やさしい心の贈りもの Ⅱ ~インドラの日記~ | まじょねこ日記

まじょねこ日記

魔女の大切な仲間の猫たちの日常をみてください


《インドラ》



うそだ・・ 


《風太》が僕にさよなら言うなんてうそだ! って思った


「また明日」 って言ったじゃない


その明日に《風太》が来ないから、僕や魔女がどんなに探し回ったと思ってるの!


僕がどんなにさみしい心でいると思ってるの!




              《風太》と《インドラ》の日々






   いつも《風太》の食事が終わるのを待たなければならなかった《インドラ》



       

        早く遊びたいインドラ 「僕も一緒に食べてあげようか?」


        風太 「やめて・・」



       

             インドラ 「早く空き地に行こう!」


             風太 「まじょ ごはん ありがとうございました」


             魔女 「どういたしまして」




                僕 「《風太》、空き地で何して遊ぶ?」


               風太 「かくれんぼ しようよ」




《風太》と遊んだ空き地はもうなくて

思い出は・・ もう僕の心の中だけになっちゃった


おぼんの時、《風太》が、《ジョンにいたん》たちとお空から来た時

僕はどうしてもいやだった


すごくいやだったから、いらいらしてしまって

その気持ちをどうしたらいいかわかんなくなって

僕は手すりをしっぽでバンバンたたいた


お空から来たみんながいるお部屋で

僕は《風太》に見つからないように台所のすみっこにいた


でも・・《風太》が 「《いんどら》・・」  って言って


僕は かべの方を向いたままにした

ふりかえりたくなかった


もう一度《風太》が 「《いんどら》・・」 って言って


僕はかべに向かって泣き始めたんだ


僕はそのままかべの方を向いて言った



僕 「どうして やくそく守らなかったのさ! 『また あした』 って言ったじゃない!」


風太 「ごめんなさい・・」


僕 「僕、待ってたのに・・」


風太 「・・」


僕 「お隣の地面でも、お向かいの地面でも、大きな音がして、地面がゆれて、僕だってこわかったけど ちゅう車場で待ってたのに!」


風太 「ぼくは・・ おくびょうだから」


僕 「・・」


風太 「ぼくは きがよわいから・・」


僕 「・・」


風太 「ぼくは けんかも できないし、 ぼくが、ぼくに、ってもいえないから」


僕 「違う! 《風太》がけんかができないのは だれも傷つけたくないからだもん! そして ぼくが! って言えないのは、自分は後回しでもかまわないよ、っていう気持ちなんだよ やさしい気持ちなんだ、 僕知ってるもん!」


風太 「・・そうなのかな」


僕 「《風太》は自分のことがわからないから僕が言う! 《風太》はやさしすぎたの!」


風太 「ぼくには・・ ゆうきがなかったんだよ」


僕 「勇気がないならニャバーランドには行かない! 勇気がないと、ひとりでなんてニャバーランドには行けない!」


風太 「・・」


僕 「《風太》・・ ぼく、《風太》と一緒の時、すごく楽しかったんだ、 だから今、うんとおこってるの!」


風太 「ぼくも 《いんどら》と いっしょで うまれて はじめて たのしかった  《いんどら》 やさしくしてくれて ほんとうに ありがとう」



僕は どんどん心が苦しくなって ぼろぼろなみだが出てきた


それからしばらくして そっとふり向いた・・


《風太》を見たら、もっともっと悲しくなって、どんどん泣いた



風太 「あのね・・《いんどら》、 ぼく、にゃばーらんどにいくはしをわたるとき  そこには だれかがいるんだけどね、『きみは?』 ってきかれたきがして  ぼく いったよ 『ふうたです』 って」


僕 「・・」


ふうた 「そしたらね、 『にんげんにかわれてたんだね』 っていわれた」


僕 「・・」


ふうた 「ぼく、いったんだ なまえ 『ふうたです!』 って そのとき すごく うれしかった」


僕 「・・」 


風太 「ぼくに なまえつけてくれて ありがとうね」


僕 「《風太》に名前つけたの魔女だよ汗


風太 「けど、《いんどら》が まじょに たのんでくれたでしょ  『このこに なまえ つけてあげて!』 って」


僕 「また・・ あの時みたいに《風太》と遊びたい」


風太 「あそぼう! もっと むこうに いっこだけ まだ あきちが あるよ」


僕 「魔女ぉ~! 僕、お外に行っていい?」


魔女 「夜なのに? 今日はお盆だし・・ いいわ、行ってらっしゃい」


僕 「《ジョン ブリアン》も一緒に行こう!」


ジョン ブリアン 「うん!」



魔女にドアを開けてもらって、僕はおうちを飛び出した


空き地に行く時・・



風太 「まじょは ぼくのこと しらないんだ・・」


僕 「そうだね・・ でも僕 《風太》の『さよなら』 のこと、魔女にどうしても言えない・・」


風太 「・・」




おぼんの間中、僕らは毎日遊んで暮らした

大好きな《ジョン ブリアン》もずっと一緒


そうして・・ さよならの夕方がやってきた


その時、僕はまたイジけた・・



風太 「《いんどら》・・ ぼく・・ もうすぐ いかなきゃ」


僕 「・・」


風太 「いつだって 《いんどら》の ところに かえってくるよ、 かぜといっしょに・・ だって ぼくは 《ふうた》だもん」


僕 「ほんと?」


ジョン ブリアン 「僕だって《インドラ》が困ったらいつだって帰って来るじゃない、《風太》だって 帰ってくるよ」


風太 「ぼくは 《いんどら》といるとき ほんとうに しあわせだった  だから また くる」


僕 「《風太》は風に乗って来るんだね!」


風太 「うん! そしたら また あそぼう」


僕 「うん! 《ジョンにいたん》も 一緒に来てね!」


ジョン ブリアン 「うん!」



風太 「・・それと ぼく 《いんどら》に たのみがあるんだ」


僕 「なあに?」


風太 「このよに のこった ぼくを・・ みつけて」


僕 「《風太》を・・」


風太 「ぼくを みつけて」


僕 「・・わかった どこを探したらいいの」


風太 「それは ぼくが おしえる」


僕 「どこ?」


ジョン ブリアン 「《風太》、火が焚かれたからもう行くよ」


風太 「ぼく、 いかなきゃ」


僕 「どこだか言って!」


ジョン ブリアン 「だいじょうぶ きっと わかるから」



そう言って《風太》は《ジョンにいたん》と、みんなと一緒にニャバーランドに帰って行った 



それからしばらくして

《チャンドラ》がテリャスから落っこちた


どこに行ったかわからない《チャンドラ》を探してて・・


僕は見つけた

この世の《風太》を見つけた


その時僕は、ほんとうに、ほんとうに、つらかったです



魔女・・ 僕が今日日記を言ったから

《風太》のこと、わかっちゃったね


ねえ魔女、 《ジョンにいたん》や《風太》のことを考えると、僕はどうしてこんなにさみしい心になるの?



・・それは《インドラ》が生きてる証拠なのよ






              魔女 「《インドラ》、何してるの?」           


             インドラ 「なかなか風が吹かないの・・」




           魔女 「《インドラ》、そんなところで何してるの」


           インドラ 「風が吹くのを待ってるの」