに家の近所を歩く怪しげな生きものを見た

それは沼地に住むヌートリアのような生物で・・


外に出て良~く見たら・・ それは泥だらけの《たぬきち》だった




先日の《ボンネット》の横倒しの歯は《インドラ》が抜いてやったようなものだ


《ひな》のなかなか抜けないぐら付いた歯

仕方がないから《ボンネット》の時のようにして《ひな》を襲ってくれるように《インドラ》に頼んだ


《インドラ》は直ぐに引き受けて《ひな》を襲ってくれた

《ひな》が噛み返してくれればこっちのものだと思ったのだが

《ひな》は絶対に口を開かず、唸りながらひたすら逃げ回るばかり

《インドラ》も女の子を本気では襲えず、これはまた改めてお願いすることにした




《ふぁふぁ》が風邪で鼻が詰まって食べ物の判断ができなくなって食事をとれなくなると

鶏のササミでさえも食べ物だと言う判断がつかなくなる


それで鼻先にササミを突きつけ、舌にもくっつけてササミだとわからせるように持ってゆくも

妙にイジケた感時で食べる気なしの面倒臭い子になってしまう


そうして魔女が困っていると

すぐに《インドラ》がやって来て



インドラ 「それ、《ふぁふぁ》が食べないなら僕がもらうから」


魔女 「じゃあ《インドラ》にあげるね、はい、どうぞ」


インドラ 「わあ! 美味しい!!」


ふぁふぁ 「それ ぼくの・・」


魔女 「だって《ふぁふぁ》は食べないんでしょう」


インドラ 「もっとちょうだい! もっとちょうだい!!」


魔女 「はい、どうぞ」


ふぁふぁ 「それ、ぼくの」  《インドラ》の口にササミを運ぶ魔女の手を思わず押さえて


インドラ 「もっと、もっと~!」


魔女 「はい、もっとね!」


ふぁふぁ 「それ! ぼくの!!  魔女の手に爪を立てて強引に自分のほうに引っ張る


魔女 「《ふぁふぁ》はいらないって言ったじゃない」


ふぁふぁ 「たべる! たべる!!」



それで魔女の手からササミを奪ってガツガツ食べ始めるという・・



傍にいる《インドラ》にもあげようとすると・・

「僕 もういらない  あとは全部《ふぁふぁ》にあげて」 と言い


ガツガツと食べる《ふぁふぁ》を穏やかな目で見詰めるのだ




《ひな》の場合も同様で

抜けかけの歯はしぶとく、なかなか抜け落ちない


《ひな》はもう何日もろくに食事を摂っておらず

仕方がないからこの日は好物のモンプチのテリーヌを買って来てあげてみた

それでも食べなかったら病院だ、と考えながら・・


案の定食べない

お腹が空いてたまらない状態なので

食べたい気持は溢れるほどなのだか

食べる度に歯が動き回るからそれが嫌で食べないのだ


モンプチの前でうなだれ、憔悴する《ひな》

そのあまりにシブい顔に、ちらの顔までシブくなる


病院だ・・

そう思ってスプーンを置いた時、《インドラ》が言った



「《ひな》が食べないなら僕にちょうだい」


そうしてテリーヌを食べながら 



インドラ 「ああ美味しい! もっとちょうだい!!」


魔女 「いいわよ、これ食べちゃって」


インドラ 「やったー!」  


ひな 「ふぁ・・ わふぁひの  べろべろべろ(歯が気持悪い


インドラ 「だって食べないんでしょう」


ひな 「ふぁわひの べろべろ・・ ごふぁん」


インドラ 「わあ~い、おいしいな♪ おいし~い♪♪」


少なくなってゆく缶を覗きながら・ひな 「ふぁべる ふぁべる! べろべろべろ・・」



食べ始めた


気がつくと、《ひな》の目から、涙がぽろぽろと流れている


いくつもの涙はきらきらと光りながら床に落ちる


久しぶりのご飯が美味しかったのか

ぐら付く歯が悲しかったのか

それはわからない


そうして《ひな》は一口食べる度にべろべろを繰り返しながらもほぼ一缶を完食した



いつの間にか《インドラ》はいなくなっていた


実は《インドラ》はモンプチが好きじゃないのです・・



《インドラ》は


わざと?ふざけて見せ


楽しげに走り回り


チャンドラの遊び相手をし


廊下組みの面倒もみる



   そんな風に明るく振舞っている《インドラ》だけど・・ きっといろんなことに心を痛めている気がする




つづく