類は友を呼ぶ ポカラ編 | まじょねこ日記

まじょねこ日記

魔女の大切な仲間の猫たちの日常をみてください


船着場は何十雙ものボートでいっぱいだった

ボートに乗るにはチケット売り場でチケットを買わなければならない


チケットを買おうとしたらまた高いことを言われた

ネパールではこういった料金の全てに外国人料金とネパール人料金が存在する

それはごく当たり前に存在する


それで私は 「いらないわよ」 と言ってしまった

当たり前のニヤつく顔で請求されたのにどうしても逆らいたかった


だけどボートに乗らなきゃ寺院に行けない


困った顔で船着場をうろついていると・・

ひとりの船頭に声を掛けられた



船頭さん 「乗合で良ければ3人で往復60ルピーでいいよ」


魔女 「マジっすか! それでお願いします!!」


船頭さん 「その代わりお客がもっと来るまで少し待っててよ」


魔女 「待つ、待つ!」



それはボートを2雙の上に小屋を設えた、日本で言うところの屋形船のような手漕ぎの小さな乗合船だった

それからすぐにインドネシア人の若者たち観光客数名が乗り込んで来て船は岸を離れた


このボートの船頭はパワンと言った (どうでもいいけど、魔女の幼い婚約者と同じ名前だ)


そしてこのボートには彼の暇な友人もついてきた

その友人はヒッピー時代のようなアフロなヘアで、船着場でも一人目立っていた


目立つ割に無口で・・ まったく喋らない

更にサングラスをしているのは恥ずかしいからだとみた


一方パワンは陽気でよく喋る

船の中は笑いで溢れた



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                あそこがバラヒ寺院がある島



「参拝が終わるまで待ってるよ、ゆっくり見学しといで」 とパワンが言う



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                20年ぶりのバラヒ寺院寺院



何処に行っても私たちはめいめいバラバラに行動する


魔女は変な形の木を見つけたり、おかしな形の石を眺めたり



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           綺麗なお姉さんたちをカメラに収めてみたり・・



一方カズリは長々と湖の魚を眺めたかと思うと

無数の鳩が囀る大木をしばし見上げ


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                  大きな蝶をカメラに収めたり         (カズリ撮影)



そうしてラクちゃんは・・

参拝もそこそこに、娘への土産選びに殆どの時間を費やす


  

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       あーでもない、こーでもない  どの色がいいか・・ どうしようかぁ・・



ラクちゃんの買い物は迷いが多くて長い


そうして私たちは・・




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                  船の上でダレていた



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                  みんなしてダレていた



アフロ君、あまりのガン黒にちゃんと写らないわ・・


パワン 「俺、今日ここに来る前ボートレース競技に参加してきたんだぜ」


魔女 「へぇ! それで結果は?」


パワン 「2位だった・・」


魔女 「1位じゃなかったんだ・・」


パワン 「うん、俺よりずっとのおじちゃんに負けた・・」


魔女 「面目ないな」


パワン 「言うなよ・・」



そんな会話を無表情で聞くアフロ君

そんなアフロ君にチラリと目をやり、パワンが・・


「ブラックチキンめ! このマシンガンを受けてみろ!!」 とボートのオールをマシンガンに見立てて口で連射する


多分、アフロ君はあれで相当に気が小さいのだ



パワン 「俺も3ヶ月前まではアフロだったんだぜ」


魔女 「へえ~!」


カズリ 「どうしてアフロをやめたの?」


パワン 「子供にその頭が恥かしいって言われた・・」


カズリ 「なるほど・・」


パワン 「このマッシュルーム(アフロ君)、俺と同じ船頭なんだけどさ、2ヶ月前に骨折してやんの」


魔女 「あらら・・」


パワン 「それで今は仕事にアブれてんだ、  俺はこいつをブラックチキンと呼んできたけど、頭がそんなだからこれからはマジックマッシュルームと呼ぶことにする!」


魔女 「わかった・・」


カズリ 「マジックマッシュルームはどうしてなんも喋らないの?」


マジックマッシュルーム 「・・」


パワン 「喋れないんだ」


カズリ 「どうして?」


パワン 「バカだから」


魔女 「そーなんだぁ~」


パワン 「おい、マジックマッシュルーム、グラサン取ってちゃんと顔見せろよ」


マジックマッシュルーム 「・・」


パワン 「ほら、グラサン、取らないだろ」


カズリ 「なんで?」


パワン 「タレ目だから」


魔女 「了解したわぁ」



パワン 「俺、6時に仕事終わるんだ、また船着場に来なよ、何か奢るから」


カズリ 「マジで?!」


パワン 「みんなでマジックなマッシュルームパーティーしようぜ!」  (これは冗談です)


カズリ 「わかった!」



ラクちゃんの買い物とインドネシア人たちの参拝が長いので、私たちは船の上でのおしゃべりに余念がなかった


それにしてもラクちゃん、遅い

呼びに行ってみたら・・ まだ迷ってた!


見ると動物のキーホルダーみたいのを手にとって、40ルピーのにするか、80ルピーのにするかで泣きそうな顔をして迷っている


どうしても決めきれないようなので、魔女がそこにあった60ルピーの同じ形のを差し出して 「これにしなよ!」 と言ったら、まるで花が咲いたように顔を輝かせて喜び、何度もありがとう!と言われた


だいじょうぶなのか  この人は・・



帰りのボートでもパワンの喋りが炸裂する


乗客のみなもが腹をよじるほどの喋りからして、この男の頭の回転の速さが伺える

ダラける時はとことんダラけ、仕事をさせると誰より出来る男とみた

さもしいところが微塵も見当たらないのも気に入った


そういうわけで

すっかり意気投合した私たちは、ダズ・バイ(兄弟)、ディディ・バイ(姉弟)の関係となった