パタンの工芸品 ~ 面 ~ そして生き神様 | まじょねこ日記

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魔女の大切な仲間の猫たちの日常をみてください


ネワール族は元々カトマンズ盆地に3世紀あたりから住んでいた民族だ

ネワール様式という建物は彼らの高度な技術で造られている


手先の器用なネワール族の人々が作る工芸品もまた、素晴らしい

本日はその中から 『面』 を紹介いたします





     魔女 「おばちゃん、買わなくてごめんだけど、写真撮っていい?」


     おばちゃん 「いいよ、好きなだけ撮りな」




       

      宗教色豊かな面の中に、わけわからんのもあるぞ・・(右端の青いの)




        
                 赤い顔のおじさんは・・ だれ?




       

       シバ神やらその息子のガネーシャやガルーダ、そして閻魔様も・・




        

  閻魔はサンスクリット語で『ヤマ(閻魔)、またはヤマラージャ(閻魔大王) という





        

                  水の神、ナーガ(竜神)





        
からガルーダ、ガネーシャ、ヤマと並んでいるが

左壁の下、仏陀などに囲まれた赤い顔でおでこに目があって笑ってるのは何じゃろか・・



        

               やはり人気の高いのはガネーシャです




時々よくわかんないものが混ざってるね

神様ばかり作ってると、たまにそういうのを作りたくなっちゃうんだろうね



さてこの日、私たちは 『ありえへん体験』 をした


パタンの街を歩いていて、古いネワール様式の建物にふらりと入ってみた

ネワール様式の建物の多くは入り口を入ると目の前がパティオになっていて、建物はそれをぐるりと取り囲むように作られている


その庭でひとりのおじちゃんに声を掛けられた


おじちゃんはネワール語でスレス氏と話した


その後、スレス氏は興奮した様子で


「魔女さん! ここはクマリの館でした!! クマリが私たちに会うと言っています!」


どこから私たちを見てたんだぇ?


ネパールに興味のある方ならご存知だろうが、クマリは密教女神ヴァジラ・デヴィー、ヒンドゥの女神ドゥルガが宿るとされているネパールの生き神様だ


生き神、クマリに選ばれるのは幼い少女であり(4才くらいから)家柄は仏教徒であるネワール族の僧侶カースト、サキャの生まれでなければならない



上記の他にも、虫歯がない、黒い髪と瞳、など多くの項目をクリアし

さらに幼い子供ながら動物の首が置かれた部屋にひとりで置かれ

それでも恐がらず、泣かず、取り乱さないなどを試される



クマリは特別な儀式でない限り、その館から出ることはない


クマリはカトマンズの者がロイヤルクマリであり、パタンやバクタプルのクマリはローカルクマリと呼ばれる

ロイヤルクマリは国王(もういないけど)をも足元にひれ伏させる


クマリは民の願望を叶える祈祷師であり、また預言者でもある


政府のお偉方もクマリに予言を求める

その際、クマリは話さないため、接見した者に対して生き神様がどのような態度を取ったかが予言となる


例えば、泣いたり目をこすったりすれば、死が近いことを意味し

供え物をつまめば、財産を失うなど

他にもその態度で表される予言はいくつもある



スレス氏 「私、幼い頃からパタンに住んでいたけど、クマリに会うの初めてだよ!」 


魔女 「お金いるの?」


スレス氏 「え・・?」


魔女 「お金・・」


スレス氏 「別に要らないって」


魔女 「早く会おうよ!」



ロイヤルクマリは窓越しに見たことあるけど

クマリに接見なんて初めて

スレス氏はかなり興奮している


でも・・ クマリに身震いされたらどうしよう

投獄されちゃう (クマリの身震いは投獄の予言)



クマリの部屋に案内され、遂に接見

クマリの前に座る


目を逸らしているクマリをガン見する魔女

しかしクマリは決してこちらを見ない

生き神様としてのクマリは決して人を正視してはならないのだ




       



クマリの前で礼を尽くす


しかし、いくら神と言われようが、その足元に(誰の足元にも)ひれ伏す行為を私はしない

だからこの場所から手を合わせ少々俯き、そのついでに辺りのものを観察してみた



そして目をあげると・・


クマリが魔女をじっと見ていた


あ、いけないんだ

見ちゃったね   い~けないんだ・・


私と目が合ったクマリは慌てて視線を下に逸らす


私、誰にも言わないよ

見ちゃったこと


なんだかこの子は可愛らしい・・ そう思った



人々の信仰心を一身に集め、いわば孤独な日々を送るクマリ

その勤めも初潮が始まれば終わる


それまで頑張ってね


真摯な眼差しの中に、何か言いたげな瞳がとても印象的なクマリだった