賑やかな夜と静かな朝 | まじょねこ日記

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魔女の大切な仲間の猫たちの日常をみてください


マルファに着いたら、前回行った山の上のグンバに登るのを楽しみにしていた


しかし宿に着いたすぐ後から天候が悪化し、雨が降り出してそれを諦めざるを得なくなった


一休みしてから昼食を取るためレストランに行くと

雨の中を一人の日本人男性がガイドとポーターを伴って到着したところだった

このおじさんは、大きな声で 「ロキシ、ロキシ(ネパールの地酒)、ブランデー、ブランデー」 と言いながら宿に入って来た


相当な酒好きのようだ


昼食を終えると、私は猫を構い、ヤギさんと遊び、それから部屋に戻ってぼんやりと外を眺めて過ごした


夕食の時間

レストランに行くとそこは賑やかだった


ここから20分ほど歩いたところに国営のアップルブランデー工場があり

日本人のおじさんが行くのにラクちゃんも便乗し、アップルブランデーを買ってきて、既にみんなでそれを飲んでいた


酔っ払ったおじさんは女将さんを捕まえては冗談を飛ばしている


おじさん 「ところであんた、いくつなんだ?」  女性に平気で年を尋ねるのが日本人おじさんの特徴


女将さん 「もう70才だよ」  (ウソです)


おじさん 「嘘つけ~!」


女将さん 「ほんとだよ! 娘が14人に孫もいっぱいいるんだ」


おじさん 「ほんとうは いくつなんだ!」


女将さん 「28だよっ!」


おじさん 「その年でどうして14人も娘が産めるんだ!」


女将さん 「嘘だと思うんならあの人に聞いてみなよ、彼女は私のことなら何でも知ってるんだから」


魔女 「女将さんは一年に2回子供を産むんだ」


おじさん 「それじゃ犬と同じじゃないか!」


女将さん 「なに言ってんだ! わたしゃ猫だよ!!」


魔女 「ほら、ここにも女将さんの子供が・・」


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おじさん 「ひえ~~!!」



そうして飲み続けるおじさん


おじさん 「このブランデーは最高だ、ほんとうに旨いから」  と魔女にも勧める


魔女 「私、酒飲めません」


おじさん 「・・その顔でか」


魔女 「酒は顔で飲むのものか?」


しつこいおじさん 「・・で、女将さん、ホントは歳はいくつなんだ!」


女将さん 「70だよっ!」



私は食事を終えた


しかしラクちゃんはまだここで酒を飲むという

カズリは今夜は飲みたくないといい

魔女は腹がいっぱいになったら横になりたい人なので、早々と部屋に引き上げる



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             この夜のルームシェアの仲間のひとり




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朝、暖かな日差しで目を覚ます


起き上がって洗面所に行きかけた時

出窓の横の柱に留まる一匹の蛾を見つけた



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その蛾はやっとの思いでそこにしがみついていた

そうしてじきにベッドの足元に落ちた


私が手を差し伸べると、懸命に這い上がってくる



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見ると・・

この蛾の羽はぼろぼろだった



ヤママユガの一種かな、と思うが、日本で見かけるのとは違って模様が複雑だ



名前なんてどうだっていいね・・


所詮人間が付けたものだし

つけられたみんなには関係ないもの



私はその美しさに見とれた

触覚も、キラキラと輝く背中の毛も見事だったが・・ ただ羽だけはぼろぼろだった


もう一度壁やカーテンに止まらせようとしてみたが、もう力は無く落ちかけてしまう

そうして落ちかけると体をよじるようにし、私の手に向かって足を小刻みに震わせながら伸ばして来る


その蛾を長い時間手のひらに乗せて過ごした


それから、そのまま庭に出た

そうしてこの時期に少しだけ咲いている庭の花を見せたり、高く持ち上げて林檎の花も見せた

その時だけ、この蛾は触覚を力なく揺らした


風が吹いて大きな羽が不安定に揺れる

私は一方の手で風を遮りながら、手に蛾を乗せて庭を歩き回った


それから庭の隅の風が来ない場所を見つけ、そこにそおっと置いた



まじょねこ日記

          やはり生き物は自然の中に在るのが最も美しい



あなたは一生懸命に生きてきました

そうして今この瞬間も生きています


きっと、最期まで美しく、気高く生きるのでしょうね



潔い


人のために作ったこの言葉の意味を知っているのは

今やこういった生きものたちだけなのかもしれない