1年前の今日、《インドラ》が魔女家にやって来ました
殆どの猫は生まれた日がわからないので、魔女家の猫たちは、ここにやって来た日が誕生日になります
今日はあの日からの一年を辿ってみます
魔女の個人的な感慨にお付き合いいただくのは恐縮ですが・・
1年前の今日、マンションの駐車場で命の灯火が消えかかっていた白い仔猫は
医者からは、この日から数日がヤマで、10日生き続ければこの命は繋がるだろうと言われた
この日から仕事時間以外は片時も離れず、1時間置きに注射器でミルクを飲ませる
それは夜中も同様で、魔女の仕事中は家族①がついていてくれた
眠っている間にもしものことが起こったら・・ と思うと眠れない
拭いても拭いてもじきに瞼が癒着し、開かなくなる
くっついた目をお湯で温めた綿でそっと拭きながら開かせてゆく
一日に何回もそれを繰り返す
眠っている最中突然泣き出す(相変わらず声は出ない)
そうして必死で私の手にしがみついてくる
抱いてやると泣き止み、いつまでもじっと魔女の顔を見つめ続ける
こういう悲しい夢を何度もみては、その度に泣いて目を覚ます
私が少しの時間部屋を空けて、戻ってみたら不安気な顔でネズミのおもちゃを抱き締めていた
ひとりになる、ということに凄く不安を覚えるようなので軍団に会わせてみる
ここに来て9日目
軍団は《インドラ》を暖かく迎えてくれ、《ジョン ブリアン》や《凛》が一緒に眠ってくれた
母親に見捨てられた《インドラ》・・
もの心がついてから初めて仲間と寝た日
10日目
悲しい夢ばかりみて泣いていた《インドラ》
軍団に優しくされてからというもの、辛い夢を見ることも少なくなって・・
たった10日で保護した時の3倍程の体重になった
読者様方に励まされ、ご心配頂き、そうして命が未来へと繋がった10日目のこの日
堂々の顔つきで記念撮影に臨んだ《インドラ》です
この日で完全に魔女と過ごしたこの部屋とお別れし、軍団の仲間に入ります
リビングに移った《インドラ》は早速《ユリぼうず》をおかあちゃんに決めた
この日より、《インドラ》は寝る時は必ず《ユリぼうず》にくっついて眠るようになる
それは
それまで《インドラ》が憧れ、常に欲しがり続けた母親の柔らかさだった
そうして・・
《インドラ》は見違える程綺麗になった
しかしこの子は生後5ヶ月経っても水が飲めないし、カリカリも食べられないままだった
軍団の朝食はカリカリ
みんなの中に一人だけ食事が出来ない子がいるぞ・・
そんな《インドラ》に水の飲み方、ドライフードの食べ方を根気よく教え続けたのは《ジョン ブリアン》だった
《インドラ》は《ジョン ブリアン》を《じょんにいたん》と呼び、いつもその後を付いて歩いた
今の《インドラ》があるのはこの《ジョン ブリアン》の優しさのおかげだ
《ジョン ブリアン》と《インドラ》
《インドラ》がここに来てから3ヶ月が経った10月15日
《ジョン ブリアン》が突然ネバーランドに旅立ってしまった
魔女家は深い悲しみに包まれ・・
《インドラ》は何日も泣き続けた
《インドラ》は
大好きだった《じょんにいたん》から教えられた知性を身に付け
それにトボけた《おかあたん》(ユリぼうず)から受け継いだへんてこりんさ
生死を分ける10日間を共に過ごした魔女への執着
それらに天性の無邪気さと器用さが混ざって
大変特殊な猫に育っている
この子は自然淘汰されるべき猫ではなく
私たちと巡り逢う運命の子だったのだ
《インドラ》、1才のお誕生日おめでとう